獣医師インディ・ヤスの冒険!

家畜伝染病と格闘する獣医師インディ・ヤスさんのブログです。インディ・ヤスさんはロシア・東欧のオタクでもあります。

アフリカでまたエボラ出血熱ですか。今回はワクチンでコントールできると良いけど。

2018-05-19 00:53:15 | 仕事
ゴールデンウイーク後の5月14日、世界保健機関(WHO)は、コンゴ民主共和国(旧ザイール)の赤道州の数か所の農村でこの4月13日から5月10日までの間に39人がエボラ出血熱を疑う症状を発症し、うち19人は死亡したとの発表を行った。さらに本日の新聞によると、赤道州の州都で人口約100万の大都市であるムバンダカでもエボラ出血熱の患者が見つかったとのこと。このムバンダカは交通の要所であり、首都のキンシャサからも近くて交通の往来が激しい。人口は約900万人のキンシャサにエボラ出血熱が入ると大変な事態なることは容易に想像できる。
 ただ、今回のエボラ出血熱の発生は、2014年から2016年にわたって、シエラレオネ、リベリア、ギニアの3か国で大発生した時とは大きな違いがある。実は、正式には未だ認可されていないが、試験ではエボラ出血熱に対して十分な有効性を示したワクチンが用意されているのである。
 我国の厚生労働省によると、コンゴ民主共和国では昨年5月にもエボラ出血熱が発生し、WHOはその対策として試験ワクチンの使用を計画したが、ワクチンの用意ができるまでに病気が終息した。もし、今回のエボラ出血熱がさらに広がるようであれば、WHOは試験ワクチンを使用する可能性が大であり、本ワクチンを開発してきたメルク社としては臨床試験が行える絶好の機会である。
 私としては、本ワクチンがエボラ出血熱の予防に大きな効果を示すことを大いに期待している。ただし、本ワクチンも他のワクチンと同様に冷房保存が必要らしく、流通のコールドチェーンが未発達なこの国で、試験ワクチンが本来の効果を示すためには克服しなければならない課題も多く、楽観は全くできないらしい。