シンガポール首相、「嵐が迫っている」
シンガポールのリー・シェンロン首相は2022年8月8日、中国人民解放軍が台湾周辺で演習を実施して米中間の緊張が高まっているのに関し、両国間で疑念が深まって関与が限定的になる中で直ちに緊張が緩む可能性は低いとし、誤算の事態が起こる可能性に警告を発した。
首相は、9日のシンガポールの建国記念日「ナショナルデー」を前にしたテレビ演説で、シンガポールはこの地域での激しい対立と緊張の悪影響を受ける可能性があり、現在と比べて平和的でなくなり、不安定になる未来に備える必要があると述べた。
首相は「私たちの周囲で嵐が迫っている。米中関係は悪化し、解決困難な問題があり、疑念が深まり、関与が限定的となっている」とし、「この状況はすぐには改善されそうにない。
さらに、誤算や不運な出来事が起これば事態は容易に悪化する」と指摘した。 首相は経済的な課題がより差し迫っており、シンガポールの見通しは著しく不透明と指摘。その上で、政府が今後数カ月、物価上昇に対する支援策をさらに展開する予定だと表明した。
「世界がこの数十年間享受してきた低いインフレと金利の水準にすぐに戻る可能性は低い」と表明。シンガポールは先を見据えた計画を立て、産業を変革し、スキルを向上させ、生産性を上げる必要があるとも訴えた。