江戸の車窓から

部活帰りと思われる男子中学生が、スポーツバッグとは別に巾着袋を提げていた。明らかにお手製だ。わしが高校一年生の頃、キルティング生地の手作り巾着袋が一時ブームになった。当時付き合っていた彼氏に『俺も巾着欲しい』とねだられ、せっせと縫った。わしの母上が。彼は照れ臭そうに、でも嬉しそうに毎日使ってくれていた。代作とは露知らず。この部活少年が大事そうにぶら下げてる巾着袋は母上作かな、彼女作かな、それとも不器用な娘に泣き付かれた彼女母作かな、などと自分の当時とダブらせながら懐かしいような申し訳ないような心持ちでじっと袋を見つめるマスターなのでした。
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