今上天皇陛下の退位が間近に迫っている。こう書くと、退位ではなく譲位だという人がいるが、それは違う。平成29年6月に、「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」が成立しているからだ。私的にはどう呼んでもかまわないが、公的には「退位」と呼ぶ方が良い。
憲法にも皇室典範にも天皇の生前退位の規定がない。だから、今から40年以上も前から、憲法学者の間では、生前退位を認めるか認めないかで意見が分かれていた。そこで、これまでの議論を踏まえて、この特例法が制定された。
天皇の代替わりには、恩赦特赦をはじめとして様々なエピソードが生まれる。今回は、大型連休だろうか。昭和天皇の時は、テレビ東京だけが大喪の礼を中継せず話題になった。
1926年、大正天皇が病床に伏しておられたとき、大阪のダンスホールの一部で、客がクリスマスイブに派手に騒いでいた。天皇の崩御はその翌日の25日。さすがに不敬のそしりは免れないと、大阪府は、昭和に入ると、直ちに府下のダンスホールをすべて禁止する。大阪を追われたダンスホールは、尼崎や西宮に出店することを余儀なくされた。昭和5年、宝塚に東洋一と謳われたダンスホールができたのも、大阪のダンスホールが全滅したからだ。