住職の娘です。
祖父の書庫を整理しています。
既に祖父が亡くなって10年以上経ちますが、未だに大量の本や資料(医学・歴史関連率99パーセント)を前にして、途方に暮れています。
そんな中、今日は祖父の月命日ということで、住職と一緒に少し整理しました。
個人的に探している資料があったのですが…以下のような御文章が発掘されたりして、どんどん時間はとけていきました。
御文章(ごぶんしょう)とは、蓮如上人が全国のご門徒に宛てて、真宗の教えについて平易な文章で書かれた「お手紙」を、のちになって各地から集め編纂されたものです。
ご門主の代替わりなどを機に開版、活版印刷によって大量生産されて、ご本山から全国の寺院やご門徒に下付されました。
ちなみに、浄土真宗本願寺派(西)では「御文章(ごぶんしょう)」と呼び、真宗大谷派では「御文(おふみ)」と呼ばれます。
この御文章は、広如(こうにょ)上人の時代、文政十年(1827)のもののようです。
昨年ご往生された名塩和紙の人間国宝・谷野武信氏が、この御文章を名塩雁皮紙に印刷されたものであると認定したことが、祖父の字で記されています。
ただ、この名塩雁皮紙鑑別の着目点に関しては、素人目にはまったく理解できません。
住職補足
紙漉きには漉簾(すきす)が使われます。この漉簾は、軒先に吊すすだれ同様、細い竹を糸で繋いで作られています。そして、漉簾の竹と糸の形が漉かれた紙に残ります。この竹の太さや糸と糸の幅は、各地の和紙でそれぞれ伝統的に決まっているので、和紙に詳しい人なら、産地を判別できるのです。
いずれ、この御文章をもって、紙漉き技術を継承しておられるご子息のもとを訪ねようかと考えています。
余談
このカバーは祖父の手作りです。
勝手な私の想像ですが、谷野氏から紙を頂戴した祖父は、この記載内容の証として、谷野氏の和紙をそのままブックカバーにしたのだろうと思います。
人間国宝のブックカバー…なんとも有り難いものです。
すでにご往生された先達に思いを致しつつ、いろいろ確認作業をしています。
祖父が調べていたさまざまな痕跡をたどり、その足跡をたずねる月命日でした。
南無阿弥陀仏
谷野氏の製紙所はこちらです↓
祖父は教行寺の前住職で、法名は医明院釈沃観です。
ご親切にどなたかがWikipediaで祖父のことを書いてくれていますので、よければ参考にしてください。
遺作が以下の本です。
この本の発刊日は2012/3/1。
お世話になった方々に、献本とともに感謝の気持ちを込めて手紙を認め、電話をかけて今生別れの挨拶を続ける日々。
私たち夫婦の結婚式(神戸別院)は5/3。
緩和ケア病棟入院が5/21。
2012/5/24に往生しました。
合掌