当寺の梵鐘(ぼんしょう)=(大鐘おおがね)は、第二次大戦中に供出され、2000年に新しく鋳造されました。その時、自動撞木(自動的に鐘を撞いてくれる機械)も導入しました。
もちろん、役員諸氏の抵抗に遭いました。そこで、週の内、5日は役員が持ち回りで撞き、残る2日は私が撞くことを提案しました。昔は、在家の人が持ち回りで、朝の4時に大鐘を撞いて仕事始めの合図にしていたそうですから、正午と午後5時に撞くなら、それ程無理な話ではありません。しかし、この提案は容れられず、自動撞木の導入は承認されました。まあ、人間というのはそういうものです。
自動撞木の仕掛けは、下の写真と図をご覧下さい。日本で唯一、上田技研産業という奈良の会社が製造販売しています。先日、とうとう壊れましたので、再び導入しようと考えています。
死んだ弟は、生前、よく、大鐘を釣りたいと語っていました。その弟が残した貯金に幾ばくかの追加をして、鋳造した大鐘です。
鐘を釣る前、自動撞木の話を、毎朝お参りに来てくれていた「おさださん」にしたことがあります。その時、おさださんは、
「体の弱い私は、農家へ嫁いでしんどかったから、電気洗濯機を買いましてん。名塩でも一番早かったと思います。買うた当時は、女の敵、怠け者やと、ボロクソに言われましたで。せやけど、御前さん、今、見てみなはれ。電気洗濯機のない家なんかおまへんで。新しいことでも古いことでも、ええと思うたらやったらよろしいねや。」
と言って、笑っていました。
大鐘の音を聞く度に、今は亡き「おさださん」と弟のことを思い出します。
追記:
上田技研産業から、同社のパンフレットの画像使用につき快諾を得ました。
今、ちょっと計算してみたら、17年間、毎日20回撞いていたので、約12,4000回ほどで壊れたことになります。
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