YOSHIの果てしない旅(人々との出会い、そして別れ)

ソ連、西欧列車の旅、英国滞在、欧州横断ヒッチ、イスラエルのキブツ生活、シルクロード、インド、豪州大陸横断ヒッチの旅の話。

ローマの旅~日本人の団体行動と団体旅行の話

2021-08-11 09:36:53 | 「YOSHIの果てしない旅」 第4章 西ヨーロッパ列車の旅
△トレビの泉にて~アメリカ女性と肩を組んで再びローマに来られるよう祈って

・昭和43年8月11日(日)晴れ(ローマ見物)  
 ――観光の話は省略――

*日本人の団体行動と団体旅行の話
 「日本人は集団にならなければ、何も行動出来ない」とある本に書かれていたことを思い出した。私はコペンハーゲン市庁舎前広場の若者の集団、ロンドンの日本レストランの地下で見た異様な集団(P144)、そしてパリやローマの団体旅行者の集団を見掛けた事があったが、これらは本当に印象的であった。
 旗を掲げてJTBのガイドに導かれ、忙しそうに観光名所から次の観光名所へと時間に追われて見学していたそれらの団体は、一見善良そうな大人達であったが大声を出し、或はバカ笑いをしながら見物していた。その幼稚的な行動は、日本人である私も恥ずかしい感じがした。他の国の団体旅行者を全く見掛けなかったので、パリやローマで余計に日本人団体旅行者が目立った。
 終戦の焼け野原から立ち上がり、朝鮮戦争特需、その後の神武、岩戸景気と続き経済は上向きになった。そして東海道新幹線が開通し時速200kmの時代が到来、首都圏に高速道路が開通、終に昭和39年東京オリンピックが開催された。経済が発展してカメラ、時計、オートバイ等日本製がヨーロッパを始め世界各国へ輸出されるようになった。経済発展と共にまだ国民の一部であるが、海外旅行(ヨーロッパ団体旅行のお値段は平均50~60万円。大学出の初任給は17,000円)へ行ける良き時代になった。
 団体旅行は、宿泊施設、観光個所、ルート、交通機関等が決められているから、何の心配・苦労もなく観光を楽しむ事が出来る。逆に言えば、何の苦労も心配も要らないのが団体旅行の最大の魅力でもある。ソ連を含む共産圏諸国の特定の国は、旅行の自由が制限されている為、私のソ連経由の団体旅行は仕方がなかった。しかし西ヨーロッパは本当に旅行に関して自由であった。言葉で不自由するかもしれないが、1人で思いのままに自由旅行をして、色々な体験をしてこそ旅の良さがある、と思った。
 確かに1人旅に伴う苦労や心配があった。しかし、そこには自分が辿った足跡があり又、人との出逢いもあり、それが楽しい思い出として心に残った。今回の旅は、私のその様な想いに基づいて行動していた。お陰で苦労、心配、不安が多かったが、それが旅なのだと思った。後の話だが、私はそんな事を想いながら、ロンドンを後にしてユーラシア大陸を経由、シンガポールへ向けて旅をしようと決めたのであった(11月9日「旅に想いを巡らす」より)。
 所で、団体旅行(団体ツアー)と1人旅の最大の相違、それはその土地、その場所に於ける密着度だと思う。団体ツアーは、表通りを素通りする様なものであるが、1人であればその土地の人と接触する機会や、旅人同士と触れ合う機会もあった。そして、心が通じ合えば必然的に友達になれた。何はともあれ、折角外に出たのであるから、外国人の1人ぐらい友達を作りたいものだが、団体ツアーはその機会が余り無い、と思った。
 今回、私は団体ツアーとしてソ連経由で旅行をした。ハバロスクへ行く車中でソ連人の鉄道技師と語り合い、ハバロスクの彼の家に招かれながら団体ツアーの為、その機会やその人を失ったのは、本当に残念であった。団体ツアー中であったので、諦めるより仕方なかった。それにソ連旅行中、話をしたのは彼1人だけであった。
団体ツアーは、この『仕方ない』と言うのが、最初から最後まで付きまとった。自分はもっとこの場所をじっくり見ていたいと思うのだが、ツアーの日程、時間的都合で仕方ない。ホテルで違った物を食べたいが仕方ない。ゆっくり寝たいが早朝出発でこれも仕方ない。この様に『仕方ない』が付きまとうのが団体ツアーであった。
 所で、何も集団的馬鹿げた行動は、団体ツアーだけではなかった。コペンハーゲン市庁舎前の広場や、アムステルダムのダム広場での若者達の群れ、その群れは他の人を寄せ付けない、排他的な雰囲気を感じた。地元の人は、もっと嫌悪感があったようであった。集団でなければ何も出来ないのは、島国根性に加えて言葉の不自由さ、マナーの悪さが日本人の心の根底にあるのか、最大の理由は彼等が十分な持ち金や能力もなくこちらに来て、仕事にあり付けず困っている者同士が群がっていた様であった。
 いずれにしても、日本がもっと豊かになり、一般の多くの日本人が団体ツアーで世界の多くの国々へ行くようになった時、島国根性丸出し、旅の恥を省みない様な行動していたら世界各国の笑いものになるであろう。日本人皆がマナーを守り、紳士的に行動して、各国から顰蹙(ひんしゅく)されないように心掛けたいものだ。