中家住宅は、大和川北岸に残る大和地方の典型的な大和棟の環濠屋敷で知られ、総面積3,500坪。屋敷は、二重の濠に囲まれ、内濠と外濠の間は、竹藪となり、外観は一見、古墳あるいは、神社の森を思わせる。南側の濠は消滅したが、中世土豪の平城式居館の姿をよく伝えている。中氏は、もとを足立氏と称し、伊勢の国鈴鹿の土豪から鎌倉末期に足利尊氏に従って大和に入り、窪田の姓を名乗ってこの地に居館を定めた。その後、明徳2年(1391年)には窪田中氏と改め、岡崎、笠目、窪田の地を拝領し、筒井に本拠を構えていた筒井一族より養子を迎えることで筒井氏一族の武士として活躍したが、筒井氏の伊賀国替えには同行せず、大和に残り大和郡山城に入った豊臣秀長に仕えた。秀長死後、文禄4年(1595年)、武士から帰農して、窪田村庄屋のみならず、幕府領年預(大庄屋)を長く勤め、275石にのぼる大和の地では例を見ない程の大地主となった。このため、武家造りと農家造りを合わせ持つ造りとなっている。主屋は万治二年(1659年)頃の創建と推定され、新座敷には安永二年(1773年)の棟札がある。その他、表門、米蔵、新蔵、乾蔵、米蔵及び牛小屋、持仏堂、庫裏、そして宅地、濠、竹藪が、昭和43年~53年に国の重要文化財に指定された。
[所在地:奈良県生駒郡安堵町窪田133番地]
<アクセス>JR大和路線・法隆寺駅からかしの木台方面行バス乗車かしの木台下車徒歩約10分(ただしバスの本数が少ないのでタクシーが便利)
近鉄線の場合、最寄り駅は橿原線の平端駅
開館時間 午前10時~午後5時
休館日 8/1~8/31 12/20 ~1/10 見学は電話にて事前に予約
維持管理協力金…500円
▼外濠(東側) ▼外濠(北側)
▼内濠沿いの併の向うに新座敷が見える
▼表門・・・内濠に万一の時には外せる板橋が架かる
▼主屋の正面 茅葺きの大和棟 ▼両脇が土蔵になった米蔵
▼米蔵(左)と乾蔵(右) ▼持仏堂・・・中家が個人で持つ菩提寺(真言宗)
2014/09/28 訪問