柔道整複師(柔整師)の診療報酬にあたる「療養費」を不正受給した事件で、警視庁組織犯罪対策4課は11月6日、指定暴力団・住吉会系3次団体の組長、三戸慶太郎容疑者(49)=東京都新宿区西新宿▽接骨院の運営会社役員、尾高仁容疑者(35)=埼玉県熊谷市上川上,▽東京都杉並区下井草の杉並すこやか整骨院の元経営者・辺土名 朝紀(へんとな・とものり)(35)容疑者=東京都中野区▽コンサルタント会社役員、早川和男容疑者(38)=東京都江東区枝川=の4容疑者ら計14人を詐欺容疑で逮捕した事件で、物まねで活躍するしあつ野郎(37)など吉本興業所属のお笑い芸人が10人前後、患者役として関与していることが11月7日わかった。いずれの芸人も接骨院から数千円から1万円の報酬を受け取っていたとみられる。
逮捕容疑は、2011年8月~2013年6月頃、東京都杉並区下井草の杉並すこやか整骨院(既に閉鎖)で、知人らの保険証を悪用して架空の施術記録を作成し、療養費を渋谷区などの自治体に請求。現金約45万円をだまし取ったとしている。
捜査関係者によると、杉並すこやか接骨院は、2011年6月に開院した。その直後から不正受給が始まり、2013年に閉院するまでの約2年間に、療養費約2450万円を自治体や健康保険組合から詐取した疑いがあるという。不正には暴力団組員の知人や「報酬を渡す」と勧誘された「患者役」の保険証が悪用されていた。
杉並すこやか整骨院を含め、都内の医院、千葉県の歯科医院など計7ケ所の診療所で約5年間にわたり不正請求が繰り返され、療養費や診察報酬の不正受給総額は約1億2000万円に上るとみられている。
捜査関係者によると不正には著名な医師や、お笑いタレントら数百人が関わっていたとみられ、吉本興業以外の大手芸能プロでも、関与が疑われるタレントが浮上しており、芸能界全体に波及うする可能性もありそうだ。
医師・歯科医師が受け取る診療報酬や柔道整復師が受け取る療養費の不正受給は後を絶たない。厚生労働省によると、不正受給があったとして医療機関などに返還を求めた診療報酬は13年度に約146億円。前年度比約15億円増えた。医療費・療養費を不正受給したとして処分される医師・歯科医師・柔道整復師も相次いでいる。
警視庁は、暴力団を中心とした組織的詐欺の全容解明に乗り出す方針。 (ソース:毎日・ヤフー・スポニチ等)