夢屋だより

那須高原・古民家のカフェ夢屋より、カフェの新着情報・染め織りの記録、その他つれづれ日記などをupします。

頑張れ宿の人。

2007年10月20日 | 舞台・映画話

文楽の地方公演が宇都宮へやってきました。

人形浄瑠璃はぜひ生で観たかったですし、なんとたったの三千円。

うれしいですね~。

演目は『伊達娘恋緋鹿子』と『生写朝顔話』でした。

やっぱりすごいです。

何なんでしょうね。

絶対に人形なんですけど、そうは思えなくなってきます。

ある意味、人間より人間らしい動きと言いますか。

一体の人形は、主遣い(右腕と頭)、左遣い(左腕)、足遣い(足)の、三人で動かしています。

でも、とても三人で動かしているとは思えないほどの一体感。

すごいですね~。

観ていると動かしている人は見えなくなります。

男性しかできず、長い経験が必要なので、娘役の主遣いがお爺さん、ということになるのですが、変ではないんですよ。

あれ、無表情だから気にならないのでしょうか。

もし後ろで感情移入のあまりすごい表情してたら、きっとものすごく気になりますよね。

役の喜怒哀楽とは一線を画すといいますか、「俺の仕事は演技じゃなくて、人形に命を吹き込むことだぜ。」という感じでやっていらっしゃるように思います。

でも、劇の状況と無関係なその冷静さがけっこう面白いです。

『生写朝顔話』では最後、主人公の盲目な娘「朝顔」が、生き別れた恋人を追いかける場面があります。

修羅場ですね。

朝顔はすんでのところで恋人と行き違いになったことを知り、後を追います。

髪を振り乱し、必死に走る朝顔。

冷静な顔の主遣い。

危ないから!と止めに入った宿の人をはね飛ばす朝顔。

それでも冷静な主遣い。

なんかすごく痛そうな宿の人。

こっちも冷静な主遣い。

増水した川に阻まれ、怒り狂う朝顔。

やっぱり冷静な主遣い。

絶対に楽しみ方間違っています。

間違っていますが、この対照的な感じはかなり面白いです。

本来感情のある人間が控え、人形があたかも感情があるように動く。

二度手間なのにあえて人形でやる所に面白さがあるのでしょうか。

文楽のすごさは人形遣いだけではありません。

太夫の魅力はもう書き切れませんね。

老人から娘まで、ひとりで演じ分けます。本当にすごいです。

古い言葉で理解できないところもありますが、それを上回る表現力。

・・・すごい。ものすごい。感動です。

百聞は一見にしかず、です。

ぜひ一度、劇場へ足を運んでみてください。


ご利用ご返済は計画的に。

2007年10月02日 | 舞台・映画話

『ヴェニスの商人』を観てきました。

なんと言いますか・・・幸せの絶頂。うん。

大好きなシェイクスピア作品であり、雀なりに結構読み込んでいたので、絶対に観たかったんですよ。

しかも市村正親さんがシャイロック!

もうこれは観るしかねぇべよ。

もう満席で苦労しましたがなんとかチケットを入手、喜び勇んで銀河劇場へ向かいました。

席について開演をまっていますと、ロビーの方から賑やかな音楽が・・・。

演出でしょうか、バイオリンを弾く人、タンバリンをたたく人、仮装した人、道化などが練り歩き、さながらヴェニスのカーニバルのよう。

本物見たことないですけど。

そのまま客席までやってきて客に絡む道化たち。

そしていつの間にか劇が始まりました。(雀の好きな始まり方です!)

いや、もう衝撃の一言です。はじめて演出のなんたるかを実感しました。

原作を読んで雀が勝手に構築したイメージを、がらりと塗り替えられました。

そこをそう解釈するのか!とか、

ぬあるほどぉ、それでそこはああなのね!(意味不明)とか、

すごく新鮮で、納得できました。感動です。

それに役者のパワーも肌で感じました。

市村さんはもう流石です!なにも言えません!好きです!(告白?)

シャイロック・・・なんたる存在感。しかも笑いもとる。すごい。

藤原竜也さんもすごく良かった!好きです!(浮気?)

テレビや映画でその突出した演技力は拝見していましたが、舞台で本領発揮という感じを強く受けました。

声?動き?表情?分からないけど、すごい人です。この人の舞台をもっと観てみたいと思いました。

あと、ラーンスロット役の人がよかったな。

あ、ラーンスロットがいる、と思いました。うん。

あとポーシャも・・・アントーニオも・・・

とにかく、役者さんたちのエネルギーがひしひしと伝わってきます。

舞台から直ですよ直。ぐわ~っと・・・こう、ぐわ~っと・・・。

あぁ、この時代に生まれて良かったな、と思いました。

もう一枚チケットを買っておけばよかったと、しょうもない後悔をしてみたり、

いつかあんな舞台が創りたいなぁと、野望を抱いてみたり、

幸せいっぱい夢いっぱいの今日この頃です。


家宝にするべ。

2007年07月07日 | 舞台・映画話

スーパーで不思議な商品を見つけました。

『減塩しお』・・・なんとも矛盾しまくりなネーミング。ってか減塩したいなら塩使うなや。

さて今日は市民ホールでの、映画『フラガール』の上映会にいってきました。ひとりたったの500円。しかもバレエの先生がタダ券をくださいました。感謝感激雨霰。

すっごくよかったです。感動です。

いつも雀は映画を観てもそんなに泣きません。泣いても文字通り「雀の涙ほど」です。ですから、「全米が泣いた!」の80パーセントは嘘だと思っています。

でもこの映画は泣きました。なんかすごく泣けました。なんででしょう。“泣き”のツボにポコッとはまる感じです。

舞台が福島県だからかもしれません。あの福島なまりが、雀の暮らす栃木なまりにすごく似ていたので、よけいに感情移入しました。

東京とかの方ならそうは成らないのかもしれませんが、うつるんですよ。なまりが。観終わってしばらくはイントネーションが変になります。

でも、なまりっていいなぁと思いました。栃木でも若い人はもうあまりなまり言葉は使いませんが、友達と話していたりするとポロッと出てくるんです。それがなんともいえない良さがあるんですよ。いっきに、こうパッと田圃の緑が眼前に広がるような・・・。これがなくなったら寂しいです。大事にしていきたいですね。

ちなみに、雀が訛るのは嘘をついているときです。「あのぉ~昨日はぁ~なん~か徳川埋蔵金を発見してぇ~ど~するべぇとか悩んでたらぁ~宿題する時間がな~っくなっちゃたんですよぉ~。」分かりやすっ!

映画ですが・・・。昭和40年、福島県のある炭坑町が舞台です。一時期は「黒いダイヤ」とも言われた石炭も、石油エネルギーに圧され空前の灯火。その波はこの炭坑へも押し寄せ、炭鉱会社倒産の危機がせまります。このままではいけない。炭鉱会社の思いついたのがレジャー施設「ハワイアンセンター」の建設でした。しかし、炭坑夫や選炭婦たちは猛反対。当然フラダンサーも集まりません。そんななか、炭坑夫の娘たちが立ち上がります。廃れ行く町のため、家族のため、そしてなにより自分のため。炭坑町とレジャー施設建設との間で苦悩しつつも、精一杯にフラダンスを習得しようとする娘たちの熱意は、ついに町をも動かします。

というような話です。フラダンスがかっこよく見えます。タヒチダンスっていうのかな。すごいです。蒼井優さんのダンスと訛りに注目です。

炭坑夫たちと娘たちの双方の視点から見ると、変わることの悲しさ、変わらないことの悲しさ、その両方がひしひしと伝わってきます。涙と鼻水も出てきます。

とにかく、お勧めなのでぜひぜひぜひ観てください。都会生まれの人でも、どこか懐かしい感じがするのではないでしょうか。


ネギは必須だべ~。

2007年07月01日 | 舞台・映画話

映画『UDON』のDVDを借りてきて観ました。

うどんが食べたくなりました。

舞台は香川県、NYで世界一のコメディアンになるという夢に破れ帰国した男が、地元香川で素朴な「讃岐うどん」の魅力にとりつかれ、暖かな人々と温かなうどんとに育てられて、しだいに変わっていくという話です。

う~ん・・・おもしろい!宣伝で見たときは、「いやいや、UDONってそれ・・・うどんだべ?うどん。いやいやいや・・・」と思っていました。

うどんゴメンなさい!うどんいいですね!ちょっとうどんをナメていました。

「うどんって・・・ファミレスで半分ふやけて出てくるやつでしょ~?牛丼と意味不明なセットになってる陰薄い感じの・・・。」

違うんです。奥が深いんです。

香川のうどん屋の多くは製麺所が本業です。なのでどこにも看板がなかったり、むしろここは店なのか?っていう建物だったりするけど、どんぶりと箸を持って入っていくと、一杯100円ほどでいただけます。打ちたての麺をさっとゆで、つゆをかけただけのシンプルなものですが、どこの製麺所も味が違うんです。オプションで卵やらゲソやらがあるところもありますが、どれも激安です。「ネギ?裏の畑にあっから~。」ってセルフサービスなところもあります。

この素朴さはなんなのでしょうか。きっともともと「副業」だからなんでしょうね。おいしいって言う人がいるから「じゃあ食うかい。」って出し始め、だから原価ギリギリですごく安くて、なにより美味しいのでしょう。「買ってくれぇ~!」という押しじゃなく、「あ、食う?まあええよ。箸もってきな。」という姿勢がすごくいいです。

あ~~~~悔やまれる。この前九州まで行ったのに・・・四国上空を通過したのに・・・。いつか絶対行きます。

うどんの話ばっかりしてしまいましたが、映画もこしがあり、あったか~い人情あり、ピリッと笑いの薬味ありと、とても後味がいいのでぜひ観てください。

そうそう、いつかお話したNACSのリーダー森崎さんもこの映画に出演されております。彼自身うどんが大好きで、よく香川のうどん屋を食べ歩くそうです。あと、大泉洋さんも、ちょ~~~っと出演されています。顔がデカイ方と頭モジャモジャの方です。探してみてください。


雀は食わねど高笑い。

2007年06月07日 | 舞台・映画話

映画『花よりもなほ』のDVDを借りてきて観ました。

良かったです。久しぶりに「当たり~~~~!」っていう感じの映画でした。

父の仇を捜す弱っちい若侍と、彼を囲む極貧長屋の住民たちのすごく暖かい話です。貧しさとか敵討ちとか、背景は暗いですが、長屋の人々は底抜けに明るく元気です。若侍もそんな人達と共に過ごすうちにある一つの答えにたどり着きます。『勝つ』って何か、『恨み』って何か、すごく自然に考えさせてくれる映画でした。

あと、映画の中ですごくいい言葉がありました。

「桜が散るのは、来年また咲くって知っているからじゃないの?」

本当に、あるシーンでポンッと出てくるんですが、「あ!そうか」って思う。たった一言ですべてが納得できる感じがします。

見終わってずーっと余韻がのこるっていうよりも、スカッとして元気になれる映画です。オススメですよ~。