いやいやいやいや・・・お久しぶりです。雀の更新を今か今かと待っていた人も、そうでもない人もお待たせしました!雀、演劇界から帰って参りました。
小屋入りとか仕込みとか初日とか色々あったんですが、忙しすぎてブログを書く時間も余裕もありませんでした。ほんとすみません。
今回の芝居は王子のpit/北区域という劇場で打ちました。
町の中に埋もれたような地下にある劇場で、45人収容の小さな小屋です。
舞台は二面が客席に面していて二面が壁、そのうちの一面に扉が一つついているという不思議な構造です。下北沢の「楽園」にちょっと似てるかな。
初めて関わる芝居としては立派すぎるくらい立派な小屋でした。
雀は稽古中は演出助手だったのですが、小屋入り後は舞台監督として悪戦苦闘しました。
まず演助と舞監を兼任するってことは普通ありえないし、だいたい舞台初心者に舞監を任せるというのは危険すぎることです。保育園児に送迎バス運転させるようなものです。
それでも任されたからには何とかしないとと思い、できる限り頑張りました。ちゃんと運転できたかは謎です。最後の方はだいぶ出来ていたと思いますが、幻想かも。なんせ大変でしたが、もっとデキる舞監はもっと大変なのでしょう。
舞監の仕事の中で一番楽しかったのは、「キュー出し」です。
開場前に音響ブースや照明ブース、舞台袖や制作などの各セクションにスタンバイOKの確認をとり、「それでは開場お願いします!」と、開場キューを出します。
まずこれが気持ちいい。大した能力もないのに、やらせてもらって良いのだろうかと不安になるくらいです。
それから客の入り具合を見て、「前説キュー」「消灯キュー」「開演Mキュー」をシーバーで出してゆきます。自分が出さないと全てが止まってしまうという重責感はありますが、それ以上に憧れの舞監の仕事ができるという高揚感でいっぱいでした。
芝居が始まってしまえば雀は暗い袖中に待機して、ハケてくる役者のために扉を開けたり、ライトで蓄光テープにひたすら光をためたりしてます。
この蓄光テープがかなりのくせ者で、光をためて暗闇で光り、暗転中や真っ暗な袖中で役者の通行を助けるのですが、なんせすぐ光が抜ける・・・。暑い袖中で、真っ黒な長袖長ズボンで、おまけに黒手袋までして、1時間40分間ひたすら懐中電灯で光をためる。場所が場所なら軽く殺人犯に見えそうです。
そんなこんなで楽日を迎え、大楽。
やっぱり千秋楽は独特の雰囲気がありました。スタッフも役者も、不思議な高揚感。
本番中、袖で聞いていると役者の演技も結構違う。う~ん・・・これが演劇というものかと感動していると、そろそろ役者がハケてくるタイミング。取っ手をつかんでスタンバイ。
・・・っどーん!
なんか強くね?!いつもより強くね?!ってか痛い!・・・これが演劇というものか・・・。
打ち上げは日をまたいで朝まで続きました。もう二度と揃うことはないかもしれないメンバーが、二ヶ月一緒に頑張ったメンバーが、楽しく飲んでいる光景はとっても幸せになると同時に、なんだか突然寂しくなるものでした。
演劇って生ものだから形には決して残りません。その儚さと確かさを改めて感じて、やっぱ演劇って良いなって思った雀さんです。
誰かが歌った加藤登紀子の「時には昔の話を」が、なんだか耳にずっと残っていました。
気づいたら政権は交代し、台風11号は去っていました。