夢屋だより

那須高原・古民家のカフェ夢屋より、カフェの新着情報・染め織りの記録、その他つれづれ日記などをupします。

人は痛みを知って強くなる。

2009年11月19日 | ゆるゆる日記

この間、演出コースの友達が立ち上げた劇団の公演がありました。

この劇団には関わっていなかったのですが、色々あって急遽本番一週間前に友達が舞台監督で入り、雀はそいつに舞監補佐で引き込まれました。稽古も一回しか出てないのに・・・スタッフ会議もなかったのに・・・。こんなに不安な現場は又とありません。

小屋入り当日。舞監と演出は劇場で建て込み&仕込みを見なければならないので、雀が最終通し稽古を見ることに。

ここで初めて芝居の全容を把握。

その後役者陣は昼食に向かわせ、雀は一足先に劇場入りです。

場所は池袋のGEKIBA。そう、ついこの前チキムの公演を打った劇場です。

懐かしい場内には、装置っ子達の手でセットが組まれつつありました。

この劇団は全員1年生で構成されていました。今まで外部や先輩の劇団ばかりだったので、寄る辺ない感じがなんだか新鮮・・・。先輩に比べるとやっぱり手際が悪いですが、なかなか見られない同学年他コースの子達の仕事をしている姿が見られて嬉しかったです。

そして、装置のクオリティが凄い!寂れた旅館の一室なのですが、チキムの時の装置に勝るとも劣らない素晴らしいセットでした。

で、小道具の一つにちゃぶ台があったのですが、それは装置っ子が小道具のレンタルショップに借りたらしく二人くらいで取りに行ってほしいとのこと。

ちゃぶ台くらいなら一人でも持てるよね。っていうか作ればいいのに。などとブツブツ言いながら、制作の子と浜松町まで取りに行くことに。

遠い・・・山手線半周。

初めて足を踏み入れた小道具のレンタルショップは、もう異空間!

なんでもある!様々な古めかしい革の旅行鞄、船の羅針盤、潜水服、アンティークっぽい天球儀・・・。およそ一般には手に入らないようなものや、もはや何に使うのかわからないものが店内の棚にずらりと並んでいます。

ここにあるもの全部使って芝居やりたい!

雀、リサイクルショップで働いているのですがそんなちゃちなものじゃなく、全部ホンモノなんだなと雀にも分かるようなものばかり。買ったら幾らになるのか・・・想像もつきません。

店先に旅館にあるような長方形の重厚な木の机がひとつ、置いてありました。

ん~・・・これじゃないよね。ちゃぶ台って言ってたしね。あれ、でも旅館・・・いやいやいや。

そこにやおら店員さんが現て机を丁寧に梱包し始め、にこやかに渡してくれました。

これか~い!いや無理だよ?!池袋までって・・・無理だよ?!

それはもう重たくて、縦3尺横4尺はあろうかという大物です。泣きそうになって舞監に連絡すると、「大丈夫!」の一言。全く大丈夫じゃねぇし!

真っ昼間に女子ふたりが大きな机を運んでいる。・・・それはかなり不思議な光景らしく、生まれて初めて視線が文字通り「痛い」ものなのだと実感しました。

駅員さんにビビられながらもなんとか電車には乗ることができ、山手線を半周して池袋に帰還。一日で山手線一周しちゃったよ・・・。

さらに視線に耐えながら劇場まで運びます。途中ギャルに「なにあれ~」とあからさまに後ろ指を指され、心が折れそうになりつつなんとかGEKIBA到着。

雀はすぐに別の現場の仕事がありふたたび駅へダッシュしたのですが、机を持っていないということがこんなに幸せだったとは!

世の中は気づかない幸せで満ちているな。

仕事を終え帰ってきて池袋駅構内を歩いていると、机運びで体力を使い切ったのか生まれて初めて全集中力が切れるという現象を体験し、西口に出なくてはいけないのに気づくと南口に立っていました。

これが白昼夢というやつか・・・。

でもまあ西口へもどる道すがら、いつもは通らないクリスマスの飾り付けをしたショーウィンドウの前も通れたし、よしとしよう。

机運びの臨死体験のおかげで、いつになくポジティブになれた一日でした。