旅するくも

『旅が旅であることを終わらせる為の記録』

楽しみな夕方

2011-08-03 07:28:39 | 素晴らしき日々
仕事が終わってからの夕方。
トレーラーの外に椅子を出して甘いコーヒーを飲み、音楽を聴きながら景色を楽しむ
僕が一日の中で特に楽しみにしているとき。

このあいだ、横の家のまだ名前も知らないオジイさんが川で釣りをしていて、前を通り
かかったときに話しかけるとイワナとアマゴが釣れるらしい事を教えてくれた。

昨日は来客が多く、裏の後藤さんの奥さんから茹でたトウモロコシを2本いただいた。
それからしばらくして、職場の役員の村松さんが夏野菜を持ってきてくれた。
なんとも嬉しい。
今度はキャンプ場の責任者の永瀬さんがやってきて、シュークリームを二つ。
豪華な日だった。

多少、農薬がかかっているであろう野菜でも僕は喜んで食べる。
無農薬で野菜を育てることは確かに素晴らしいけど、無農薬の野菜しか
食べれない人間よりも、多少農薬がかかっている野菜でも喜んでいただく方が
よっぽど健康だと思う。
インディアンという視野から考えても誰が育てたかわからない無農薬野菜よりも
育てた人がわかる野菜の方が良い。

それに後藤さんの奥さんは明らかに僕が帰ってくる時間を予測してトウモロコシを
茹でてくれている。
夜はインターフォンが無いトレーラーだと部屋で音楽を聴いていると誰か
訪ねてきても気がつかない。
だから、後藤さんの奥さんから言えば、僕に手渡せる唯一のチャンスである
夕方の時間に火傷しそうに熱いトウモロコシを持ってきてくれるのだ。
ありがたい!

さらに「ブーン」と軽トラックが家の前で止まり、なんだろうと思ったら横の家の
方が釣った魚を嬉しそうに見せてくれた。
「これがイワナでこれがアマゴだ。」と説明してくれる。
この川のどこにこんな魚がいるのか不思議なくらいに大きい。
次の言葉に期待するところだけど、オジイさんは「それじゃあ」と去っていった。
「くれねーのかよ!」と言いそうになるが、ぐっと堪える。

そんな夕方の僕が楽しみにしているときは、なかなか暇なようで忙しい。
つまんなそうで実は楽しい。

リアル田舎に泊まろう

2011-07-27 11:15:52 | 素晴らしき日々
昨日、仕事が終わったあと、隣村にある理髪店に電話をすると6時に閉まるとのことだった。
早く隣村に行きたいところだけど、一度自宅に戻って破れたズボンを車に乗せてから、
急いで理髪店「ささき」に向かう。

村の50メートルくらい続く商店街の中にある「ささき」を見つけ、なんとか6時前に
滑り込んで、僕のモサッとした髪の毛を切ってもらう。

「全体を1センチちょっと切って、空いてください」という僕の注文に「わかりました」と
理髪店だけにきっちり整った髪をしているオヤジさんが答える。
それから「髪を空くのにも2パターンありまして」と雑誌を手に取り丁寧に教えてくれるオヤジさん。

ただ空くものと束感をだすものがあるらしく、僕はすぐに「束感がある方で」と答えても
オヤジさんは指を立ててスッと口元に持っていき「最後まで聞いておくれよ」というジェスチャー。

それから7Generationswalkで長野歩いた時の話で盛り上がり、「貴重な話をありがとうございました」
と言うオヤジさん。
あわてて「とんでもないです!」と僕は言い、車に積んであった7Generationswalkの冊子を手渡して、
理容店「ささき」をあとにする。

それから、破れたズボンを縫ってもらう為に事務所の元気なオバちゃんの家に向かう。
着くとそこは大きな家。
ちょうど帰ってきたオバちゃんと合流すると今日は東京から中学生が4人泊まりにきているらしかった。
学校の行事で「民泊」という都会の子供が農家の家に泊まるというシステムで天候が不安定な為に大きな
車庫では「リアル田舎に泊まろう」の真っ最中だった。
「食べてく?」というその言葉に誘われ、その中に混じって椅子に座る。

事務所の元気なオバちゃんの無農薬、無肥料で米を育てる父親は、やはり想像したまま元気なオヤジさん
だった。
子は親の分身である。
それに「オエッ」と言いながら酒を飲む、いつ泡を噴いてもおかしくない近所のオジイさん。
江戸川区の中学2年生、男子4人(サッカー部3人)。
僕と事務所のオバちゃんがテーブルを囲むという何とも奇妙な組み合わせ。

生意気だったら、ドツイてやろうと思っていた東京の中学生は何とも可愛らしく、将来は
「プロ・サッカー選手になる」と目を輝かせて語っていた。
僕がサッカーでプロになれない事に気がついたのは中学2年だったので、「プロにはなれないんだよ。」
と教えてあげるかわりに、ドリブルする時のボールの正しい位置を教えてあげた。
今の中学生の生活を知りたくて、たくさん質問を浴びせたが、携帯電話の違いはあれど、僕のころと
大きく変わらないようだった。
星を見に外に出ると「すげー!」と感動して、「クワガタはいるの?」なんて聞いてくる。
勉強ではなくて、地球に触れたがっている可愛らしいどこにでもいる子供達だった。

最後には酔っぱらった元気なオヤジさんの酸欠で倒れそうなハーモニカ演奏を真剣に聴く子供と、
笑いを堪えきれずに吹き出している事務所のオバちゃん。
「お前ゴールキーパーだったら、あのオヤジの演奏を止めろ」という僕。

長野に来てからもうすぐ1ヶ月。
毎日が嘘のように充実している素晴らしき日々。

世界がクソだらけになったら

2011-07-23 20:35:27 | 素晴らしき日々
僕の個人的な調査によると、この国にはトイレの中でしかクソが
できない人が多くいるようだ。

部屋の外で月を眺めながらする野クソがどれだけリラックスできて、
気持ちがいいものか知らないというのは非常にもったいない。

トイレという四角い箱の外でする野グソがどれだけ気持ちのいいことなのかを
知り、何故なのかを理解する人が増えて、この国がクソで溢れたら少しはマシな
国になるのだろうとトイレの中で感じた。

※1 深さ20センチほどの穴を掘って行う方が分解されやすいそうだ。
野グソを始めてみようと考えている方はスコップを忘れずに。

※2 もし、誰かと共に行動している場合は「野クソしてくる」なんて下品な
言葉ではなく、男性の場合は「キジを撃ってくる」。
女性の場合は「お花摘みに行ってくる」と伝えた方がスマートだろう。

台風の足あと

2011-07-20 20:52:53 | 素晴らしき日々
台風がやってきた。

朝、僕が住んでいるトレーラーの壁を激しく叩く雨。
こんな日にキャンプ(バンガロー泊)にくるお客さんがいるという事で
休みであったであろう仕事に渋々行く事になってしまった。

夕方には朝の雨が嘘のようにやみ、青空が見え光が差し込んだ。
仕事が終わって帰宅。
さっそくイスをトレーラーの外に出して、甘いインスタントコーヒーを入れる。

それからイスに座り世界を眺める。
空、風、山が生まれ変わったように生き生きとして、それぞれの色が美しかった。

台風のあとの浄化された世界の美しさをみた夕方だった。
僕は台風の通り過ぎたあとの足跡を見るのが好きだ。

7月4日

2011-07-06 07:17:55 | 素晴らしき日々
7月4日はMucawの誕生日だった。
Mucawとはアメリカ横断のLongestwalk2で出会ったのだけれど、
ゴールしてから3ヶ月後に電車の線路で列車に首が切断された状態で
発見された。

事故として処理されたけれど、列車に首が切断される事故というものが
ありえるのか僕には不思議でならない。
アメリカという国はそういうところなんだ。

Longestwalkに影響を受けて始まった7Generationswalkの静岡案内人を
引き受けたのは彼の死があったからだった。

7月4日はMucawの誕生日。
Happy Birthday Mucaw.

さっそく虹がでた

2011-06-30 21:13:38 | 素晴らしき日々
慌ただしく荷物を車に詰め込んで今日の午後長野へ出発した。
この前の台風の時に一度来ているので道はわかっていたが、なんと言う名前の町なのかは
知らず、家族や友人になんていう名前の場所なのか聞かれても答えることができなかった。

浜松を通りすぎて、ずっと北上して長野に入った。
車の外が涼しいことを考えると、だいぶ標高が高いようだった。
橋の上で1000メートルという看板。
そこからさらに坂を上る。
4時間かかってようやく着いた場所は長野県売木村。
市でも町でもなく、村!

着いてすぐに大雨と雷がやってきた。
凄く親切そうなスタッフの方たちに挨拶をしてから、さっそく長野で僕の宿泊先になる
トレーラーを見に行く途中で虹が見えた!
僕が何か良い場所に巡り会うとき、ここ数年、空に虹が出るようになっている。
新しい場所で、さっそくいいことがありそうな気配。

そして、田んぼに挟まれた道を進むと僕が2ヶ月暮らすことになるトレーラーがあった。

うおお~!いい~!




アメリカの砂漠にあるナバホ(ディネ)のトレーラーとは雰囲気はだいぶ違うけれど、
やはりワクワクする。

小さな商店がある以外に水田くらいしか無い小さな村にあるガソリンスタンドの看板に、
ハイオク「ナシ」。
僕はこんなの初めて見た。




「売り切れ」ではなく、「ナシ」。
こんな場所での新しい生活が楽しみだ。

50マイル

2011-06-29 00:44:59 | 素晴らしき日々
2月14日にカルフォルニアを出発した7000キロのアメリカを徒歩と
走ることで繋ぎ縦断するLongest walk3がゴールに近づいている。
3年前に行われたLongest walk2に僕は参加したのだけれど、たくさんの
人に出会った。
カエルとしか思えない人や、馬としか思えない人。

たくさん出会ったなかでも特に僕が仲良くなったのはカナダのアニシナベ族の
ハンターであるRAYだった。
アメリカ横断の最初から最後までの5ヶ月を全て参加した強者だ。
とにかく無愛想で近づきにくく、いつも一人でいるような人物だったのだけれど、
なぜだか僕は仲が良かった。
僕はそういう人物と仲良くなることが多々ある。

この間、Longest walkに参加している7Generations walkの山田さんが一時帰国
したときに、RAYが今回も参加していることを教えてもらい3年前のアメリカが
近くに感じられて懐かしかった。
今回のウォークに参加する少し前にも彼はムースを狩っていたらしい。

その彼が明日50マイル(1マイルは1・6キロ)走るということを、さっき
Facebookのデニス・バンクスの応援を求める告知で知った。
アメリカの東海岸は日本以上の湿度と温度だ。
そのなかを80キロ。
でも、まあ、あの男ならやりきるだろうなと。

アメリカの友人と離れても連絡が取れるように登録した、(登録させられた)
Facebookがやっと役にたった。

All the way Ray!!

昨日の記憶の外

2011-06-25 21:26:35 | 素晴らしき日々
太陽が昇って朝がくる。
太陽が沈むと夜がやってくる。

どこか、僕は昨日の自分の記憶の続きを生きているだけで、今を
生きていないんじゃないかと考えるようになった。
今日という昨日の記憶の続きの中で、僕は今をリアルに感じられていない。

どうしたら昨日の自分から今の自分に追いつけるのか僕にはわからないが
ここ何日かで僕なりにわかった事がある。

長く続いた雨が、ここ何日か降る事なく僕はまだ7月前なのに、
信じられないほどの暑さ、強い日差しと、風を感じながら外で仕事をしている。
一日を外で過ごすという凄く簡単でシンプルなことだけれど少し今が見えた
気がしたんだ。

部屋の外、太陽の下にいるだけで、太陽は自分がどこにいるのか、今は
どこにあるのかを太陽が指差してくれる気がする。
太陽が作り出す時の輪の中心に今があり、世界の中心は今ここにある。

ただ、太陽の下にいるというだけで僕らは地球を抱きしめることができ、
同時に僕は地球に抱きしめられている事を知ることができる。

それに、地球を抱きしめるという事は今を抱きしめる事でもあるんだと
気がついたこのごろ。

今ここに世界の中心がある。

原発ぬきで映画を

2011-06-18 22:28:29 | 素晴らしき日々
先週から寝る前に「ポニョはこうして生まれた」という崖の上のポニョの制作時の宮崎駿監督に密着した
全5巻からなる14時間のDVDを1週間コツコツと見続けてきて、今日やっと見終わった。

なんの偶然か、昨日のニュースでスタジオ・ジブリの屋上に宮崎駿監督の発案で、
「スタジオ・ジブリは原発ぬきの電気で映画をつくりたい」という横断幕が設置されたという
ニュースをみつけて面白かった。



宮崎駿の持つ魅力をとことん感じる14時間だった。

「スタジオ・ジブリは原発ぬきの電気で映画をつくりたい」
http://www.47news.jp/CN/201106/CN2011061701001128.html