街から街へ。
国から国への移動は、旅人にとって、このさきどんな街があって、どんな人に出会えるのかと想像が膨らみワクワクする時間だ。
ある日、僕はグアテマラとメキシコの国境を越える為にジャングルの中を走るバスにいた。
舗装されていない道を砂煙を上げながら走るバス。
僕が乗ったそのバスがジャングルを越えて沙漠になったところで停車した。
青い建物の中から警察のような服装の人物がバスのドアを開けてバスの中を見回して何かを探しているようだった。
僕と目が合ったときその男は『降りろ!』と合図した。
わけがわからないままバスを降り、青い建物に入る。
どうやら、沙漠のど真ん中にあるその建物が入国審査局だった。
グアテマラとメキシコの国境にある川を船で渡り、タクシーで道沿いにある小さなお店まで行き、そこでバスを待つ事にした。
と言っても時刻表なんかもちろんなければ、バスが来る保証もない。
子豚と遊びながら30分ほど待っているとお腹が減り、小汚い店でインスタントラーメンを注文した。
コンロで水をお湯に変えているとき、運悪く無理やり人が詰め込まれたバスが
やってきた。
「オバちゃんもぉいいから!鍋に入ったお湯を入れてくれ!」とジェスチャーで伝え、
バックパックとカップラーメンを持ちバスに乗り込んだ。
何とか乗り込んだバスの車内で僕は車内に流れる重い空気を感じた。
その重い空気は僕がカップラーメンを持ち込んだからではなく、僕の前の席に座っている若い都会っこ風のカップルから発せられていた。
若いカップルは喧嘩をしていて、わがままそうな女が泣きながら男に何か文句を言っている。
僕はカップラーメンをフォークで突っついて硬さを確かめながら、目の前のカップルの喧嘩を観戦する。
突然、ジャングルから現れた男がバスに『とまってくれ!』と合図をするのが、人と人の
隙間から見えた。
ドアが開き、室内灯で男が照らされる。
なんとも奇妙なその男は、がっしりとした体で髪の毛は長く天然と思われるパーマがかかり
モジャモジャだ。
そして、白くて特大なTシャツのようなワンピースを着ている。
男はバスに乗り込んだのは良いが席が無かったので狭い車内で立ったまま乗る事となった。
『運が悪い!』と車内にいた誰からも溜め息が出るほど男は運が無かった。
なぜなら、男はよりによって、あの喧嘩している都会っこカップルの目の前に向き合うようにして立ち、さらに何を考えているのか男は明らかにノーパンだったのだ。
車が揺れれば男も揺れる。
わがままそうな女が時々上げる悲鳴が静かな車内に響く。
女は彼氏にしがみつき、男から可能なかぎり距離をあけた。
喧嘩していたはずのカップルはいつの間にかタッグを組み、カップルVS奇妙な男となっていた。
その戦いはその後15分ほど続き、奇妙な男の敗走で幕を閉じた。
目の前で起きる事と、ずいぶん時間がたつのに硬いままの冷たいラーメンに僕はうんざりしながら、「もぉ、日本に帰りてーなー!」と独り言。
タフでなければ旅は続けられない。
国から国への移動は、旅人にとって、このさきどんな街があって、どんな人に出会えるのかと想像が膨らみワクワクする時間だ。
ある日、僕はグアテマラとメキシコの国境を越える為にジャングルの中を走るバスにいた。
舗装されていない道を砂煙を上げながら走るバス。
僕が乗ったそのバスがジャングルを越えて沙漠になったところで停車した。
青い建物の中から警察のような服装の人物がバスのドアを開けてバスの中を見回して何かを探しているようだった。
僕と目が合ったときその男は『降りろ!』と合図した。
わけがわからないままバスを降り、青い建物に入る。
どうやら、沙漠のど真ん中にあるその建物が入国審査局だった。
グアテマラとメキシコの国境にある川を船で渡り、タクシーで道沿いにある小さなお店まで行き、そこでバスを待つ事にした。
と言っても時刻表なんかもちろんなければ、バスが来る保証もない。
子豚と遊びながら30分ほど待っているとお腹が減り、小汚い店でインスタントラーメンを注文した。
コンロで水をお湯に変えているとき、運悪く無理やり人が詰め込まれたバスが
やってきた。
「オバちゃんもぉいいから!鍋に入ったお湯を入れてくれ!」とジェスチャーで伝え、
バックパックとカップラーメンを持ちバスに乗り込んだ。
何とか乗り込んだバスの車内で僕は車内に流れる重い空気を感じた。
その重い空気は僕がカップラーメンを持ち込んだからではなく、僕の前の席に座っている若い都会っこ風のカップルから発せられていた。
若いカップルは喧嘩をしていて、わがままそうな女が泣きながら男に何か文句を言っている。
僕はカップラーメンをフォークで突っついて硬さを確かめながら、目の前のカップルの喧嘩を観戦する。
突然、ジャングルから現れた男がバスに『とまってくれ!』と合図をするのが、人と人の
隙間から見えた。
ドアが開き、室内灯で男が照らされる。
なんとも奇妙なその男は、がっしりとした体で髪の毛は長く天然と思われるパーマがかかり
モジャモジャだ。
そして、白くて特大なTシャツのようなワンピースを着ている。
男はバスに乗り込んだのは良いが席が無かったので狭い車内で立ったまま乗る事となった。
『運が悪い!』と車内にいた誰からも溜め息が出るほど男は運が無かった。
なぜなら、男はよりによって、あの喧嘩している都会っこカップルの目の前に向き合うようにして立ち、さらに何を考えているのか男は明らかにノーパンだったのだ。
車が揺れれば男も揺れる。
わがままそうな女が時々上げる悲鳴が静かな車内に響く。
女は彼氏にしがみつき、男から可能なかぎり距離をあけた。
喧嘩していたはずのカップルはいつの間にかタッグを組み、カップルVS奇妙な男となっていた。
その戦いはその後15分ほど続き、奇妙な男の敗走で幕を閉じた。
目の前で起きる事と、ずいぶん時間がたつのに硬いままの冷たいラーメンに僕はうんざりしながら、「もぉ、日本に帰りてーなー!」と独り言。
タフでなければ旅は続けられない。