蘇民将来符とは、信濃国分寺が毎年1月7日・8日の八日堂縁日で参拝者たちに授ける招福除災を祈る護符のこと。
この蘇民将来符は、ドロヤナギ材を手彫りにし、六角錐形をしている。
その形状と図柄は民芸的に格調が高く、民俗学的にも貴重な文化財とされており、昭和43年4月に上田市の民俗文化財に指定。
平成12年12月には「上田市八日堂の蘇民将来符頒布習俗」が「国選択無形民俗文化財」に認定され、全国に誇れる無形民俗文化財とされている。
蘇民講は、蘇民将来符づくりにかかわる村人の組織であり、江戸時代以前より信濃国分寺の門前に家々を構えていた人々の講である。
蘇民講の人々は、作成した蘇民将来符を箱に入れて7日に国分寺に持ち寄り、数などを点検し、その後本尊薬師如来の前にそなえて護摩の祈祷を受ける。
翌8日の朝には、本堂前の石畳の両側に並んで、護符を一般に頒布している。
ドロヤナギの正式な植物学上の名称はヤマナラシ。
ハコヤナギともいわれポプラと同属の植物である。
葉は先がややとがった形で、樹皮は暗灰色を呈している。
この木は山地に自生し、四月に褐色の穂状の花をつけ、雌雄異株である。
当地方では、真田町、東部町、和田村、立科町等の標高700mから1200mの山林に自生、
幹はまっすぐに伸びやすく、樹高は15m~20m、直径は通常30cmほどになり、
若木の樹皮は滑らかな緑灰色で、樹皮の上に菱形の皮目がみられる。
葉柄の断面は扁平で、葉が風に揺れやすく、わずかな風でもサラサラと音をたてるためヤマナラシの名が生じた。
また、材質が白く箱材に用いられたためハコヤナギとも称されている。
その材質の加工のしやすさからマッチの軸木、パルプ、ツマ楊子、箱材などに用いられている。