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世界は変えられる いまこそ【活憲】の時代  伊藤千尋  ベネズエラの憲法活用、非情な国日本・アメリカ

2011-06-01 | 海外通信/外交/平和運動
 世界は変えられる、 いまこそ【活憲】の時代 ①  伊藤千尋     【学習の友】2010 10 No:686
 今また、憲法改正への布石が、こそこそと敷きつめられようとしていますにゃ・・・ 賛成2/3から1/2へ!? その記事は後日・・?
 とりあえず、コピーさせてくれた人ありがとうございます(笑) ここからも、どなたでもコピペして広めてくださいにゃ。
 

  
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 ベネズエラ
 
 ― 貧困をなくす現場から

【王様と物もらいの国】と言われたベネズエラで今、住民が話し合い、補助金を最も貧しい家の屋根の修理に使っている。】

 この夏、南米のベネズエラを訪れた。アメリカの影響を急速にしている中南米の中でも、その先頭を走る国だ。 『21世紀型の社会主義』を掲げて、市民参加で新しい社会造りを実現している。 

 この国はかつて『王様と物もらいの国』と呼ばれた。石油の埋蔵量は世界第二位だが、石油の利権を得るのはほんの一部の金持ちだけで、ほとんどの国民は貧しいままの状態に置かれてきた。それが変化したのは大統領選に勝ったチャべスが1999年に政権に就いてからだ。貧しい人々のための政府を掲げ、公約通りに実行している。

 スラムに入った。二階建ての目立つ建物がある。 このスラムのコミュニティー・センターだ。以前は警察署だったという。かつてはスラムの住民を取り締まる場だったが、今は住民の自主的な活動の中心になったというから痛快だ。
 一階はスーパーだった。街中の商業スーパーに比べて、値段が4割も安い。貧しい住民が買えるように、4割分は政府が補助している。石油の収入を最も困った人のために充てているのだ。

 棚には米や食用油、塩や砂糖などが並ぶ。米の袋を見て驚いた。ビニールの袋の表に憲法が印刷してある(写真)。ベネズエラ憲法第三二六条の『国家の安全』の条文だ。 「国家の安全は、独立、民主主義、平等、平和、自由、正義、連帯、振興、環境保全、人権保障の原則に従い、国と市民社会の相応した関係に基づく」と書いてある。
この国で家庭の主婦は、お米を袋から取り出すたびに、この憲法の条文を目にするわけだ。商品を入れるレジ袋にも「国の主権のために、食料の安全保障を」と赤い文字で印刷してある。

 二階は集会所だ。ここで住民が集まり、スラムの発展のためにさまざまなことを決めるという。国からの補助金をどう使うかで話し合ったときは、住民に等分に配るのではなく、最も貧しい家の屋根を修理する費用に使うなど決めた。貧しい人が自分より貧しい人々を思いやるのだ。

 二階の一角に小さな部屋があった。壁にチャべス大統領と並んでキューバ革命の立役者チェ・ゲバラの写真が掛けてある。ここは「民衆銀行」だった。スラムの住民が何か新しい事業をしたいときや店を開きたいというとき、必要なのは元手だ。しかし、街中の銀行は貧しい住民にはカネを貸してくれない。それをこの民衆銀行が融資する。その金利を聞くと、「街の銀行は年利23%だけど、ここは6%。しかも3年で返せばいい」という。これなら貧しい住民でもやっていけそうだ。これも国の補助があるからできることである。


 (つづく)



 貧困への気配り


 今の世界の悪の元凶、新自由主義の牙城であるアメリカにも、変化は見られる。オバマ大統領は国際的には核軍縮で名をはせたが、国内政策で行ったのが医療保険の改革だ。民営化を絵に描いたようなこの国はかつて、貧しい人々は病気になっても病院に行けなかった。診療代が目をむくような高額だからだ。ふだん民間の保険に入って高い保険料を払っていないと、いざというときに入院させてもらえない。救急車だって、カードを持っていないと乗せてくれない、 『地獄の沙汰もカネ次第』そのままの非情な国である。

 医療保険が整っていないことを問題にしたのは、社会派の映画監督マイケル・ムーアだった。映画[シロッコ]で問うたのが『国はなんのためにあるのか』という素朴な問いかけだ。国民を見殺しにするような政府なんていらない、と主張した。それを大統領選の公約に採り入れたのがオバマだ。

 これまでのアメリカでは何事も資本主義の一本槍だった。医療保険など弱者を思いやる考え方は社会主義に沿ったものだと一蹴されていた。ところが、行き過ぎた民営化の害を受けた市民はようやく、政治はみんなのためにあるというあたり前のことに気付いた。

 そのムーア監督が『キャピタリズム』のプロモーションのため昨年末、来日した(2009年末)。東京での記者会見で彼は、投資家の利益だけを追い求めるアメリカ流の資本主義を口を極めて非難した。 さらに、 「日本の資本主義はアメリカと違い、いったん雇った社員を首にするのは恥だと考えていたと聞く。それが今はアメリカのまねをするようになった。どうかアメリカに追従するようなことはやめてほしい」と45分間にわたって語りかけた。

 今のアメリカでは、せっかく手に入れたマイホームのローンが払えず、家を手放さざるをえない人々が信じられないほど多数いる。それを放置し、ただ金持ちのための政策をするような政府っていったい何だ、とムーア監督は問いかけた。
 オバマ大統領の政府がいきなり弱者中心の政策をあれこれやるわけではない。しかし、少しずつ弱者の視点を採り入れているのは事実だ。あのアメリカでさえ、このように少しずつ変化している。



≪活憲の時代≫

 そのアメリカはイラクで戦争をしてきたが、派兵された兵士には命令を拒否する者が続出した。将校として初めて拒否したのがアーレン・ワタダという中尉だ。名前から推測できるように、日系人である。
 彼は2001年の9・11のさいに、愛国心に燃えて軍人になった。イラク戦争への派遣命令が来たとき、一刻も早く現地に行きたいと考えたが、半年の猶予があった。このため自分が戦いに行こうとしているイラクの予備知識を仕入れようと、現地の事情を調べて愕然とした。アメリカ軍がイラクで行っていたのは、普通の市民を殺し拷問することだったからだ。

 彼は、合衆国憲法が認めた正しい戦争ではないと考えた。同僚にそう話すと、同僚は「軍人は黙って上官の命令に従えばいいんだ。そもそも軍人になったさいに忠誠の誓いをしたのだし」と応えた。これに対してワタダ中尉は反論した。「私が忠誠を誓ったのは合衆国憲法に対してであって、大統領に忠誠を誓ったのではない。大統領が憲法に違反するような不当な戦争をするのなら、抵抗するのが兵士の義務だ」と主張した。 なかなか気骨ある軍人ではないか。いや、軍人である前に一人の市民だという自覚があるからできることだ。

 なにかあれば憲法に立ち戻って考え、それを普段から実践するかどうかが重要なのだ。日本では憲法など自分とは何の関係もないと考える市民が多いが、それは自分を『政府に支配される国民』に身売りするようなものだ。自覚ある市民社会の市民であろうとするなら、このワタダ中将のような、憲法を活かして行動する人間であるべきだろう。このような市民が新しい社会を作る。

 中米のコスタリカは日本とおなじく平和憲法を持っているが、1949年の新憲法で文字通り軍隊をなくした。それでいて60年以上も平和を保っている。ノー天気にボケているわけではない。近隣の三つの国の戦争を終わらせる平和外交を展開したり隣国の難民100万人を引き受けるなど、世界を平和にする努力を行ってきた。この国は国連の場でも【平和国家】として一目置かれている。


 (つづく)




ドイツとの違い


 憲法は社会の基盤となる約束事だ。それさえ自らホゴにするような国は世界から信用されない。『二枚舌』という批判を浴びるのは当然だ。とりわけ、過去に日本から侵略された経験がある周囲のアジアの国からは冷ややかな目で見られるのは言うまでもない。
 同じように第二次世界大戦で負けたドイツは、過去の清算で日本とは違う道をたどった。終戦の日を【民主主義の日】と位置づけ、戦後60年の記念日には首都ベルリンの中心部にユダヤ人を虐殺したことを忘れないための壮大な記念碑をつくった。今のドイツがけっして過去を忘れてはいけないことを内外に示したのだ。こんなことをきちんと行っているから、周囲の国は現在のドイツ政府と過去のナチスを切り離して考えられるようになった。だから欧州連合として他の【侵略された国】といっしょにやっていけるのだ。

 日本の政治家が戦後60年でやったのは靖国参拝だった。アジアの諸国の気持ちを踏みにじるような行為である。憲法を自ら破り、戦争の反省もしないような政府をどこの国が信用するだろうか。アジアに友達がいないから、アメリカに頼ろうとする。こうしてますますアメリカに追随する国になってしまった。

 安保条約は、サンフランシスコ講和条約のどさくさに紛れて、当時の吉田首相がたった一人で秘密裏のうちに調印した。いっしょにいた代表団の人々は国内での討論がないと調印での参加を拒んだ。内容は日本が米軍の駐留を希望し、米国はこれに応えてやるという屈辱的なウソだ。これこそ紛れもないアメリカの【押しつけ】条約である。
 1960年の新安保から半世紀。もういい加減、アメリカのくびきから自らを開放する時期だ。欧州も南米も、世界は米国から次々に自立している。


 (おわり)  ♪:;;;:♪:;;;:♪:;;;:♪:;;;:♪:;;;: ♪:;;;:♪:;;;:♪:;;;:♪:;;;: ♪:;;


(いとう ちひろ / ジャーナリスト)