あなたと学ぶ日本共産党 ①
みなさん、こんにちは。書記局長の市田忠義です。
「悪政を変えたい」「いまの日本の政治をよくしたい」。こういうみなさんの思いを大切に、私たちも、力をあわせてごいっしょにがんばっていきたいと思います。
●党員数40万人、読者数約180万、10ヵ国に特派員。自主独立の党
党員数40万人。支部数2万4千。全国の職場、地域、学園で活動する日本共産党。
『新聞赤旗』 ― 読者数は約180万人。海外10ヵ国に特派員。台所から世界まで、多彩な情報を届ける。
日本の国のことは日本国民が決める。自主独立の党。アメリカいいなりの政治の改革をめざす。
●清潔な財政、企業団体献金、政党助成金はうけとらない
支持者、党員のみなさんからの清潔な財政で党を運営。企業団体献金、政党助成金はうけとらない。
●地方議員数第1党、女性議員数第1党
地方政治をかえ、住民の相談相手としてがんばる日本共産党。地方議員数、第1党。女性議員数も第1党。
~あなたと学ぶ日本共産党~
それでは、日本共産党はどんな日本をめざしているのか、どんな党で、一人ひとりの党員のみなさんがどんな活動をすればいいのか、ごいっしょに学んでいきたいと思います。
日本共産党綱領
新しい日本をめざして
【綱領のはなし】 綱領とは何か
まず綱領のはなしからはじめます。
日本共産党は、2004年1月の第23回党大会で綱領を大きく改定しました。
綱領とは、党活動の目標と根本の方針を明らかにしたものです。国民のみなさんに、日本共産党がめざす日本の将来、日本改革の内容と道すじをしめしています。 ぜひお読みください。
●戦前の日本社会と日本共産党
日本共産党創立
日本共産党が生まれたのは、1922年7月15日でした。綱領の第1章は、戦前の日本はどんな社会だったのか、日本共産党は、そこで、どんな役割をはたしたのか、についてのべています。
●絶対主義的天皇制
戦前の日本は、天皇がすべての中心でした。天皇が国政についての権限をすべてにぎり、国民を押さえつける政治がおこなわれていました。これが絶対主義的天皇制です。
民主主義と人権は保障されず、集会は弾圧され言論や学問の自由もありませんでした。
農民はとれたお米の半分以上を地主にしぼりとられ、労働者は1日12時間をこえる長時間労働に苦しめられていました。
●日本の侵略戦争
国民は、天皇の政府がすすめた侵略戦争にかりだされました。
日本は、台湾、朝鮮を植民地とし、1931年、中国への侵略戦争をはじめました。
ドイツでヒトラーの独裁政権ができるはるか前からでした。1937年には、中国への全面的な侵略戦争に突き進み、第2次世界大戦に道を開く、最初の侵略国家となりました。
日本による侵略と戦争は、アジア・太平洋の全域に広がりました。
日本共産党は、侵略戦争に反対をし、国民の苦しみのおおもとにある天皇制をなくして、民主主義の日本、『国民が主人公』の日本をつくることを主張しました。そのために、治安維持法という悪法によって、天皇制政府から激しい弾圧をうけました。
●不屈の精神に学ぶ
作家の小林多喜二は、特別高等警察=特高によって逮捕、拷問され、その日のうちに亡くなりました。29歳でした。 [赤旗](せっき)中央配布局で活動していた田中サガヨさん。獄中でちり紙に姉への手紙を書きました。
「信念をまっとうする上においては、いかなるいばらの道であろうと、よしや死の道であろう(と)覚悟の前です。お姉さん、私は決して悪いことをしたのではありません。お願いですから気をおとさないでください」
党中央事務局で活動中に逮捕され、病死した伊藤千代子さん。恩師で歌人の土屋文明は「こころざしつつたふれし少女(おとめ)よ新しき光のなかに置きて思はむ」と詠みました。
いずれも24歳の青春でした。
先輩たちが身をもって刻んだ歴史から、何を学ぶことが大切でしょうか。先輩たちは、どんな困難な情勢のもとでも平和と民主主義の大義を守り、勝利への確信と展望を失うことはありませんでした。この不屈の精神を学びたいと思います。
●天皇絶対の専制政治から、主権在民の民主政治へ
日本共産党以外の他の政党は、党を解散し大政翼賛会という国民を統制する組織にはいって、天皇がすすめる侵略戦争にすすんで協力しました。
侵略戦争は日本軍国主義の敗北で終わりました。
この戦争では、300万人をこえる日本国民、2千万人をこえるアジアの人びとが犠牲となりました。
日本政府はポツダム宣言をうけいれました。ポツダム宣言には、軍国主義の勢力の永久の追放、言論・思想の自由、基本的人権の尊重がうたわれました。
日本は天皇絶対の専制政治から、主権在民の民主政治へと大きく変わりました。
●党の活動の原点
不破議長はつぎのように述べています。
「戦前の歴史は、日本共産党の活動にとって原点ともいうべきものであります。それは世界の資本主義諸国のなかでも、もっとも野蛮な抑圧のもとにあった戦前の日本社会で、・・・・・天皇制国家の専制支配と侵略戦争に反対して、平和と民主主義のために勇敢にたたかいぬいた不屈の記録であります。・・・・・戦前の問題は、現在の情勢、現在の党の任務を理解するうえでも欠かすことのできないものだという点であります。
・・・・・日本の未来を開く先頭に立つものは、過去の日本が侵略戦争と植民地支配によってアジアと世界に大きな損害を与えたことをはじめ、戦前の日本社会がへてきた歴史について、深い認識をもつ必要があるのであります。(第23回党大会での綱領改定についての報告)」
戦前の歴史をしっかりと学び、先輩たちの精神を受けついで、いまの活動に生かしてゆこうではありませんか。
※治安維持法 1925(大正14)年、民主主義と平和の言論と運動、なかでも日本共産党弾圧のためにつくられた法律。その後指導者の場合は最高刑が『死刑』へと改悪。1945(昭和20)年10月廃止。
※赤旗(せっき) 1928年2月1日に日本共産党中央機関紙として創刊。天皇制政府による厳しい監視・検閲で言論の自由がないなかで、反戦・平和、自由と民主主義などをかかげ、命がけで真実を報じた。
※ポツダム宣言 第2次世界大戦末期の1945(昭和20)年7月、ドイツ・ポツダムで、ファシズム・軍国主義とたたかった連合国側の要求として発表された共同宣言。軍国主義の除去、民主主義の確立などを日本にたいする降伏の条件と定め、8月、日本政府は受諾した。
②へつづく
あなたと学ぶ日本共産党 ②
綱領のはなし
現在の日本社会と民主的革命
●国民を苦しめている二つのゆがみ
日本共産党の綱領は、日本の政治のゆがみがどこにあるのか、どうすれば変えられるのか、民主的革命の方向をしめしています。
ゆがみの一つはアメリカいいなりの政治です。
二つのゆがみ
(1)アメリカいいなりのゆがみ
【綱領第2章より】
日本の現状は、発達した資本主義諸国のあいだではもちろん、植民地支配が過去のものとなった今日の世界の国際関係の中で、きわめて異常な対米従属の状態にある。
●異常な国家的な対米従属の状態
敗戦直後、アメリカは日本を占領して、日本中に米軍基地をつくりました。日米安保条約によって、主要な基地は残されたままです。日本は、アメリカの海外での軍事活動を応援する役割を担わされています。
[同盟国]だから、という理由だけで、アメリカの無法なイラク戦争を支持し、自衛隊を派兵する、そして憲法まで改定する。こんな日本の状態を、綱領は『異常な国家的な対米従属』といっています。その根っこにあるのが、アメリカとの軍事同盟である日米安保条約です。
二つのゆがみ
(2)大企業・財界いいなりのゆがみ
もう一つのゆがみは、大企業・財界いいなりの政治です。
【綱領第2章より】
国内的には、大企業・財界が、アメリカの対日支配と結びついて、日本と国民を支配する中心勢力の地位を占めている。
●大企業の横暴勝手が野放しに
日本経済の現状をみますと、大企業の横暴勝手が野放しにされています。ヨーロッパでは当たり前になっている国民の暮らしや権利を支える手立てやしくみが、日本にはあまりにもなさすぎます。
大企業の乱暴なリストラ、ただ働きのサービス残業、過労死をうむ長時間労働。労働条件は日本とヨーロッパでは、大きくちがいます。
中小企業のための国の予算は、在日米軍のための『思いやり予算』の7割しかありません。
農業予算にしめる価格・所得保障の割合が、ヨーロッパのわずか半分です。食糧自給率は4割という異常さです。
ヨーロッパでは、社会保障に公共事業の何倍も予算をつかいます。日本はムダと環境破壊の公共事業に40兆円。社会保障に25兆円。企業が払う税金と社会保障などの社会保障負担は、ヨーロッパの半分から7,8割です。
大企業・財界は、日本政府や国の機関を自分たちに都合のいいように動かしています。
●大企業・財界が二大政党で悪政をきそわせている ― 党をしめだす新しいしくみとして作用
自民党政治がゆきづまり、危機感をつのらせた財界は、2003年総選挙以降、公然と『二大政党づくり』をおしすすめ、自民党や民主党にばく大な政治献金をして、悪政をきそわせています。
― 志位委員長 第2回中央委員会での報告 ―
『二大政党づくり』の動きは、危機におちいった自民党政治を延命させるため、同じ自民党政治の土俵のうえで、政権の担い手だけを政党選択の焦点とし、すぐには政権の担い手とならない日本共産党をはじめから有権者の選択肢から排除する ― わが党を政界から締め出す新しい仕組みとして作用するところに、重要な特徴がありました。
※思いやり予算
1978年、『日米関係をより強固なものにするための思いやりの精神で駐留費の分担に応じる』と約束しはじまった日本に負担義務のない予算。日本人基地従業員の給与、米軍のための娯楽施設をふくむ施設建設費、光熱費など、この間、毎年、約2千5百億円にのぼる負担となっている。
※財界
日本経済団体連合会、経済同友会、日本商工会議所の3つが『財界3団体』といわれ、それぞれ、大企業の利益、要求を゛財界の意向〝として表明する役割を果たしている。また、政府や省庁の審議会などを通じて、政府の政策決定にも直接関与している。
(つづく)
あなたと学ぶ日本共産党 ③
●民主主義革命と改革のプログラム
綱領は、『二つの政治のゆがみ』を変える『日本改革』の方向性について、つぎのように述べています。
●いますぐ社会主義ではなく、資本主義の枠内で
【綱領第4章より】
現在、日本社会が必要としている変革は、社会主義革命ではなく、異常な対米従属と大企業・財界の横暴な支配の打破 ― 日本の真の独立の確保と政治・経済・社会の民主主義的な改革の実現を内容とする民主主義革命である。
これは、いますぐ社会主義にすすむんじゃなくて、資本主義の枠内で、アメリカいいなり、財界・大企業いいなりの政治をおおもとから変えようというものです。
●日本改革の目標
綱領は、どんな日本に変えていくのか、日本改革の3つのプログラムを明らかにしています。
(1)日米安保条約をなくし独立・平和・非同盟の道をすすむ
安保条約をなくして、ほんとうの独立国といえる日本、外国の基地のない平和な日本をつくります。むずかしい手続きはいりません。日米安保条約第10条に書いてあるとおり、政府がアメリカに通告すれば、1年でなくなります。
92年に、この方式で、フィリピンは、アジアで最大の2つの米軍基地を撤去させました。
アメリカとは、対等平等の立場にもとづく日米友好条約をむすびます。
●憲法9条の完全実施、自衛隊の解消に向かって
【綱領第4章より】
自衛隊については、海外派兵立法をやめ、軍縮の措置をとる。安保条約破棄後のアジア情勢の新しい展開を踏まえつつ、国民の合意での憲法9条の完全実施(自衛隊の解消)に向かっての前身をはかる。
●平和なアジアと世界へ、自主外交に転換
平和なアジアと世界をきずくために自主外交に転換します。
それは次のような内容です。
過去の侵略戦争と植民地支配を反省する、
国連による平和の国際秩序をまもる、
テロにも報復戦争にも反対する、
紛争の平和解決をはかる、
イスラム社会など異なる価値観をもった文明相互の対話と共存に力をつくす、
― などです。
●日本改革の目標
(2)憲法を国づくりに生かす
憲法のすべての条項をまもり、21世紀の国づくりに生かします。
●9条改定のねらい
自民党、公明党、民主党が、憲法の改定を競い合っています。その最大のねらいは、『戦争はしない』『軍隊はもたない』と決めた憲法9条を変えることです。
すでにいまでもいろんな口実をつけて自衛隊が海外にでかけていっています。しかし、憲法9条の制約があるために、公然と海外での軍事活動に参加することができません。
この制約をとりはらって、海外でのアメリカのおこす戦争にもっとおおっぴらに協力できるようにしよう、これが憲法9条改定のねらいです。 『海外で戦争する国づくり』は許しません。憲法9条の理想が生きる平和の国づくりをすすめます。
●世界でもすすんだ位置にある憲法
憲法を変えようという人びとは、『人権条項など、憲法は古くなった』、そういいます。しかし、人権や民主主義の点でも、日本の憲法は、世界でもたいへんすすんだ位置にあります。
憲法25条には、『健康で文化的な生活』が国民の権利とされ、『社会保障の充実』は、国の責任と書かれています。このように経済的な権利もきちんと宣言している国は、サミット参加国では日本とイタリアだけです。
『男女の同権・平等』を保障した第24条も世界の流れにそった内容です。
私たちは、こうした憲法の中身が、日本の社会のなかで実現する政治をめざします。
●天皇制の問題 ― 憲法規定を厳格に実施
天皇制の問題は、天皇は『国政に関する機能を有しない』(第4条)、この憲法の規定を厳格に実施します。将来的には国民合意にもとづいて、天皇制を存続させるのか、それとも廃止するかをきめます。
●日本改革の目標
(3)長時間労働、下請けいじめなどをやめさせ、『ルールある経済社会』をめざす
労働者の長時間労働やサービス残業、下請けいじめなど『ルールなき資本主義』といわれる現状をあらためます。そして、せめてヨーロッパなみに国民の生活と権利をまもる『ルールある経済社会』をつくります。
税金の使い方をあらためて、大企業には、ヨーロッパなみの応分の負担を求めて、国民のくらしに役立つ税制にきりかえます。
●大企業の民主的規制
大企業にたいしては、横暴をおさえて、経済力に応じて、地域経済と環境などにたいする社会的な責任をはたすことを求めます。これを『大企業の民主的規制』といいますが、これは『大企業を打倒』したり、『敵視する立場』ではありません。国民が主人公の政治のもとで、『大企業と共存する』道です。
●国民多数の合意を大切に改革の道を一歩ずつ
ほんとうの独立と民主主義の実現、平和と生活向上をねがうすべての人びとと力をあわせて奮闘し、国会で多数をしめて民主連合政府をつくります。
この方針のおおもとには、日本社会のどんな改革も、国民多数の合意をふまえて前進するという考え方があります。これを多数者革命といいます。不破議長はこの問題について、次のように述べています。
―「国会の多数の支持を得て民主連合政府を樹立するという党の路線が、・・・・・『国民が主人公』の立場を貫いてきた日本共産党の民主的な信条にもとづく路線だ、ということであります。この信条を革命運動の方針に具体化したものが、日本社会のどんな変革も、国民多数の支持が前提となる、という『多数者革命』の考え方にほかなりません。(第23回党大会での綱領改定についての報告) ―
●国民が主人公の政治と社会へ
独立と民主主義の日本が実現することで、日本は、形式のうえでも、中身のうえでも、本当の主権を回復します。国内でも、はじめて国民が主人公の政治と社会になります。
日本は、アジアの平和な秩序をつくるうえでも、21世紀のアジアと世界情勢の発展にとっても、大きな役割をになうことになるでしょう。
(つづく)
※改革
「いろんな分野で何か大きな変化を起こそうとすると、何とか革命、何とか革命、こういうことがしきりにいわれます。政治の舞台でいえば、政治や経済の大きな流れを変えること、これが革命と呼ばれるものであります。(不破議長の党創立81周年記念講演から)
※安保条約第10条・・・いずれの締約国も、他方の締約国に対しこの条約を終了させる意思を通告することができ、その場合には、この条約は、そのような通告が行われた後1年で終了する。
※憲法第9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇または武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
※憲法第25条 すべての国民は、健康で文化的な最低限の生活を営む権利を有する。
国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
※憲法第24条 婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家庭に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。
※憲法第4条 天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行い、国政に関する機能を有しない。
天皇は、法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる。
みなさん、こんにちは。書記局長の市田忠義です。
「悪政を変えたい」「いまの日本の政治をよくしたい」。こういうみなさんの思いを大切に、私たちも、力をあわせてごいっしょにがんばっていきたいと思います。
●党員数40万人、読者数約180万、10ヵ国に特派員。自主独立の党
党員数40万人。支部数2万4千。全国の職場、地域、学園で活動する日本共産党。
『新聞赤旗』 ― 読者数は約180万人。海外10ヵ国に特派員。台所から世界まで、多彩な情報を届ける。
日本の国のことは日本国民が決める。自主独立の党。アメリカいいなりの政治の改革をめざす。
●清潔な財政、企業団体献金、政党助成金はうけとらない
支持者、党員のみなさんからの清潔な財政で党を運営。企業団体献金、政党助成金はうけとらない。
●地方議員数第1党、女性議員数第1党
地方政治をかえ、住民の相談相手としてがんばる日本共産党。地方議員数、第1党。女性議員数も第1党。
~あなたと学ぶ日本共産党~
それでは、日本共産党はどんな日本をめざしているのか、どんな党で、一人ひとりの党員のみなさんがどんな活動をすればいいのか、ごいっしょに学んでいきたいと思います。
日本共産党綱領
新しい日本をめざして
【綱領のはなし】 綱領とは何か
まず綱領のはなしからはじめます。
日本共産党は、2004年1月の第23回党大会で綱領を大きく改定しました。
綱領とは、党活動の目標と根本の方針を明らかにしたものです。国民のみなさんに、日本共産党がめざす日本の将来、日本改革の内容と道すじをしめしています。 ぜひお読みください。
●戦前の日本社会と日本共産党
日本共産党創立
日本共産党が生まれたのは、1922年7月15日でした。綱領の第1章は、戦前の日本はどんな社会だったのか、日本共産党は、そこで、どんな役割をはたしたのか、についてのべています。
●絶対主義的天皇制
戦前の日本は、天皇がすべての中心でした。天皇が国政についての権限をすべてにぎり、国民を押さえつける政治がおこなわれていました。これが絶対主義的天皇制です。
民主主義と人権は保障されず、集会は弾圧され言論や学問の自由もありませんでした。
農民はとれたお米の半分以上を地主にしぼりとられ、労働者は1日12時間をこえる長時間労働に苦しめられていました。
●日本の侵略戦争
国民は、天皇の政府がすすめた侵略戦争にかりだされました。
日本は、台湾、朝鮮を植民地とし、1931年、中国への侵略戦争をはじめました。
ドイツでヒトラーの独裁政権ができるはるか前からでした。1937年には、中国への全面的な侵略戦争に突き進み、第2次世界大戦に道を開く、最初の侵略国家となりました。
日本による侵略と戦争は、アジア・太平洋の全域に広がりました。
日本共産党は、侵略戦争に反対をし、国民の苦しみのおおもとにある天皇制をなくして、民主主義の日本、『国民が主人公』の日本をつくることを主張しました。そのために、治安維持法という悪法によって、天皇制政府から激しい弾圧をうけました。
●不屈の精神に学ぶ
作家の小林多喜二は、特別高等警察=特高によって逮捕、拷問され、その日のうちに亡くなりました。29歳でした。 [赤旗](せっき)中央配布局で活動していた田中サガヨさん。獄中でちり紙に姉への手紙を書きました。
「信念をまっとうする上においては、いかなるいばらの道であろうと、よしや死の道であろう(と)覚悟の前です。お姉さん、私は決して悪いことをしたのではありません。お願いですから気をおとさないでください」
党中央事務局で活動中に逮捕され、病死した伊藤千代子さん。恩師で歌人の土屋文明は「こころざしつつたふれし少女(おとめ)よ新しき光のなかに置きて思はむ」と詠みました。
いずれも24歳の青春でした。
先輩たちが身をもって刻んだ歴史から、何を学ぶことが大切でしょうか。先輩たちは、どんな困難な情勢のもとでも平和と民主主義の大義を守り、勝利への確信と展望を失うことはありませんでした。この不屈の精神を学びたいと思います。
●天皇絶対の専制政治から、主権在民の民主政治へ
日本共産党以外の他の政党は、党を解散し大政翼賛会という国民を統制する組織にはいって、天皇がすすめる侵略戦争にすすんで協力しました。
侵略戦争は日本軍国主義の敗北で終わりました。
この戦争では、300万人をこえる日本国民、2千万人をこえるアジアの人びとが犠牲となりました。
日本政府はポツダム宣言をうけいれました。ポツダム宣言には、軍国主義の勢力の永久の追放、言論・思想の自由、基本的人権の尊重がうたわれました。
日本は天皇絶対の専制政治から、主権在民の民主政治へと大きく変わりました。
●党の活動の原点
不破議長はつぎのように述べています。
「戦前の歴史は、日本共産党の活動にとって原点ともいうべきものであります。それは世界の資本主義諸国のなかでも、もっとも野蛮な抑圧のもとにあった戦前の日本社会で、・・・・・天皇制国家の専制支配と侵略戦争に反対して、平和と民主主義のために勇敢にたたかいぬいた不屈の記録であります。・・・・・戦前の問題は、現在の情勢、現在の党の任務を理解するうえでも欠かすことのできないものだという点であります。
・・・・・日本の未来を開く先頭に立つものは、過去の日本が侵略戦争と植民地支配によってアジアと世界に大きな損害を与えたことをはじめ、戦前の日本社会がへてきた歴史について、深い認識をもつ必要があるのであります。(第23回党大会での綱領改定についての報告)」
戦前の歴史をしっかりと学び、先輩たちの精神を受けついで、いまの活動に生かしてゆこうではありませんか。
※治安維持法 1925(大正14)年、民主主義と平和の言論と運動、なかでも日本共産党弾圧のためにつくられた法律。その後指導者の場合は最高刑が『死刑』へと改悪。1945(昭和20)年10月廃止。
※赤旗(せっき) 1928年2月1日に日本共産党中央機関紙として創刊。天皇制政府による厳しい監視・検閲で言論の自由がないなかで、反戦・平和、自由と民主主義などをかかげ、命がけで真実を報じた。
※ポツダム宣言 第2次世界大戦末期の1945(昭和20)年7月、ドイツ・ポツダムで、ファシズム・軍国主義とたたかった連合国側の要求として発表された共同宣言。軍国主義の除去、民主主義の確立などを日本にたいする降伏の条件と定め、8月、日本政府は受諾した。
②へつづく
あなたと学ぶ日本共産党 ②
綱領のはなし
現在の日本社会と民主的革命
●国民を苦しめている二つのゆがみ
日本共産党の綱領は、日本の政治のゆがみがどこにあるのか、どうすれば変えられるのか、民主的革命の方向をしめしています。
ゆがみの一つはアメリカいいなりの政治です。
二つのゆがみ
(1)アメリカいいなりのゆがみ
【綱領第2章より】
日本の現状は、発達した資本主義諸国のあいだではもちろん、植民地支配が過去のものとなった今日の世界の国際関係の中で、きわめて異常な対米従属の状態にある。
●異常な国家的な対米従属の状態
敗戦直後、アメリカは日本を占領して、日本中に米軍基地をつくりました。日米安保条約によって、主要な基地は残されたままです。日本は、アメリカの海外での軍事活動を応援する役割を担わされています。
[同盟国]だから、という理由だけで、アメリカの無法なイラク戦争を支持し、自衛隊を派兵する、そして憲法まで改定する。こんな日本の状態を、綱領は『異常な国家的な対米従属』といっています。その根っこにあるのが、アメリカとの軍事同盟である日米安保条約です。
二つのゆがみ
(2)大企業・財界いいなりのゆがみ
もう一つのゆがみは、大企業・財界いいなりの政治です。
【綱領第2章より】
国内的には、大企業・財界が、アメリカの対日支配と結びついて、日本と国民を支配する中心勢力の地位を占めている。
●大企業の横暴勝手が野放しに
日本経済の現状をみますと、大企業の横暴勝手が野放しにされています。ヨーロッパでは当たり前になっている国民の暮らしや権利を支える手立てやしくみが、日本にはあまりにもなさすぎます。
大企業の乱暴なリストラ、ただ働きのサービス残業、過労死をうむ長時間労働。労働条件は日本とヨーロッパでは、大きくちがいます。
中小企業のための国の予算は、在日米軍のための『思いやり予算』の7割しかありません。
農業予算にしめる価格・所得保障の割合が、ヨーロッパのわずか半分です。食糧自給率は4割という異常さです。
ヨーロッパでは、社会保障に公共事業の何倍も予算をつかいます。日本はムダと環境破壊の公共事業に40兆円。社会保障に25兆円。企業が払う税金と社会保障などの社会保障負担は、ヨーロッパの半分から7,8割です。
大企業・財界は、日本政府や国の機関を自分たちに都合のいいように動かしています。
●大企業・財界が二大政党で悪政をきそわせている ― 党をしめだす新しいしくみとして作用
自民党政治がゆきづまり、危機感をつのらせた財界は、2003年総選挙以降、公然と『二大政党づくり』をおしすすめ、自民党や民主党にばく大な政治献金をして、悪政をきそわせています。
― 志位委員長 第2回中央委員会での報告 ―
『二大政党づくり』の動きは、危機におちいった自民党政治を延命させるため、同じ自民党政治の土俵のうえで、政権の担い手だけを政党選択の焦点とし、すぐには政権の担い手とならない日本共産党をはじめから有権者の選択肢から排除する ― わが党を政界から締め出す新しい仕組みとして作用するところに、重要な特徴がありました。
※思いやり予算
1978年、『日米関係をより強固なものにするための思いやりの精神で駐留費の分担に応じる』と約束しはじまった日本に負担義務のない予算。日本人基地従業員の給与、米軍のための娯楽施設をふくむ施設建設費、光熱費など、この間、毎年、約2千5百億円にのぼる負担となっている。
※財界
日本経済団体連合会、経済同友会、日本商工会議所の3つが『財界3団体』といわれ、それぞれ、大企業の利益、要求を゛財界の意向〝として表明する役割を果たしている。また、政府や省庁の審議会などを通じて、政府の政策決定にも直接関与している。
(つづく)
あなたと学ぶ日本共産党 ③
●民主主義革命と改革のプログラム
綱領は、『二つの政治のゆがみ』を変える『日本改革』の方向性について、つぎのように述べています。
●いますぐ社会主義ではなく、資本主義の枠内で
【綱領第4章より】
現在、日本社会が必要としている変革は、社会主義革命ではなく、異常な対米従属と大企業・財界の横暴な支配の打破 ― 日本の真の独立の確保と政治・経済・社会の民主主義的な改革の実現を内容とする民主主義革命である。
これは、いますぐ社会主義にすすむんじゃなくて、資本主義の枠内で、アメリカいいなり、財界・大企業いいなりの政治をおおもとから変えようというものです。
●日本改革の目標
綱領は、どんな日本に変えていくのか、日本改革の3つのプログラムを明らかにしています。
(1)日米安保条約をなくし独立・平和・非同盟の道をすすむ
安保条約をなくして、ほんとうの独立国といえる日本、外国の基地のない平和な日本をつくります。むずかしい手続きはいりません。日米安保条約第10条に書いてあるとおり、政府がアメリカに通告すれば、1年でなくなります。
92年に、この方式で、フィリピンは、アジアで最大の2つの米軍基地を撤去させました。
アメリカとは、対等平等の立場にもとづく日米友好条約をむすびます。
●憲法9条の完全実施、自衛隊の解消に向かって
【綱領第4章より】
自衛隊については、海外派兵立法をやめ、軍縮の措置をとる。安保条約破棄後のアジア情勢の新しい展開を踏まえつつ、国民の合意での憲法9条の完全実施(自衛隊の解消)に向かっての前身をはかる。
●平和なアジアと世界へ、自主外交に転換
平和なアジアと世界をきずくために自主外交に転換します。
それは次のような内容です。
過去の侵略戦争と植民地支配を反省する、
国連による平和の国際秩序をまもる、
テロにも報復戦争にも反対する、
紛争の平和解決をはかる、
イスラム社会など異なる価値観をもった文明相互の対話と共存に力をつくす、
― などです。
●日本改革の目標
(2)憲法を国づくりに生かす
憲法のすべての条項をまもり、21世紀の国づくりに生かします。
●9条改定のねらい
自民党、公明党、民主党が、憲法の改定を競い合っています。その最大のねらいは、『戦争はしない』『軍隊はもたない』と決めた憲法9条を変えることです。
すでにいまでもいろんな口実をつけて自衛隊が海外にでかけていっています。しかし、憲法9条の制約があるために、公然と海外での軍事活動に参加することができません。
この制約をとりはらって、海外でのアメリカのおこす戦争にもっとおおっぴらに協力できるようにしよう、これが憲法9条改定のねらいです。 『海外で戦争する国づくり』は許しません。憲法9条の理想が生きる平和の国づくりをすすめます。
●世界でもすすんだ位置にある憲法
憲法を変えようという人びとは、『人権条項など、憲法は古くなった』、そういいます。しかし、人権や民主主義の点でも、日本の憲法は、世界でもたいへんすすんだ位置にあります。
憲法25条には、『健康で文化的な生活』が国民の権利とされ、『社会保障の充実』は、国の責任と書かれています。このように経済的な権利もきちんと宣言している国は、サミット参加国では日本とイタリアだけです。
『男女の同権・平等』を保障した第24条も世界の流れにそった内容です。
私たちは、こうした憲法の中身が、日本の社会のなかで実現する政治をめざします。
●天皇制の問題 ― 憲法規定を厳格に実施
天皇制の問題は、天皇は『国政に関する機能を有しない』(第4条)、この憲法の規定を厳格に実施します。将来的には国民合意にもとづいて、天皇制を存続させるのか、それとも廃止するかをきめます。
●日本改革の目標
(3)長時間労働、下請けいじめなどをやめさせ、『ルールある経済社会』をめざす
労働者の長時間労働やサービス残業、下請けいじめなど『ルールなき資本主義』といわれる現状をあらためます。そして、せめてヨーロッパなみに国民の生活と権利をまもる『ルールある経済社会』をつくります。
税金の使い方をあらためて、大企業には、ヨーロッパなみの応分の負担を求めて、国民のくらしに役立つ税制にきりかえます。
●大企業の民主的規制
大企業にたいしては、横暴をおさえて、経済力に応じて、地域経済と環境などにたいする社会的な責任をはたすことを求めます。これを『大企業の民主的規制』といいますが、これは『大企業を打倒』したり、『敵視する立場』ではありません。国民が主人公の政治のもとで、『大企業と共存する』道です。
●国民多数の合意を大切に改革の道を一歩ずつ
ほんとうの独立と民主主義の実現、平和と生活向上をねがうすべての人びとと力をあわせて奮闘し、国会で多数をしめて民主連合政府をつくります。
この方針のおおもとには、日本社会のどんな改革も、国民多数の合意をふまえて前進するという考え方があります。これを多数者革命といいます。不破議長はこの問題について、次のように述べています。
―「国会の多数の支持を得て民主連合政府を樹立するという党の路線が、・・・・・『国民が主人公』の立場を貫いてきた日本共産党の民主的な信条にもとづく路線だ、ということであります。この信条を革命運動の方針に具体化したものが、日本社会のどんな変革も、国民多数の支持が前提となる、という『多数者革命』の考え方にほかなりません。(第23回党大会での綱領改定についての報告) ―
●国民が主人公の政治と社会へ
独立と民主主義の日本が実現することで、日本は、形式のうえでも、中身のうえでも、本当の主権を回復します。国内でも、はじめて国民が主人公の政治と社会になります。
日本は、アジアの平和な秩序をつくるうえでも、21世紀のアジアと世界情勢の発展にとっても、大きな役割をになうことになるでしょう。
(つづく)
※改革
「いろんな分野で何か大きな変化を起こそうとすると、何とか革命、何とか革命、こういうことがしきりにいわれます。政治の舞台でいえば、政治や経済の大きな流れを変えること、これが革命と呼ばれるものであります。(不破議長の党創立81周年記念講演から)
※安保条約第10条・・・いずれの締約国も、他方の締約国に対しこの条約を終了させる意思を通告することができ、その場合には、この条約は、そのような通告が行われた後1年で終了する。
※憲法第9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇または武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
※憲法第25条 すべての国民は、健康で文化的な最低限の生活を営む権利を有する。
国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
※憲法第24条 婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家庭に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。
※憲法第4条 天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行い、国政に関する機能を有しない。
天皇は、法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる。