大阪・泉南アスベスト訴訟
高裁、原告の訴え棄却
原告ら「生命より経済発展か」
大阪府泉南地域のアスベスト(石綿)紡織工場の元労働者や近隣住民29人と遺族らが、中皮腫や肺がんなど深刻な健康被害を受けた責任は規制・対策を怠った国にあると、計9億4600万円の損害賠償を求めている泉南アスベスト国賠訴訟の控訴審判決が25日、大阪高裁でありました。
三浦潤裁判長(田中澄夫裁判長代読)は、国民の健康を守るうえで危険性情報の提供や必要な規制・対策を怠った国の不作為責任を初めて認めた一審判決を、全面的に取り消し、争点となっていた近隣住民らの健康被害についても賠償請求を棄却しました。
判決は、「厳格な許可制の下でなければ操業を認めないというのであれば、工業技術の発達及び産業社会の発展を著しく阻害する」と述べています。
原告団、弁護団は「国民の生命、健康よりも経済発展を優先させた国の責任を不問に付す暴挙である」「不当判決に抗議する」と声明を発表。
村松昭夫弁護士は「行政の行いをすべて追認し、法的正義の実現と人権救済のとりでとしての裁判所の役割を自ら放棄した判決だ。ただちに上告し、全面解決を求めて最後までたたかい抜く」と述べました。
昨年5月19日の大阪地裁判決は、1959年までに石綿肺、72年に肺がん・中皮腫の発症が石綿粉じん吸引によるものと認める医学的知見が確立されたと認定。粉じんを防止・抑制する局所排気装置の設置や、粉じん濃度測定結果の報告を事業所に義務付けなかった国には、事業所と同等の共同不法行為責任があると断罪しました。
橋下『大阪維新の会』 2条例案
教育への政治介入狙う
知事いいなり公務員づくり
戦後教育の原則を放棄
今回の『教育基本条例案』には、「我が国及び郷土の伝統文化を深く理解し、愛国心及び郷土を愛する心にあふれる」「規範意識を重んじる人材を育てる」「義務を重んじる人材を」などを『基本理念』に明記しています。
さらに、△知事は、教育目標を設定し、教育委員が目標を実現する責務を果たさない場合、議会の同意を得て委員を罷免できる △府教育委員会は具体的な指針を府立高校の校長に提示。学力テストの結果を市町村別、学校別に公表すると規定。
さらに △校長、副校長は任期付きとする。校長を公募し、府教委はマネジメント能力の高さを基準として任用する
△校長は教員採用に関与し、教科書を推薦する―ことが主な内容となっています。
条例案は「教育行政の一般行政からの独立という戦後教育行政の重要な原則を放棄し、・・・教育への政治介入をより一層広範なものにする」(大阪憲法会議の梅田章二幹事長談話)ものです。
そのために、上位下達で知事の思うままの意向を反映させる内容を盛り込んでいます。
「戦後レジーム(体制)の脱却を国でしようとしたが、何も変わってこなかった。大阪から変えていきたい」。22日、『維新』を代表して会見した坂井良和大阪市議団長は、こう語りました。「戦後レジームの脱却」は、改悪教育基本法、改憲手続き法を押し通し、国民の厳しい審判を受けて崩壊した【靖国派】安部政権が多用した言葉です。
先の府『君が代』強制条例では、提出者14人の府議中6人が【靖国派】とよばれる9条改憲を唱える日本会議地方議員同盟に名を連ねていました。同連盟の設立趣旨は「地方議会から日本の国柄(戦前・戦時に使われた『国体』の言い換え)に基づいた新憲法、新教育基本法の制定へ向け、設立する」としています。『維新』市議団も坂井氏ら中心メンバーは【靖国派】です。
゛ものいわぬ職員に〝
「目標を実現する職員を評価し、そうでない職員は評価しない。士気が下がるという職員は府庁を去ればよい」。 橋下知事は、自身のツイッター(短文投稿サイト)でこうのべています。
『職員基本条例案』では、同一の職務命令に3回違反したら免職、職員を5段階評価し、2年連続最低ランクだと免職、『余剰人員』がでたといっては免職と極端なリストラの方針が明記されています。これでは一方的な処分を恐れ、゛ものいわぬ職員〝をつくることになります。
憲法15条の『すべての公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない』との規定や、地方公務員法を乱暴に踏み破るいい分です。
『職員条例案』はまた、部長、次長を任期付きで広く公募し、知事の政策に賛同する人材からなる【大阪内閣】を実現すると書いています。
両条例は、いずれも最高規範と位置づけ、「条例に反するいっさいの条例、規則、要領などは無効」とするという中身です。
その時の政治の在り方で教育を変えてはいけない
元府公立学校管理職員協議会会長・元校長 佐藤順一さん
橋下知事を見ていると、議会で過半数をとり、侵略戦争へと導いたヒトラーとナチスを見ているようです。日本でも戦前、政治主導で教育をコントロールしてきた過ちを繰り返そうとしているように思います。戦後の反省から、教育委員会制度がつくられた背景を全く無視しています。
「民意を反映させる制度だ」という『維新の会』の言い分は、全くの詭弁ですね。教育はその時の政治の在り方でころころ流れが変わってはいけない。 【民意】という言葉を借りて、自分の思いを押し通そうとしているのでしょう。大阪でこの条例を許せば全国に広がっていく危険があり、許せません。
共同のたたかい広がる
あさのあつこさん、山田洋次さんも訴え
教職員・府職員、府民への攻撃に対し、両条例案を許すなという共同のたたかいが『君が代』起立強制条例や『教育基本条例案』を批判した学者・著名人51人がよびかけた共同アピールには、元日本教育学会会長の堀尾輝久さんや作家のあさのあつこさん、映画監督の山田洋次さんらが名を連ね、第1次分として653人が賛同しました。
『君が代』条例反対のたたかいで大阪労連や民主法律協会など法曹・労働7団体でつくっていた共同行動には24日、新たに大阪自治労連が参加。「政治の介入による公教育破壊とものいわぬ府民・職員づくりを狙う両条例案を許すな」を合言葉に、8団体で新たなビラを作製し、全駅頭・ターミナル宣伝を強化することを確認しました。
9月6日には、教育関係者など広範な各界・各層によびかけ、府民集会を開きます。
高裁、原告の訴え棄却
原告ら「生命より経済発展か」
大阪府泉南地域のアスベスト(石綿)紡織工場の元労働者や近隣住民29人と遺族らが、中皮腫や肺がんなど深刻な健康被害を受けた責任は規制・対策を怠った国にあると、計9億4600万円の損害賠償を求めている泉南アスベスト国賠訴訟の控訴審判決が25日、大阪高裁でありました。
三浦潤裁判長(田中澄夫裁判長代読)は、国民の健康を守るうえで危険性情報の提供や必要な規制・対策を怠った国の不作為責任を初めて認めた一審判決を、全面的に取り消し、争点となっていた近隣住民らの健康被害についても賠償請求を棄却しました。
判決は、「厳格な許可制の下でなければ操業を認めないというのであれば、工業技術の発達及び産業社会の発展を著しく阻害する」と述べています。
原告団、弁護団は「国民の生命、健康よりも経済発展を優先させた国の責任を不問に付す暴挙である」「不当判決に抗議する」と声明を発表。
村松昭夫弁護士は「行政の行いをすべて追認し、法的正義の実現と人権救済のとりでとしての裁判所の役割を自ら放棄した判決だ。ただちに上告し、全面解決を求めて最後までたたかい抜く」と述べました。
昨年5月19日の大阪地裁判決は、1959年までに石綿肺、72年に肺がん・中皮腫の発症が石綿粉じん吸引によるものと認める医学的知見が確立されたと認定。粉じんを防止・抑制する局所排気装置の設置や、粉じん濃度測定結果の報告を事業所に義務付けなかった国には、事業所と同等の共同不法行為責任があると断罪しました。
橋下『大阪維新の会』 2条例案
教育への政治介入狙う
知事いいなり公務員づくり
戦後教育の原則を放棄
今回の『教育基本条例案』には、「我が国及び郷土の伝統文化を深く理解し、愛国心及び郷土を愛する心にあふれる」「規範意識を重んじる人材を育てる」「義務を重んじる人材を」などを『基本理念』に明記しています。
さらに、△知事は、教育目標を設定し、教育委員が目標を実現する責務を果たさない場合、議会の同意を得て委員を罷免できる △府教育委員会は具体的な指針を府立高校の校長に提示。学力テストの結果を市町村別、学校別に公表すると規定。
さらに △校長、副校長は任期付きとする。校長を公募し、府教委はマネジメント能力の高さを基準として任用する
△校長は教員採用に関与し、教科書を推薦する―ことが主な内容となっています。
条例案は「教育行政の一般行政からの独立という戦後教育行政の重要な原則を放棄し、・・・教育への政治介入をより一層広範なものにする」(大阪憲法会議の梅田章二幹事長談話)ものです。
そのために、上位下達で知事の思うままの意向を反映させる内容を盛り込んでいます。
「戦後レジーム(体制)の脱却を国でしようとしたが、何も変わってこなかった。大阪から変えていきたい」。22日、『維新』を代表して会見した坂井良和大阪市議団長は、こう語りました。「戦後レジームの脱却」は、改悪教育基本法、改憲手続き法を押し通し、国民の厳しい審判を受けて崩壊した【靖国派】安部政権が多用した言葉です。
先の府『君が代』強制条例では、提出者14人の府議中6人が【靖国派】とよばれる9条改憲を唱える日本会議地方議員同盟に名を連ねていました。同連盟の設立趣旨は「地方議会から日本の国柄(戦前・戦時に使われた『国体』の言い換え)に基づいた新憲法、新教育基本法の制定へ向け、設立する」としています。『維新』市議団も坂井氏ら中心メンバーは【靖国派】です。
゛ものいわぬ職員に〝
「目標を実現する職員を評価し、そうでない職員は評価しない。士気が下がるという職員は府庁を去ればよい」。 橋下知事は、自身のツイッター(短文投稿サイト)でこうのべています。
『職員基本条例案』では、同一の職務命令に3回違反したら免職、職員を5段階評価し、2年連続最低ランクだと免職、『余剰人員』がでたといっては免職と極端なリストラの方針が明記されています。これでは一方的な処分を恐れ、゛ものいわぬ職員〝をつくることになります。
憲法15条の『すべての公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない』との規定や、地方公務員法を乱暴に踏み破るいい分です。
『職員条例案』はまた、部長、次長を任期付きで広く公募し、知事の政策に賛同する人材からなる【大阪内閣】を実現すると書いています。
両条例は、いずれも最高規範と位置づけ、「条例に反するいっさいの条例、規則、要領などは無効」とするという中身です。
その時の政治の在り方で教育を変えてはいけない
元府公立学校管理職員協議会会長・元校長 佐藤順一さん
橋下知事を見ていると、議会で過半数をとり、侵略戦争へと導いたヒトラーとナチスを見ているようです。日本でも戦前、政治主導で教育をコントロールしてきた過ちを繰り返そうとしているように思います。戦後の反省から、教育委員会制度がつくられた背景を全く無視しています。
「民意を反映させる制度だ」という『維新の会』の言い分は、全くの詭弁ですね。教育はその時の政治の在り方でころころ流れが変わってはいけない。 【民意】という言葉を借りて、自分の思いを押し通そうとしているのでしょう。大阪でこの条例を許せば全国に広がっていく危険があり、許せません。
共同のたたかい広がる
あさのあつこさん、山田洋次さんも訴え
教職員・府職員、府民への攻撃に対し、両条例案を許すなという共同のたたかいが『君が代』起立強制条例や『教育基本条例案』を批判した学者・著名人51人がよびかけた共同アピールには、元日本教育学会会長の堀尾輝久さんや作家のあさのあつこさん、映画監督の山田洋次さんらが名を連ね、第1次分として653人が賛同しました。
『君が代』条例反対のたたかいで大阪労連や民主法律協会など法曹・労働7団体でつくっていた共同行動には24日、新たに大阪自治労連が参加。「政治の介入による公教育破壊とものいわぬ府民・職員づくりを狙う両条例案を許すな」を合言葉に、8団体で新たなビラを作製し、全駅頭・ターミナル宣伝を強化することを確認しました。
9月6日には、教育関係者など広範な各界・各層によびかけ、府民集会を開きます。