夜明け前、ヒグラシの鳴き声で目が覚めた。その後は鳥の鳴き声で、次は雷の音。なんだよ・・・。
チェックアウトでカウンターに行くと、利用予定のレンタサイクル会社の乗り捨て票が置いてあった。宿から借りられ、他の営業所で乗り捨てできるという。宿から借りることにした。ただし、最初に訪ねる岡寺へは登り坂なので、参拝後から乗ることにした。
元々はレンタサイクルの営業所がそばにある「石舞台古墳」に近いからということで今回岡寺そばの民宿に泊まっただけで、岡寺を参拝する予定ではなかった。でも、昨日飛鳥駅から歩いて民宿まで来れたくらいだから、そんなに観光エリアは広くなく、朝8時から参拝できるから時間も大丈夫だろうと思い、行くことにした。
8時前でも入れてもらえた。
蓮の花が一厘だけ開いていた。
「三重塔」。
高台に登り、本堂周辺を見下ろした。絵になるなあ。
下りて「本堂」に安置されている御本尊「如意輪観音像」に手を合わせた。白灰色で大きかった。日本最大の塑像で、最古の如意輪観音像だそう。奥の展示物を見学中に読経の声が聴こえてきた。観音像の横に出ると、僧侶が観音像の前で朝のお勤めをしていた。置いてあった椅子に静かに座り、その場にいさせてもらった。その後、御朱印を女性の方に書いていただいた。沖縄の鳩間島Tシャツを着ていたのだが、Tシャツに関心を持たれた。
岡寺の正式名称は「龍蓋寺」である。開祖・義淵僧正が法力で悪龍を小池に封じ込め、石で蓋をしたという伝説がある。その池がこの「龍蓋池」である。
綺麗な色で形が美しい花が咲いていた。
いいお寺だったなあ。行って良かった。
宿に戻って自転車を借りた。次は「石舞台古墳」。蘇我馬子の墓であるという説がある。
下に入ることができることにびっくりした。石の大きさ、重みが感じられた。
ここからは穴場エリアへ。「都塚古墳」。石棺が丸見え。
「マラ石」。結構リアルな姿(苦笑) 子孫繁栄、五穀豊穣の願いに通じる。
さらに道を進むと、のどかな田園の光景が広がっていた。
「稲渕の棚田」。秋には案山子(かかし)のイベントがあるそう。
「男綱」。これも男性のシンボルで、離れたところの「女綱」と共に「綱かけ神事」で豊作を祈る。「女綱」は時間の都合で行かなかった。
「飛び石」。「万葉集」の歌の場で、そばに歌碑がある。「明日香川 明日も渡らむ 石橋(いしばし)の 遠き心は 思ほえぬかも / (大意)あなたに対して遠くはなれた気持ちなど持っていません。」と書いてある。
少し登り坂の後、爽快に坂を下り、「高松塚古墳」へ。途中の「文武天皇陵」。
「高松塚古墳」。UFOみたい(笑)
「高松塚古墳壁画館」。今回の旅のメインは、ここと次に行くキトラ古墳の壁画を見ることである。
地元の人が生姜の貯蔵用の穴を掘った時に凝灰岩の切石を発見したことがきっかけとなり、昭和47年の調査で壁画が発見されたそうである。天皇陵は昔から保全されているだろうけど、有力者の小さな古墳は森となって自然の中に埋もれ、存在が薄らいでしまったのだろう。昭和47年は僕が生まれた翌年である。
館内には壁画の模写が展示されている。男子群像、女子群像は色彩豊かで、芸術的である。茶色の汚れで隠れてしまっている部分も多いけど、それでも結構絵が分かる。「四神」のうち、「朱雀」は盗掘のせいで形に残っていないけど、他の「玄武」、「青龍」、「白虎」は残っている。「青龍」の上には「日像」、「白虎」の上には「月像」が描かれ、共に赤い横線が数本入っている。天井部には「星宿図」が描かれている。壁画は期間限定で公開されているが、残念ながら「青春18きっぷ」のシーズン中に公開日が無かった。
館内に村の広報誌が置いてあった。人口が5千人以上だった。愛知県東栄町の人口よりも多いなあ。信号はあるし、コンビニはあるし、「村」って感じでないな。
次は「キトラ古墳」へ。「高松塚古墳」が注目されると、地元の人から「ウチにも似た様な古墳があるよ」という話が上がったことがきっかけで、壁画が発見された。「キトラ古墳壁画体験館 四神の館」に入った。なんと無料である。壁画「朱雀」の公開期間中で、基本事前応募制であるが、当日でも空きがあれば入れてもらえるらしい。第3希望まで応募でき、無事今日の午前11時半からで当選した。少し早く到着して受付に行ったら、ひとつ前の時間に入れてもらえた。
集合時間まで時間があるので、地下1階の展示室を見学した。この階は撮影OKである。ガイドさんの説明が聞けた。「四神」は方角、四季を表し、「玄武=北、冬」、「青龍=東、春」、「朱雀=南、夏」、「白虎=秋、西」だそう。キトラ古墳も盗掘にあったけど、「朱雀」の部分を避けて穴が開けられたため、残ったそうである。いつ盗掘にあったかであるが、内部を照らすために火を灯した時に使った皿が残されていて、それが鎌倉時代のものだったそうである。壁画には水銀が用いられているのではないかとのこと。
石室のレプリカがあり、どういう様子なのかが分かりやすい。
「朱雀」は石室を閉じる壁なので、別に展示。
レプリカの中を覗いてみても分からなかった「青龍」であるが、汚れているので正面からでも姿が分かり辛い。
「高松塚古墳」とは異なり、「四神」の下に頭が十二支のそれぞれで身体が人間の姿が描かれている。これも半分は確認できない状態だそうである。天井部には天文図が描かれ、ガイドさんによれば中国・長安辺りの星空に該当するそうである。
壁画は損傷が進む恐れがあるので、技術を用いて剥ぎ取られて保存されている。集合時間となり、警備員から注意事項を聞いた後、10分間展示室の中の「朱雀」の実物他を見学した。人数限定だから、譲り合ってしっかり見学できた。伝説の鳥であるが、飛ぶというより天空を駆けている様な印象である。尾羽が長く、頭には冠がある。本物の歴史遺産を目にでき、嬉しかった。
階段を昇って外に出て、古墳を見学した。
エリア内にいくつも道があるので、出る時に道を迷ってしまったよ・・・。
※②に続く