10月に出会った植物の花や鳥の写真を整理してみました。10月も近年にない暑さが続きましたが、植物・野鳥・昆虫など約120品種ほど撮影できました。毎月恒例の記録として6回に分けて投稿させていただきます。
今回も、9月の花のアルバム同様、花の名前や分類(科名、属名)は写真の後に表記しました。まず、写真と説明を見ていただき、花の名前を考えていただけるようにしました。
アカシアの雨がやむとき 西田佐知子
北海道を除く各地で、山野の林の縁や道端に普通に生えている落葉の蔓性植物です。円柱形で短毛が生えている茎は細く、他のものに左巻きに巻き付いて、高さ10m程に長く伸びます。
花期は7~8月、枝先と葉腋から長さ3~9cmの円柱花序に、黄白色の小花を多数つけます。雌雄異株です。花後雌花は核果となり、藍黒色に熟します。
名前の由来はこの植物の蔓で葛籠(つづら)を編み、生活に利用してきたことに依ります。
<アオツヅラフジ(青葛藤) ツヅラフジ科アオツヅラフジ属>
10/18 北柏ふるさと公園
日当たりの良い乾燥した場所に多く生え、とても背が高くなる草です。花のころは草丈が2m近くになることも多く、ほかの植物から抜きんでてよく目立ちます。
「秋の」と名がつく通り、開花は9月から11月頃です。茎の上部に直径約2cmの頭花を円錐状に多数つけます。頭花はふつう淡黄色、まれに白色、淡紫色で、昼間開き、夕方にはしぼみます。
花後、結実するとその株は枯れてしまいます。秋に開花に至らなかった若い株はそのまま越冬し、翌年の秋に開花・結実します。
<アキノノゲシ(秋の野芥子) キク科アキノノゲシ属>
10/18 手賀沼
世界で広く親しまれている日本産の落葉低木で、梅雨どきに咲く代表的な花木です。
梅雨の代名詞でもある本種は、夏の季語にもなっており、日本人にとても馴染みのある植物の1つです。
10月の中旬になっても、千葉市緑化植物園やあけぼの山農業公園では咲いていました。
<アジサイ(紫陽花) アジサイ科アジサイ属>
10/11 千葉市緑化植物園 10/18 あけぼの山農業公園
春にスズランのようなつぼ形の花を房状にたくさん付け、満開時期は花穂が樹を覆うように咲き誇ります。
家畜や野生動物は、有毒植物の本種を避けることから別名、ウマクワズ、シカクワズ、ウシクワズとも言われています。
花が咲き終わると直径が5㎜ほどの実をつけます。花は下に垂れ下がって咲きますが、実はぶら下がっているように見えて熟すと上向きに開きます。イメージは、くす玉が逆に開く感じです。
実が熟す頃になると来春に向けた蕾ができており、見慣れない人は実と蕾を見分けるのが難しくなります。
<アセビ(馬酔木) ツツジ科アセビ属>
10/11 千葉市緑化植物園
野生種は、日本、中国、ヒマラヤ、メキシコに15種が分布する常緑、または落葉の低木で、日本には4種が自生しています。
19世紀中期にイタリアで作出された交配種です。両親の長所である四季咲きといえるほど長い開花期や、半常緑でありながら寒さに強いという特徴を受け継いだ、優秀な園芸品種です。
別名のツクバネウツギは漢字では「衝羽根空木」と書きますが、これはウツギに似た姿で、プロペラのように広がる5枚の萼が花後も残り、羽根つきの羽根のように見えることに由来しています。
<アベリア(花園衝羽根空木) スイカズラ科アベリア属(ツクバネウツギ属)>
10/18 北柏ふるさと公園
日本には大正時代にやってきたと考えられ、今は日本全国でふつうに見られる存在になっています。水田や湿地などの水辺を好みますが、環境適応能力が強いため、畑地や乾燥した荒れ地などにも生えることがあります。
花期は秋です。茎の先に、多数の小さな黄色い花(筒状花)が、まるく集まってつきます。この花の集まりの外側には、細長い総苞片が何枚もつき、まるで緑色の花びらのように見えます。
タネは、洋服や動物の体にくっついて遠くまで運ばれていく「ひっつき虫」です。タネの先に2本の長い刺があり、これで突き刺さるように引っかかる仕組みです。
<アメリカセンダングサ(アメリカ栴檀草) キク科センダングサ属>
10/18 北柏ふるさと公園
薄紫の小さな花を咲かせる多年草です。南アメリカ原産で観賞用の植物として持ち込まれたものが世界各地で野生化し、今では雑草とみなされています。
日本では、東北南部から九州までの河川敷、道ばた、荒地などでよく見られます。花期は一般には8-9月頃とされますが、環境条件によって4月から12月までばらつきがあります。
河川の在来種の植物の生育を妨げるなど植物相に大きな悪影響を与える恐れがあり、問題視されています。
<アレチハナガサ(荒地花笠) クマツヅラ科クマツヅラ属>
10/11 千葉市緑化植物園
中央アメリカから南アメリカの熱帯から亜熱帯に約30種が分布し、その多くが原産地では多年草ですが、日本では戸外で冬越しが難しいので、一年草として扱われます。
開花時期は主に夏を中心として初夏~秋、茎の上部、葉の付け根に次々とつぼみを付けます。花色は白、紫、ピンク、紫がかったブルーなどで、白と紫のツートンカラーになるものなどもあります。
エンジェルラベンダーの商品名で流通しているものもありますが、ラベンダーの仲間ではありません。
<アンゲロニア オオバコ科アンゲロニア属>
10/11 千葉市緑化植物園
河川敷や荒れ地などに生え、草木の間に絡まるようにしてのびていきます。花後、花弁は大きく膨らんでタネを包みます。
タネは花弁に包まれるようにして成熟していきますが、成熟の具合によってピンク、赤紫色、青紫色、青色と変化し、その色彩の変化は美しいものです。
葉柄が茎に接続する部分には、托葉という丸い葉のような部分があります。三角形の葉と丸い托葉の組み合わせが特徴的で、慣れれば花や果実がなくともすぐに特定できるようになります。
<イシミカワ(石実皮) タデ科イヌタデ属>
10/18 北柏ふるさと公園
東アジア原産の多年草で、細い竹のような茎とハート形の大きな葉を持ち、1日に10センチともいわれる成長力と地下数メートルにも及ぶ地下茎の強さが特徴です。
雌雄別株で、夏から秋に細かい白花を咲かせます。春先の若芽は食用になります。
和名の語源は、傷薬として若葉を揉んでつけると血が止まって痛みを和らげるのに役立つことから、「痛み取り」が転訛して名付けられたというのが通説になっています。
<イタドリ(虎杖) タデ科ソバカズラ属>
10/18 北柏ふるさと公園
ユーラシア大陸東部に分布。日本では北海道から九州まで分布しており、渓流沿いの樹林周辺に生息し、都市郊外でも普通に見られます。
黒地に鮮やかな一文字模様を持つタテハチョウの仲間です。アサマイチモンジによく似ていますが、本種の方が全体に活発な雰囲気を持ちます。
<イチモンジチョウ チョウ目タテハチョウ科>
10/18 手賀沼
日本全土の道ばたや畑、荒れ地などにごくふつうに生えます。茎先に長さ1センチから5センチの穂状花序を出し、紅色の小花をたくさんつけます。
和名はヤナギタデに対し、葉に辛味がなくて役に立たないという意味で付けられました。また赤い小さな花や果実を赤飯に見立て、別名アカノマンマともよばれます。
<イヌタデ(犬蓼) タデ科イヌタデ属>
10/18 手賀沼
日本全国の山野から路傍、荒れ地等に生育する一年草です。高さは大きくなれば90cmほどにもなりますが、通常は20~30cm程度の場合が多いようです。
花は通常は白色で、夏から秋にかけて咲き、花を咲かせながら、直径1cm弱の黒色の液果を実らせます。本種の仲間はソラニンやサポニンといった有毒成分を含む毒草です。
バカナスとも呼ばれ、ホオズキやナスに似ているが役に立たないことから名付けられました。
<イヌホオズキ ナス科ナス属>
10/18 手賀沼
北海道南部から九州まで日本各地に見られるアジサイ科の落葉低木。日当たりのよい野原や山林の縁、土手などで普通に見られ、初夏を代表する花として万葉の古くから親しまれています。
開花は4~6月で、小さな白い花が円錐状になって枝先に咲きます。それぞれの小花は釣鐘型で、長さ1~2センチの花弁が5枚と3~4本の雌しべ、そして10本の雄しべがあります。
花の後にできる果実は直径5ミリほどの椀型。木質で硬く、先端が少し凹みます。できはじめは緑色ですが、10~11月になると黄褐色に熟して種子を蒔き散らします。
<ウツギ(空木) ユキノシタ科ウツギ属>
10/11 千葉市緑化植物園
シソ科の多年草で、北半球の温帯に広く分布し、日本各地の日当たりのよい山野の草地によく見られます。
6〜8月になると、茎の頂に長さ3〜8cmの花穂が現れ、唇のような形をした紫色の花が密集してつきます。本格的な夏には、枯れて黒っぽくなったまま、花穂をいつまでも残しているのが特徴です。
花穂が褐色になりかけのころ、地上部を採取して日干しにした生薬「夏枯草」は、漢方や和方の重要な薬として知られており、利尿や消炎、水腫などに用いられます。
和名は、花穂の形が弓矢を束ねて入れる漆塗りの靭(うつぼ)に似ていることに由来します。
<ウツボグサ(靫草) シソ科ウツボグサ属>
10/11 千葉市緑化植物園
頭をフリフリ泳ぐ真っ黒い鳥で、白い額がトレードマークです。全長39cm。全体は灰黒色で額とくちばしは白色です。
足は緑青色。「キュイッ」と聞こえる声を出します。陸上を歩くこともありますが、水上生活が多く、すばやく水上へ逃げていきます。
「水鶏(すいけい)」と書いてクイナと読みますが、名の通り、その種類の多くは水辺の草やアシの中にすんでいます。本種もクイナの仲間ではいちばん大きく太っています。
<オオバン(大鷭) ツル目クイナ科 全長約39cm>
10/25 柏の葉公園
草丈は1~2.5m程で、河川敷などの湿地に群落を作る身近な多年草です。日本全国や朝鮮半島、中国大陸に分布しています。
ススキに良く似ていますが、本種は地下茎で広がるために株立ちになりません。また、ススキが生えることのできる乾燥した場所には生育しませんが、ヨシよりは乾燥した場所を好みます。
また、ススキには、穂の先端に細い毛である「ノギ」がありますが、本種はありません。
<オギ(荻) イネ科ススキ属>
10/11 千葉市緑化植物園
日本全国の道端・空き地・河川敷などで、自然にみられる草花です。元々は夕方に咲く花だったためついた名前ですが、現在は昼間から咲いています。
南アメリカ原産で、日本には江戸時代始めごろに渡来しました。花が美しいため観賞用に栽培されますが、広く野生化もしています。
花色は赤、オレンジ、黄色、ピンク、白があり、とってもかわいい花ですが、繁殖力が強いので、雑草として扱われてもいるので気の毒な気がします。
<オシロイバナ(夕化粧) オシロイバナ科オシロイバナ属>
10/18 あけぼの山農業公園
今回投稿した花や木も樹名板が無いものが多く、Google Lensを参考に名前を記載しています。間違いがあれば、ご指摘いただけると助かります。
「10月の花のアルバム ①」20品種を最後までご覧いただきありがとうございました。次回「10月の花のアルバム ②」に続きます。