絲山秋子「イッツ・オンリー・トーク」(文春文庫)を読む。小説との幸福な出会いに感謝だ。
妙な純愛ものを書いている最近の男性作家にうんざりしていたので、この絲山秋子さんみたいな作品を読むと、いい小説に出会えたと安堵する。この力の抜けた感じはちょっと抜けられなくなりそうだ。凡庸な作家ならもっと書きすぎるところを、この小説に出てくる痴漢さんのように寸止めできるところがすごい。登場人物たちが蒲田(最高にシュールな街としか思えない)の中で見事に生きて完結しており、次にどうなるのだろうという読む側に未練を残さないところもいい。
「イッツ・オンリー・トーク」を原作に広木隆一監督で「やわらかい生活」として映画化が進んでいるらしいが、この世界を映像化するなら、オタール・イオセリアーニかジム・ジャームシュにしてほしい。この小説自体、「ストレンジャー・ザン・パラダイス」や「コーヒー&シガレッツ」だし、カメラ移動でワンシーンワンショットのような流れでシーンをつないでいくイオセリアーニのゆるいテンポがピッタリだと思う。そうだ、「ブロークン・フラワーズ」を観にいこう。
妙な純愛ものを書いている最近の男性作家にうんざりしていたので、この絲山秋子さんみたいな作品を読むと、いい小説に出会えたと安堵する。この力の抜けた感じはちょっと抜けられなくなりそうだ。凡庸な作家ならもっと書きすぎるところを、この小説に出てくる痴漢さんのように寸止めできるところがすごい。登場人物たちが蒲田(最高にシュールな街としか思えない)の中で見事に生きて完結しており、次にどうなるのだろうという読む側に未練を残さないところもいい。
「イッツ・オンリー・トーク」を原作に広木隆一監督で「やわらかい生活」として映画化が進んでいるらしいが、この世界を映像化するなら、オタール・イオセリアーニかジム・ジャームシュにしてほしい。この小説自体、「ストレンジャー・ザン・パラダイス」や「コーヒー&シガレッツ」だし、カメラ移動でワンシーンワンショットのような流れでシーンをつないでいくイオセリアーニのゆるいテンポがピッタリだと思う。そうだ、「ブロークン・フラワーズ」を観にいこう。