ボクの奥さん

ボクの奥さんは、甲斐よしひろさんの大ファン。そんな彼女との生活をお話したいと思います。

TRANCE EXPRESS TOUR(1989年6月24日)2

2022-08-30 15:20:00 | ライブ
3曲を歌い終えられたところで「サンキュー!ありがとう!」と甲斐さん
「えー、2年ぶりの『カオス』というアルバムに合わしてのツアーになります
2年ぶりのね、これも…もう、これはずっと、このツアーで言い続けてることなんだけど
アルバムには、それは『JとT』という風に記されてある

1人は…えー、ベトナム戦争の後遺症で、マンハッタンの街のド真ん中で
銃ぶっぱなそうとして病院送りになって…
たぶん、もう彼は一生出て来れない…えー、形になるだろうと思います
もう1人は、去年、エイズで…死んでね
どちらも、8年来のアメリカの友人2人だった…

人間は、ちょっとした遠い出来事でもね
ホントに自分の身の上に降りかかって起きない限りは
そういうことが理解できない厄介な部分があって…えー、その2人に捧げてるアルバムです
そのアルバムのタイトルチューンからの曲を…『カオス』」
…と、少し沈痛な面持ちで話されてますが

東日本大震災のあとのライブで「萩尾望都に『なのはな』があるように
俺には『カオス』があった」と、この曲を歌われた際にも
今回のビルボードツアーで取り上げられたのも
我が身に降りかかってみないと、人の痛みが判らないという
日々の暮らしに追われる内に、大切なことを忘れてしまう
人間の「どうしようもなさ」みたいなものに警鐘を鳴らそうとなさったのかなあと…?

前回の記事でご紹介した、このツアーのパンフレットでは
水越真紀さんが「甲斐が『CHAOS』を捧げた
二人のアメリカの友人達のうち、一人は既にエイズでこの世にいないし
もう一人はベトナム戦争の後遺症で精神病院に入っている。これが『こんな』世界の正体なんだ

そして、そんなどうすることもできない混沌とした世界に生きているからこそ
その中にある『夢』を信じたいとも思うのではないか
何を見つめていようとも人は最後は独りになる
甲斐よしひろのコンサートと『CHAOS』は、それを了解し、覚悟しているからこそ見えてくる
混沌の中でほのかに熱を放っている『夢』のことを思い出させてくれたように感じている」と綴られ

アルバム「カオス」の収録曲に関するコメントのページでは
清水隆俊さんが「この曲は、ラブ・ソングだろうか
この作品で語られている愛は、もちろん、眼の前にいる『君』に捧げられている
だが、同時に、その視線は『君』を通り越して、ふたりを囲む世界にも注がれている

争いも憎しみもない…この視線こそ、現在の甲斐よしひろの立場を表してる
僕たちも、彼が今、何を見ているのか、理解すべき時期に来ているのではないだろうか
彼を『血まみれのレッドスター』にさせないためにも…そして、だからこそ、考えてみたいのだ
『この曲は、ラブ・ソングだろうか』」と記され

萩尾望都さんは「これはふしぎな歌。シェルター、人工灯、ひどい世界の中で忘れてしまいそうな愛
都市生活の限界を歌ってるのだろうかと思っていたら
友人が、シェルターとは核シェルターではないか、という。そう考えると歌の情景は一変する

『そして何かお腹に入れよう』と歌う食事のシーンで、彼らは何を食べているのか
『ブレード・ランナー』や『地底のエリート』など
核戦争とその夜を扱った映画や小説はたくさんあるけれど
歌でこういう世界のムードを聴くのははじめて

『魅力的な愛を君に捧げる毎日』の『毎日』は刹那的な日々に思える
『死ぬまでごぶさた』の『ほんとのミルクとスマイル』って何なのだろうと
思いにひたればひたるほど、この歌の世界は混沌と広がっていくのです」と、おっしゃってますが

奥さんは、舞台「ツインズ」を観た時に、飲んではいけない水道水や
食べてはいけないアサリから連想される「汚染された世界」が「カオス」の歌詞を彷彿させ
作者でいらっしゃる長塚圭史さんは「甲斐バンド世代だったっけ?」と考えたんだとか…(笑)

ともあれ、富澤一誠さんは「過去に何をやったかではなく、これから何ができるのか?
それが大切なのだということをアルバム『カオス』は僕に教えてくれるが
特に『カオス』は僕の心に潜んでいる『青春の疼き』を見事に刺激してくれる
甲斐にもらったエネルギーをどう爆発させようかと考える今日この頃である」とコメントされ

このアルバムのプロデューサーでいらっしゃるチト河内さんは
「僕の場合、歌には『言葉』から入っていくことが多いが、この『カオス』は特にそうだった
1998年という10年後の世界(現在も既にそうなってはいるけれど)
つま先立って歩いて行かなくてはならないような世界で
自分がどうあるべきかがストレートに集約されている

甲斐の歌い方のせいか、あとで聴くととても鮮明に映像がイメージできる
彼の歌はだいたい映像的だが『カオス』のイメージは特別印象的だ
冷たいという意味の『クール』ではなく
しっかりと自分の場所に立ってものを見ているクールな感じなのだ」と評されていて
さすが「タイトルチューン」らしい反響の多さでした

余談ですが…このツアーパンフレットの最後に
メンバーの皆さんへの「一問一答」みたいなページがあり
「尊敬するミュージシャンは?」とか「最近観た映画は?」といった質問の中に
「エイズになったら、どうする?」という質問が入っていて
甲斐さんが「カオス」をお書きになったきっかけの1つであると共に
当時、大きな関心を集めた問題だったことを思い出した次第です(汗)

ちなみに…ドラムの宮崎さんは「エイズになったんだなと思う」とお答えになり
ギターの松下さんは「パミール高原に行く」
サックスの鈴木さんは「君ならどうする?」と質問で返され
ベースの富倉さんは「なった時しか考えられない」と、おっしゃってます

それはともかく…ライブ映像では、この曲だけ歌詞がテロップで表示される中
甲斐さんは、2コーラスを歌い終えられたトコで、お脱ぎになったジャケットを
階段の脇のスペースに無造作に置かれたりして
この曲に対する内面の熱さはさておき、淡々としたご様子

奥さんは、その歌詞テロップを見ていて
「そういえば『Killing me softly(やさしく歌って)』の歌詞を
『Love Me Tender』に変えた時は『えっ!?ナンで?』って思った(笑)」と申しておりました(笑)

最後の「カオス」という部分はエコー1回で終わり
続く5曲目には、松田聖子さんに提供なさった「ハートをROCK」を持って来られ
そのステージの「世界観」のギャップがスゴイなあと…(笑)

甲斐さんが、この曲をセルフカバーされたのは、おそらく?このツアーが初めてで
奥さんは、弟くんが聖子さんのアルバム「ユートピア」を持っていたことに感謝しつつ(笑)
「えーっ!?甲斐さん、これ歌っちゃうの!?(笑)」とビックリしたらしい(笑)

ただ、甲斐さんも若干?歌いにくさを感じていらしたのか?
この曲の時だけ、真っ黒なグラサンをおかけになったり(笑)
松本隆さんが書かれた歌詞の、女性言葉の部分を少し言いかえたりなさってます(笑)

実際、歌詞の部分を歌い終えられ「LaLaLa…」の部分になると、グラサンを外されてましたが(笑)
奥さんは「♪メガネを外したらハンサムね 違う人みたい♪」と歌われた際に
グラサンに手をやられた甲斐さんに「ここで外せばいいのに(笑)」とツッコミ(笑)

どなたとは申せませんが、サングラスがトレードマークの方々の中には
グラサンを外された途端に「別人」の如く、イメージが変わる方もいらっしゃるので(苦笑)
「甲斐さんは目力があって良かった~!」が口癖になったみたいです(笑)

そうそう!大サビ前の間奏に入ると、甲斐さんは、それまで手にされていたタンバリンを
転がすように、下手側へ放り投げられ
下手側フロントにベースの富倉さんとサックスの鈴木さんが出て来られると
甲斐さんは、上手側の松下さんのお隣に立たれる…という演出に
「このツアーは上手側が美味しかったんだよねぇ(笑)」と奥さん(笑)
まあ「野獣」の「寄り添い」シーンも上手側で披露されていたことだし…(笑)

もっとも、本人はこのツアーの関西公演で、初めて最前列ド真ん中という神席を引き当て
…って、このホールがまた、ステージと客席が近い造りだったこともあり
甲斐さんがステージ際まで出て来られるたびに
後退りしそうになるのを堪えるだけでいっぱいいっぱいで(笑)
上手側の席の皆さんを羨む余裕はなかったみたいです(笑)
コメント
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