大店の息子一太郎は売り物の砂糖を全部集めたような大甘の両親、奉公人に守られて生きている跡取り息子、若旦那です。
それというのも、産まれてこの方、朝昼晩に器用にもそれぞれ別の病で死にかけるほどひ弱だったからです。
そして、この大店には妖(あやかし)が沢山入り込んでいます。
まず一太郎の兄やである2人の手代も「白沢」「犬神」という妖。
実は一太郎の祖母が「皮衣」という大妖だったからです。
その一太郎が妖の力を借りて、いろいろな難問を解決していく、というのが畠中恵さんの「しゃばけシリーズ」です。
鳴家という家をきしませる子鬼の妖が可愛い。
「ねこのばば」は第三弾。5篇が収められています。
相変わらず、少し出歩くと何日も寝込んでしまう若旦那。
この作品では貧乏神と仲良くなったり、狐憑きのおかみさんの事件を見通したり、妖封じの寛朝という僧と親しくなったりと忙しい。
その中でも「産土」というのは「佐助」の過去のお話。
一太郎のように大事にしていた若旦那を失くしてしまい居場所も失った悲しい過去です。
そして最後の「たまやたまや」では、数少ない若旦那の友達で妹のように可愛がっていたお春が嫁入りしてしまいます。私的にはちょっと淋しいなあ。
このなかで「花かんざし」というお話がちょっと切なかった。
育ての母の神経がおかしくなり、殺されかける於りんちゃんも不憫だけど、祖父母の気を引こうとして塗り壁に目鼻のような厚化粧のお雛ちゃんも心根が優しいだけに不憫。でもそれを理解し愛してくれる小三郎に◎!
「ちんぷんかん」は「しゃばけシリーズ」最新刊。
「鬼と小鬼」「ちんぷんかん」「男ぶり」「今昔」「はるがいくよ」の5篇。
これは全体に今までのとは色合いが違う。
火事で煙を吸い死にかけて三途の川まで行ってしまった若旦那の話。これは何とか一緒についてきた妖だけは現世に戻してあげたいと、優しい若旦那の気質が溢れています。
「ちんぷんかん」は妖退治の寛朝の弟子、秋英のお話。
「男ぶり」は一太郎の母親と父親が結婚するいきさつとなる話。
そして、式神を操れるようになり、敬われたいと必死で願う陰陽師の話「今昔」。
最後は桜の古木が挨拶のためによこした花びらの妖「小紅」のお話「はるがいくよ」。
普通の何倍もの速さで成長し、桜の花びらが散る頃、消えていってしまう・・・。
消えていった空を見上げながら、親しい人との別れが続き淋しく思っていた若旦那は、何千年と生き、あまたの別れを経験し、またいつか自分とも別れなくてはならない妖達へ思いをいたします。
「はるがいくよ」。心のすべてを言い表す言葉が見つけられないまま「・・・・ごめん」と言う一太郎。声もなく立ち尽くす妖である2人の兄や。わずかに風に舞う桜の花びら・・・。
とても切ない終わり方でした。
やっぱり「しゃばけシリーズ」は好き。面白かったり楽しかったり、江戸の文化が興味深かったり。でも一番は、一太郎の優しい心がもたらす切なさや暖かさです。
鳴家はどんどん可愛くなってるし。
家にも4~5匹欲しいなあ。
いや、居るかもしれない。私には見えないだけで。
それというのも、産まれてこの方、朝昼晩に器用にもそれぞれ別の病で死にかけるほどひ弱だったからです。
そして、この大店には妖(あやかし)が沢山入り込んでいます。
まず一太郎の兄やである2人の手代も「白沢」「犬神」という妖。
実は一太郎の祖母が「皮衣」という大妖だったからです。
その一太郎が妖の力を借りて、いろいろな難問を解決していく、というのが畠中恵さんの「しゃばけシリーズ」です。
鳴家という家をきしませる子鬼の妖が可愛い。
「ねこのばば」は第三弾。5篇が収められています。
相変わらず、少し出歩くと何日も寝込んでしまう若旦那。
この作品では貧乏神と仲良くなったり、狐憑きのおかみさんの事件を見通したり、妖封じの寛朝という僧と親しくなったりと忙しい。
その中でも「産土」というのは「佐助」の過去のお話。
一太郎のように大事にしていた若旦那を失くしてしまい居場所も失った悲しい過去です。
そして最後の「たまやたまや」では、数少ない若旦那の友達で妹のように可愛がっていたお春が嫁入りしてしまいます。私的にはちょっと淋しいなあ。
このなかで「花かんざし」というお話がちょっと切なかった。
育ての母の神経がおかしくなり、殺されかける於りんちゃんも不憫だけど、祖父母の気を引こうとして塗り壁に目鼻のような厚化粧のお雛ちゃんも心根が優しいだけに不憫。でもそれを理解し愛してくれる小三郎に◎!
「ちんぷんかん」は「しゃばけシリーズ」最新刊。
「鬼と小鬼」「ちんぷんかん」「男ぶり」「今昔」「はるがいくよ」の5篇。
これは全体に今までのとは色合いが違う。
火事で煙を吸い死にかけて三途の川まで行ってしまった若旦那の話。これは何とか一緒についてきた妖だけは現世に戻してあげたいと、優しい若旦那の気質が溢れています。
「ちんぷんかん」は妖退治の寛朝の弟子、秋英のお話。
「男ぶり」は一太郎の母親と父親が結婚するいきさつとなる話。
そして、式神を操れるようになり、敬われたいと必死で願う陰陽師の話「今昔」。
最後は桜の古木が挨拶のためによこした花びらの妖「小紅」のお話「はるがいくよ」。
普通の何倍もの速さで成長し、桜の花びらが散る頃、消えていってしまう・・・。
消えていった空を見上げながら、親しい人との別れが続き淋しく思っていた若旦那は、何千年と生き、あまたの別れを経験し、またいつか自分とも別れなくてはならない妖達へ思いをいたします。
「はるがいくよ」。心のすべてを言い表す言葉が見つけられないまま「・・・・ごめん」と言う一太郎。声もなく立ち尽くす妖である2人の兄や。わずかに風に舞う桜の花びら・・・。
とても切ない終わり方でした。
やっぱり「しゃばけシリーズ」は好き。面白かったり楽しかったり、江戸の文化が興味深かったり。でも一番は、一太郎の優しい心がもたらす切なさや暖かさです。
鳴家はどんどん可愛くなってるし。
家にも4~5匹欲しいなあ。
いや、居るかもしれない。私には見えないだけで。