oceanside

仏語、英語学習者。アイザック・アシモフのファン。ノース・ホワイトヘッド思想信奉。縄文志向、仏陀志向。

ファウンデーションの夢 ラベンダー 1 「ポニェッツの秘密」

2021-12-25 21:28:24 | 古代の知恵とSF
38 ベイタさんへ。一人でターミナスに行かせて、ホントにごめんなさい。言われた通りに、もうすっかり後片付けが終わって、そちらに行く準備が万端ですよ。シーウィーはなんかぶつぶつ言ってますけど、心配ないわ。
 実はね、この手紙を書いたのには訳があるのよ。あなたも私のアルカディアおばあちゃんがハーブの専門家だったって知ってるわよね。ハーブはざっと挙げても 45の重要な効用がありますね。そして千の疾患に効いて、万病の予防になるってことも。その中でも、抗不安、免疫力アップ、浄化があるわね。その「浄化」っていうことに何か秘密があるみたい。
 このあいだ、アルカディアおばあちゃんの日記を見つけたのよ。それを読んでて「ハッ」としたことがあったからなの。早く知らせなきゃ、と思ってね。そのアルカディアおばあちゃんが「ポニェッツの秘密」を見つけたと記してあるわ。彼(初代アルカディアの友人、アルシアの自称保護者)がラベンダー商売で銀河を駆け巡っているとき、運悪く宇宙船の操縦装置の故障であわやブラックホールに吸い込まれそうになって気を失ってしまった時、「不死の従僕」と名のる正体不明の人物が夢に現れ、「心配するな。積み荷のラベンダーも大事ない。そのラベンダーをドーニックの農園に植えろ。」と言ったそうよ。
 あなたが見たガール・ドーニックの農園だけ、ラベンダーが咲いているのは、その「ポニェッツの秘密」らしいのです。その効用ときたら、「絶対不可能と言われている放射線物質の除染」と明記されてるわ。不思議ですね!
 ベイタさん。私の好きな詩を添えるわね。アルカディアの詩よ。
 「 ハーブ ハーブ 香る
すべての挨拶より香しい
滲みる 心に
すべての音楽より麗しい
ハーブ ハーブ 香り立つ
愛が世界へ 
今 
時を超えた 
涙 」
             母ロアより

yatcha john s. 『ファウンデーションの夢』 ラベンダー 1 「ポニェッツの秘密」


東方の三賢人

2021-12-25 21:16:44 | 人生の処方箋
こんな田舎の街の中、トナカイなしのサンタが一人彷徨いてた。そこで思い立ち、

 一説によれば、幼い聡明なマタイは、ある晩バビロンの三人のマゴイ(占星術師、賢者)の夢を視た。

 野心一杯の若者メルキオール、父ちゃんの財産を新世界の救いのために使おうと、そのためには学問の先生を見つけようとバビロンに向かった。先生の名はバルタザール。彼は若いときはアロマオイルで財をなした。漸く、夜の星空に不思議な光の行方を突き止めた。それを聞いたバルタザールの先生カスパール。ヨボヨボでも弟子について行くぞと捲し立てた。よわったバルタザールは元気な青年メルキオールを誘った。万一の場合は君が年寄りを担げ、と。
 旅の途中、導きの星がいっそうの輝きを増し、突然止まった。カスパールは悟った。「既に生まれ出た幼子はその命を我々に下さる」と。星は時間を超え、空間を超え、人の世の全てを拭う、と。「わしは若いとき、葬儀屋で財をなした。わしの生命の換わりに『世の命の全て様』に没薬を捧げるのだ」と。

yatcha john s.  「東方の三賢人」


crystal memories

2021-12-25 00:24:05 | 軽やかなあさのひかり(太陽光線)
ゼウスが人をつくったとき
流れ落ちる滝からの水を一瞬のうちに凍らせた
その溶けない氷はそのまま地面に突き刺さり
人々の暮らしを守ってきた

幸せな気持ちは水晶のよう
例えば蝶の舞う色とりどりに咲くお花畑を歩いて行くような 
たまには酸っぱいレモン色
たまには心地よいミルク色
たまには厳しいダークブラウン
たまには激しい恋の紅

思い出は良いもの
幸せな記憶は水晶のよう
触ることのできない過去もまた
輝ける明日と変えてくれる

叶わぬ夢も閉じ込めて
不思議の世界につれていく

それはたとえばラベンダー畑に
ひねもす薫りを嗅ぎ
夕には日没の音楽を聴き
落ち着きを取り戻して
夜もすがら星を眺め
朝には昇る太陽に今日の新たな絵を描くような

yatcha john s. 「 cristal memories」