oceanside

仏語、英語学習者。アイザック・アシモフのファン。ノース・ホワイトヘッド思想信奉。縄文志向、仏陀志向。

春音の海浜公園

2022-04-05 15:34:29 | 海浜公園
伸びやかな春の訪れ
君と不意にオトズレテみよう

相変わらず不協和音には違いない

君も相変わらずかわりばえしない風(ふう)で
「ちょっと待って下さい」に
相変わらず苦笑する

歳を重ねて
往く年の重みはことのほか
体の痛みに反比例して
朗らかに軽やか

小枝をきびんに跳び移る
小鳥たちのソプラノは
2オクターブ上のハ長調で
若き日のクワイアー・コーラスを思い出す

梅から桃へ
そして桜の季節への移り変わりは
砂時計を上下に回すより速いみたいだ

それでも白からピンクへ
ピンクへから黄色への加速度は
なぜかしら
僕がそもそも
時の漂流者か迷い子であるのを
おもいださせる

それとも月夜ともなれば
気を取り戻し
鳴き始めたばかりの虫のセレナーデに
心行くまでハミングしながら
ワルツでもどうかな

https://youtu.be/NpuC8d_9X0Y

yatcha john s. 「春音の迷い子」


ミーターの大冒険 オーロラへ 11 「歴史消滅の謎 反ミュール 禁断の星」

2022-04-05 14:52:12 | ミーターの大冒険
11 ミーター、そうそう、ハニスさんから、ハイパーウエーブ通信が暗号で届いているわ。読み上げるわね。
「ミーター君、それに『時代遅れの風采の相棒君』、元気でいるか?こっちは新たな情報を得た。俺の住んでたフレクスナーの郊外のある店で、フラベラさんという若い美人から面白い情報を得たんだ。その彼氏は、アルカディアさんの熱烈ファンの読者で、今のターミナスの体制に反対している。そして、彼独自の考えがふるっている。アルカディアさんの本から彼はセルダン・プランの本質を解こうとしている。その謎解きの手法が俺の今までたどり着いたところとドンピシャなんだ。
 彼の名は、ゴラン・トラヴァイズ、なんだか今までになく、ワクワクしてきた。
 コンパー君はまた別のアイディアを語ってくれた。ターミナスに隣接するドーニック公園の側に昔俺の友人の息子が、銀河全体の図書館からデータを取り寄せて、銀河のおおもとの故郷の星の探索に躍起になっているという。彼の名はジャノヴ・ペロラット。彼は、いわゆる「歴史消滅」の理由、背景の謎を解きたいと言っているという。彼の狙いは「故郷の星」の発見っていうことだ。 目下彼ら二人にどう接近するかだよ!
 二人(?)とも、気をつけてな。」

 う~。どうやらハニスさんは元気らしい。
 ゴラン・トラヴァイズ。ジャノヴ・ペロラットか!
 ますます新たな展開だな!
 ところでイルミナ、コンポレロンについてわかったこと、なにかあるかい?

 そうね、ハニスさんの情報にも関係するんだけど、ミュール事件の際の、エブリング・ミス、ベイタ・ダレル、そしてその夫。ミュールは最終的に二人をコントロールしたけど、ベイタだけは支配されずに残った。ベイタだけが彼女の自由意志で振る舞われた。そのためミュールは、結局敗北した。
 その約百年後、孫のアルカディアは、ターミナスに第二ファウンデーションの基地があるのを仄めかして、数名の第二ファウンデーション員を捕らえさせることによって第二ファウンデーションの位置を隠し、なおかつ、第二ファウンデーションの存在を守った。
 第二ファウンデーションは、彼女と呼応するように、彼らの拠点を、念のために他の星に一時移した。今では元の拠点に戻っている頃ですね。
 アルカディアは、捕縛された第二ファウンデーション員の身代わりをドースさんに頼んだ。
 といったところだわ。
 これらの数少ないデータから、三段論法で推理すれば、...。

 イルミナ、もったいぶらないで、どうなんだい?
 
 推理すればですね、その一時避難地というのが、ターミナスとの同盟関係にあるコンポレロン。不死の従僕の所在を仄めかす「禁断の星」オーロラ。このファー・スター二世号の基盤コンピューターと関係のある「レオナルド」。そのレオナルドさんの秘密のお仲間が、「反ミュール」に関連していて、
 それらが銀河の反対側にそれぞれ結びついているってことかしらって、ねえ!

 イルミナ、ありがとう。それじゃ、コンポレロンにまっしぐらだ!

https://youtu.be/cUSl1dc_qCc

yatcha john s. 『ミーターの大冒険』 オーロラへ 11 「歴史消滅の謎 反ミュール 禁断の星」


ミーターの大冒険 オーロラへ 5 「我ら銀河の子」

2022-04-05 07:51:50 | ミーターの大冒険
5 ミーター、音痴ってこの世の中には実在するのね。アンソーアさんの歌は聴けたもんじゃないわねぇ!ミーター、あなた、また思い出しているのね。そういうの「追憶の鍵」を開けているっていうの、知ってた。

 イルミナ、控えろ!アルカディアは、目を瞑って、聞いているじゃないか。
 それにしてもイルミナ、君は僕の頭の中も読めるのか?いや聴けるのか?恐れ入った能力じゃないか!あれから何年過ぎたんだろう。アンソーアさんがアルカディアの館に再訪した夜から。

 さっき言ったでしょう。私は「心理スキャン備え付け最新鋭イルミネーショナー」って。あなたのいまの白昼夢とやらも、お茶の子サイサイなんですよ。
 それにしても、アンソーアさんは音痴だわ!
 強いて誉めろと言えば、う~そうね、ここシンナの地表から私たち二人が見上げる天空かしら!シンナの星空って、銀河一かも知れませんね!オーロラと横たわる銀河が公差しているの。ずっと観ていたいわ。

 イルミナ、僕の追憶はターミナスのアルカディアの館のあの夜のことで、ここシンナのことじゃない。
 で、その音痴な歌っていうものの歌詞は分かるのか?スキャン・アップしてくれないか?

 分かったわ。今出すね!

「冷たい銀河の風に打たれても
僕らは怯まない
なぜって 
僕らは高邁な理想に燃えているから
セルダン先生のあとを追いかけて
たとえボロなスペースワゴンだって
へいちゃらさ

優しい銀河の風に打たれて
僕らは涙する
だって僕らは銀河の子 
我らの命 愛 夢 勇気は銀河の塵でできている
ドーニック先生から教わった織姫と彦星
貿易商人は三年に一度も
恋人に会えなかった

熱い銀河の風に打たれて僕らは戦う
なぜって銀河はそれを望んでいる
ファウンデーションはきっと大銀河を復興し
希望が愛に変わる
宇宙の果てまで紫(モーブ)に染まる

美しい銀河の風に打たれて女たちは踊る
オルフェウスの琴の音に心が溶かされた
ニンフのエリディケのように
たとえドースが R であってもセルダンを助けてアンドロメダまで行っちゃうよね」

https://youtu.be/3U39Gymkcxw

yatcha john s. 『ミーターの大冒険』 オーロラへ 5  「我ら銀河の子」


ミーターの大冒険 オーロラへ 10 「コンポレロン・宇宙潮流・ジョン・ナック」

2022-04-05 05:11:07 | ミーターの大冒険
10 ミーター、驚いたわ、ファー・スター2世号は、新たなジャンプを繰り返す度に、もう一つのアクチュアル・フォース(actual force ) を見つけて、それらと摂取、融合して、枯渇したプラズマ・エネルギーを再生しながら飛び続けているわ。

 えへん、それが、ファー・スター2世号の独自で、優秀たる所以さ。これだけは、オリンサスさんの独創性なのさ。「宇宙潮流」に沿って突進する技術なんだ。まるでオリンサスさんが生きてるみたいだ。

 ミーター、「宇宙潮流」って「オリンサス」さんの技術ですって?

 イルミナ、「宇宙潮流」という真理は、ハニスさんが、ベリス岬の洞窟で再発見した、ガール文書のなかの一つ『ジョン・ナックの歴史思想書』の一部に記されてあった宇宙構成三要素の一つ暗黒エネルギーに関係のある概念なのさ。
 オリンサスさんは、若いとき、コンポレロンの友人から、それとの接触技術を教わったと聞いている。それを若いときはずっと無視してきたが、ハニスさんと知り合ってから、やっと重い腰を上げたように夢中になった。
 ハニスさんがアルカディアと知り合いになったのは、ベリス岬の洞窟で、「ガール文書」の一部を発見してからで、その中に「ジョン・ナックの歴史思想書」があった。その本には二万年以上前に故郷の星のある望遠鏡のことが記されてあった。その名前が、「すばる望遠鏡」。そのプロジェクトが「SuMIRe」。これによって宇宙誕生の神秘がやっと抉じ開けられた。この宇宙の起源138億年前のある瞬間、この宇宙はインフルエーションによって惹き起こされ、ビッグバン現象を起こした。その時、暗黒エネルギーが筋状に「シワ」をつくって宇宙潮流を構成した。この宇宙潮流が宇宙全体を繋いでいる。この宇宙潮流のシワに沿って進むのがジャンプなんだ。
 重要な真理がある。コンポレロンはターミナスのちょうど銀河の反対側に位置していて、シンナックスやヘリコンに近いばかりじゃない。伝説だが、目的地のオーロラ、そして最終目的地の人類のふるさとアタカナに辿り着く道しるべの星なんだよ。単にターミナスの同盟星ということではない。もしかしたら、反ミュールの星にも関係が深い。

 じゃあ、ミーター、それって誰かが、いわゆる「歴史消滅」から幕開けを図って、いよいよある人々にだけ、重要な真実のヴェールを開けつつあるっていうことね!その誰かって!

 そう、イルミナ、勘が鋭い!「不死の従僕」だろうかねぇ!

https://youtu.be/B7EAdAWRfV8

yatcha john s. 『ミーターの大冒険』 オーロラへ 10 「コンポレロン 宇宙潮流 ジョン・ナック」
Photo ∶すばる望遠鏡


R・オリヴォー、歴史消滅を決断する

2022-04-05 04:58:34 | ファウンデーションの夢
「たとえば、どうなんです、親友ジスカルド。教えて欲しい、人類がゼロからもう一度復活するにはどういう手立てがあるのですか?」
 
 今一万歳になったロボット・R・ダニール・オリヴォーは、故郷の星オーロラの中心都市イオスがあった土地に航宙船で降り立った。
 先輩で盟友のジスカルド・レヴェントルフを、さも人間がするようなふうに目を細めて思い返していた。
 回りは鬱蒼とジャングルとなっていたが、小高い丘に少しだけ緑の草原があった。街はまさに見捨てられていた。
 ダニールは、思った。「そうするとこの繁栄したオーロラを覚えているのはわたしだけなんですんね。」

 「R・ダニール、そうだ。一万年前、きみは、地球人イライジャ・ベイリーと地球で人類の危機を救った。そのあときみは彼とソラリアで50のスペーサーワールドを救った。それから、きみと僕とイライジャで地球とスペーサーワールドの危機を乗り越えた。今やこの天の川銀河に広がった地球人たちセツラーを持続可能にするにはもうきみ一人で考えるしかないな。昔きみに教えた方法が、あるではないか。」

 廃墟と化したイオスの丘に立って、ダニールは、木々の擦れ合う風の声を聞いていた。手には、先程廃墟になった図書館から持ち出した『児童のための知恵の書』が握られていた。

 「この街も消えた。賑わう人びとの群れは、もうない。あるのは思い出だけか。あるのはわたしの記憶だけか。わたしの記憶だけが歴史の真実を知っている、ということか。ホントにいいのであろうか?畏れ多いことだ!大銀河に散らばった人類の記憶から歴史を消す。そんなことが許されるのであろうか?」

 またもや、ダニールは、遥か過去のジスカルドの面影を夢想した。
 
 「友よ、ダニール・オリヴォー、それでいいのだ。迷わず行け!人類がもう一度立ち上がるかどうかは、わからない。でも人類がゼロから復活するかどうかは、人類の生存がこの天の川銀河を含む大宇宙にとって必要なら彼らは生き残り、もう一度歴史を生き返らせるであろうよ。ダニール、迷わず実行して見なさい。人類を信じてみてみよう。」

 またダニールは、夢想した。今度は失われたはずの廃墟となった地球の頂きになって人間と同じように両手を高々に挙げて勝利の雄叫びをあげている自分の姿を。一万年後の自分を!

https://youtu.be/B7EAdAWRfV8

yatcha john s. 「R・オリヴォー、人類の歴史消滅を決断する」(たわいもないショート・ショート)