ニュースが2件あります。マンション業界とネット業界です。
もともと不動産や住宅の業界の不況ぶりは知っていましたので、再確認みたいなものですが、むしろネット業界のニュースのほうがひとつのターニングポイントを示しているのかもしれません。
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11月首都圏マンション発売戸数、過去最長の15カ月連続減
12月15日14時51分配信 ロイター
民間の不動産経済研究所が発表したマンション市場動向によると、11月の首都圏マンション発売戸数は3293戸で前年比14.9%減となり、過去最長となる15カ月連続マイナスとなった。
これまではバブル崩壊時の1990年11月からの14カ月連続減が最長だったが、法改正や金融市場の混乱などを背景にした市況悪化で過去最長を更新した。
首都圏のマンション契約率は63.2%で、好不調の分かれ目とされる70%を3カ月連続で下回った。
マンション販売在庫数は1万1085戸で前月比で243戸増加した。在庫数が1万1000戸を超えるのは2002年12月以来。
1戸当たりの価格は5018万円で前年比7.1%上昇したものの、引き渡し価格ベースでは「値下げしている可能性が十分ある」(同研究所)として、なお厳しい状況だとみられている。
12月の発売戸数は5000戸前後の見込み。これを前提にマンション新規発売戸数を試算すると、2008年は4万2000戸程度となる見通し。同研究所は、マンション大量供給が始まる前の1993年の水準を下回る可能性があると指摘している。
(ロイター日本語ニュース 寺脇 麻理記者)
■「タダが当たり前」の時代は終わる?
カフェスタが「お金払って」と呼び掛けた理由
12月15日12時4分配信 ITmediaニュース
「広告収入で成り立たせる無料モデルは、もう限界だ」――カフェスタの上澤馨(うえさわかおる)社長は言う。「広告モデルはバブルが作ったモデルだった」と。
カフェスタは、アバターを使ってコミュニケーションできるSNSで、登録会員数は約178万、月間ユニークユーザーは50~60万、月間ページビューは約8000万。基本サービスは無料で利用できる。
主な収入源は広告で、以前は月間数千万円の広告収入があったが、ここ最近の不景気で出稿が激減したという。アバターも販売しているが、無料のポイントで手に入るものも多く「月間数百万程度の収入にしかならない」状態。かなりの赤字が出ているという。
赤字を解消し、運営を継続するには――同社が採ったのは、なりふり構わずユーザーに訴えかけるという手段だ。Webサイトの「お知らせ」やメールマガジンで「現在の収益のままではサイトの運営を停止せざるを得ない状況」と告白し、会員に対して「今後も継続運営するために、パスポート会員(有料会員)になっていただくか、アバターなどのお買い物をしてもらえないか」と呼び掛けた。
無料の人気サービスで大きな赤字が出ていたり、利益がほとんどないというケースは少なくない。ユーザーがサービスの運営を心配したり、自らサービスを支えていこうという動きも出ている。
例えばイラストSNS「pixiv」は、アクセスの急増でサービス継続が困難とし、新規登録を一時停止。ユーザーからは経営を心配する声が寄せられたという。「ニコニコ動画」では、赤字が続いていることを懸念したユーザーが「有料会員になろう」と呼び掛け、実際に有料会員が増えている。SNS最大手の mixiでも、ユーザーがmixiのもうけ方を考えるというイベントが開かれたこともあった。
・買収してみてびっくり
カフェスタは2002年、パワードコムの事業として始まり、韓国Daum Commucations子会社などを経て今年4月にMCJグループに入った。
MCJグループはデジタル機器の製造・販売を主に手がけてきており、PCのマウスコンピューターや、デジタルオーディオのiriver japanなどを傘下に持つが、ネットサービスはカフェスタが初めてだ。
カフェスタを買収し、ネットサービスに参入した理由を、上澤社長はこう説明する。「グループでWiMAX端末事業への参入を計画しているが、WiMAX搭載機を販売する際、接続先として、ある程度ネームバリューがあり、ユーザーを確保しているサイトが欲しかった」
だが実際に買収して「開けてみてびっくりした」という。WiMAXをいち早く試すような、最新PCデバイスに興味があるコアな層が利用していると期待していたが、カフェスタは20代~40代の女性ユーザーが中心。「お弁当の写真を募集すると一気に5000~6000枚も集まるような生活に密着したサイトで、WiMAXにはリンクしなかった」
しかも前の運営企業が「収益面であまり真剣にやっていなかった」こともあり、大きな赤字が出ている状態。運営を継続する経済的なメリットが見えない状況だった。「グループの中で赤字なのはカフェスタだけ」と、iriver japanの会長も務める上澤社長は苦笑する。
・タダが当たり前、に驚いた
加えて「ユーザーが『タダで遊ぶのが当たり前』と思っていることに驚いた」という。MCJグループのデバイス事業部門責任者として、商品を販売し、価値に見合った対価を得るというリアルビジネスを続けてきた上澤社長にとって、「無料で価値あるサービスが受けられるのが当たり前」というコミュニティーサイトユーザーの感覚は、理解し難かった。
mixiやGREE、モバゲータウンなど、国内の人気SNSの多くは広告モデルで運営されており、基本機能を無料で利用できる。カフェスタもこれまでは収入のほとんどを広告から得ていたが、もともと赤字が続いていたところにここ最近の不景気が追い打ちをかけ、広告モデルでは立ちゆかなくなってきた。
上澤社長は「広告モデルはバブルが作ったモデル」と見る。「広告は、景気が悪くなると最初に削られていく」――不景気でネットの広告市場も冷え込みつつある今、コミュニティーサービスも新しいモデルに転換すべき時期だと話す。
新しいモデルとは、広告に頼らず、サービスの価値に見合った対価をユーザーに支払ってもらうというもの。11月に導入した有料会員制「パスポート会員」は、その第一歩だ。
「無料でどうぞ、という時代は終わる。無料で続くサービスというのは、何かの広告塔でもない限り、経済原則上ありえない。カフェスタのサービスにコーヒー1杯分ぐらいの価値を感じてくれるなら、月額315円(パスポート会員の会費)ほど支払って一緒にサービスの満足度を上げよう、と考えてもらえないだろうか」
・変なプライドより「一緒に作っていこう」
そんな考えを示すため同社は、スタッフがブログで実名を出して運営の現状を正直に話し、ユーザーに「サービス維持のためにお金を使ってください」と訴えかけるという手段を選んだ。
「変なプライドを持っていても仕方がない。当社とユーザーは対等で、お金を払えと強制できる立場でもない。素直に現状を伝えて『一緒にもっといいものにしていこう』と呼び掛け、ユーザーにも考えてほしかった」
この呼び掛けに反応し、有料会員になったり、アバターを購入してくれたユーザーもいた。「小学生ユーザーの○○ちゃんのために、会費を払ってあげたい」 ――そんなユーザーもいたという。現在の有料会員数は1000人程度。これが3~5万人まで増えれば、広告に頼らず安定して運営していけるとみる。
その一方で「少しでもお金を集めてからサービスをやめるつもりでは」と疑ったり、反発して退会したユーザーもいた。「いろんな人がいろんなことを言うが、反応してくれるということは無関心ではない、ということ。全員が『いらない』というならば閉鎖するしかないが、支援の温かい言葉もたくさんいただいている」
来年1月には完全有料化する計画だ。月額100円程度で1カ月間利用できるチケットを発行する――といった形を検討。支払いがなくてもデータは保持し、また使いたくなった時に支払えば利用を再開できる、という仕組みだ。
「金もうけしようとは思っていない。サービスを維持し、より良いものにしたい」と上澤社長は繰り返す。「サイトを愛してくれる人とともに進みたい。『100円でも高い、それだけの価値がない』と思うユーザーにはもう何も言えない。ほかのサービスを使ってもらうしかない」
完全有料化すれば、サービス提供側もユーザー側も意識が変わるだろうと期待する。「もちろん無料でもきちんと運営しているのだが、有料と思えば作り手の意識も違う。ユーザーももっと誇りを持てるだろう」
・ユーザーが選ぶ時代に
上澤社長は、今後SNSが専門分化していくとみている。「時代は変わっている。ユーザーの趣味が多様化し、専門特化していく時代。誰もが行くmixiのようなサイトではなく、お客が好みに応じて選択するニッチなサイトの時代が来る。選ぶのははわれわれではなくユーザーだ」
カフェスタは「20代後半~40代が集まるアバターコミュニケーションの場」という個性を打ち出し、そういった場を求める人に選んでもらって対価を得ながら運営していく、という方向にこぎ出した。「アバターで夢を見ようという人と一緒にやっていきたい」
今後は、コストをかけて機能を改善していく予定だ。「ニコニコ動画」「YouTube」「Zoome」といった動画サイトの動画をはり付けられるようにしたり、チャット機能を強化するといったことを計画している。
「ワクワクドキドキするようなストーリーを作り、エンターテインメント性を強化していきたい。ディズニーランドのように『夢』を与えて、有料でも何度も来てもらえる場にしたい」