ウォートンレポートの続きです。
【DAO の法的主体になり得る組織の形式】
DAO として認められた法的形態には、前回紹介した、法人企業等に加え公益目的のために設立された民間団体または公共慈善団体である可能性がある財団が含まれます。
共通の目的を達成しようとするグループの形態は様々です。信託受益者の利益のために行動しなければならない『信託』や、積極的な参加者または顧客が所有する協同組合。 それぞれに、DAO とうまく適合する属性があります。
米国の多くの州では、非法人の非営利団体 (UNA) が正式な登録なしに設立される場合があり、他の法的主体の多くの利点を提供する事ができます。
「非営利」の制限は、組織の活動が全体的な非営利目的を維持するように構成されている限り、メンバーが金銭的利益を受け取ることを妨げるものではありません。
多くの DAO は、スイス、ケイマン諸島 (「財団法人」) およびオランダ (「Stichting」) の法律に基づき、所有者のない財団として構成されています。 スイスの財団構造は、イーサリアム財団によって採用されて以来、デジタル資産の世界で際立っています。 これらの構造は、米国を拠点とする財団とは異なり、株主、管理者、または受益者の識別を必要とせず、DAO に適用できる要件が比較的限られています。 スイスの財団構造は、ガバナンスの柔軟性を高める可能性があります。
《オーダーメイドの法的枠組み》
このプロジェクトは、この法的カテゴリに基づいて、分散型自律協会 (DAA) のモデル フレームワークを開発しました。
いくつかの事例を紹介します。
形態としては受益者に代わって行動する信託です。 『ガーンジーの目的信託』は、指定された受託者が書面による合意に基づいて信託の利益のために行動することを許可しますが、受託者の責任は彼らの管理下にある資産に限定され、トークン保有者はそれ以上の法的義務から保護されます。
『トリビュート ラボ DAO』
トラストは、特定の委員会をするために使用されます
またはサブDAOは、事業体全体ではなく、資金の配分などの機能に従事しています。
この取り決めにより、法人の場合税務処理が明確になり、DAO が銀行口座の開設や契約への署名などの活動に従事できるようになる可能性があります。しかし、多くの欧州諸国は信託会社を認めていないため、不明確で危険な税制を生み出しています。
《解説と追記》
日本での可能性に関しては、この研究シリーズその1,2において、非営利型株式会社、合同会社、組合、信託について紹介しているのでご参照ください。
-続く-
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