「感情労働」とは『感情の抑制や鈍麻(どんま)、緊張、忍耐などを不可欠の職務要素とする労働』です。
「ホスピタリティ」や「おもてなし」と言えば、素晴らしい響きですが、こうしたサービスを提供する人たちは「感情労働者」、つまり、自分の意思や情動を意識的に自己抑制して、お客様絶対主義、つまり『お客さまは神様』的な労働や、組織社会の中で、「協調・付合い・チームワーク、連携」なども、要は、自己抑制を強いられる労働であり「感情労働」と言えるものです。
体力を使って対価を得る「肉体労働」や、アイデアや創造性などを提供する「頭脳労働」にかかわらず、つねに自分自身の感情をコントロールし、相手に合わせた言葉や態度で応対することが「感情労働」です。
人間社会で働く人々は、程度の差はあれ皆が「感情労働者」ですが、特に、女性中心の職種である旅客機のキャビン・アテンダントや、コールセンターのオペレーター、レセプショ二スト、アパレル販売、......等の仕事は、典型的な「感情労働」です。
組織社会では「感情労働」は当たり前の事であり、我慢して働く「忍耐力」や「自己管理力」こそ、社会人としてのコンピテンシーのひとつとして評価項目に置かれているのが実情です。
組織側の過度な合理性により、感情性との相補性が無視され、合理的存在ではない「感情」は、組織社会における労務提供やシステムのあり方として、考慮の対象から除外されてきた歴史があります。
組織社会では、「感情労働」が価値を産むものではなく、役務価値や成果と見做されるものに対してのみ合理的対価として報酬が支払われています。
今の世の中、人 vs 人を中心とした職場における「感情管理」が強く求められているのにも関わらず、従業員と使用者間の労働契約においては、こうした事実が十分に認識されず「感情労働」は労務提供の対価としての報酬、/賃金には正当に反映されることがないだけでなく、労働環境の悪化(メンタルの主因子は感情からくるものです....) に対しても、迅速に対応する事が出来ない要因となっているのではないでしようか。
私は、「感情労働」には価値を生み出す力がある創造的な労働であり、感情価値を正当に認識する事こそが、これからの「幸福・ウェル・ビーング経営」に重要な要素であると思っています。
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