祝! ブログ開設一周年!
…などという楽屋ネタはやりたくないのですが、ブログ開設当初はもっと科学関係の記事も書きたかったのに、現在までほとんどありません。初心に戻って書いてみましょうか。
先日の記事で奇石博物館に言ったと書きましたが、そこでテレビ石というものを買ってきました。この名前は通称で、正式名称はウレキサイトといいます。組成はNaCaB5O6・5H2Oであり、ホウ素を含んだ珍しい鉱物です。
私が買ったのは高さ2cm程度の小さなものですが、実はこの石は街の鉱物ショップなら大抵のところで売っている定番のお土産なのでした。
この石のどこが面白いかと言うと、石の下側の絵が上側に映って見えるという性質があるのです。
なぜこのように見えるかというと、細長い結晶が並んで光ファイバーのようになっているからと説明されています。底面からの光は細長い結晶の側面で反射を繰り返して上面まで到達するということです。現在、光通信によって多く用いられている光ファイバーですが、同様のものは自然によってすでに作られていたとは驚くべきことです。
ちなみに、ホウ素を含む珍しい鉱物と上では書きましたが、ホウ素自体がこの宇宙で比較的珍しい元素なのです。それがなぜ地表でまとまって採れるのでしょうか。地球を岩石の塊と考えると、その成分は主に酸素、ケイ素、マグネシウム、鉄であり、これらの元素(イオン)が秩序を持って並んでいるとイメージできます。ところが珍しい元素があると元素の並びの秩序が崩れてしまい、構造が弱くなってしまいます。したがって珍しい元素の周辺はちょっとした圧力の低下などがあると融けてマグマになりやすいのです。地球内部でこういうプロセスを繰り返していると、地表にマグマが出てきた時には、珍しい元素が濃縮されているということになるのです。非常に簡単な説明ですが。
宇宙では恒星内部の核融合反応によって常に元素が消費・生成しています。宇宙の90%は水素、9%はヘリウム、その他の元素は全てひっくるめても1%程度です。基本的に軽い元素ほど存在量が多いのですが、ホウ素は5番目に軽い元素なのにとても存在度が低いのです。この理由は核融合反応でホウ素が生成する反応の種類が少ないためであり、より重い炭素や酸素の方が反応のキリがいいため存在度が高くなっています。何百億年か経って宇宙の元素の反応が進むと、ホウ素はさらに少なくなってしまうのかもしれません。
こんなふうに一個の土産物の石から地球や宇宙にまで想いを馳せることができるなんて、我ながら何と安上がりな趣味なのかと感心してしまいます。テレビ石はそこらへんの店で数百円で売っているので、見かけたらぜひ手に取ってみてください。
…などという楽屋ネタはやりたくないのですが、ブログ開設当初はもっと科学関係の記事も書きたかったのに、現在までほとんどありません。初心に戻って書いてみましょうか。
先日の記事で奇石博物館に言ったと書きましたが、そこでテレビ石というものを買ってきました。この名前は通称で、正式名称はウレキサイトといいます。組成はNaCaB5O6・5H2Oであり、ホウ素を含んだ珍しい鉱物です。
私が買ったのは高さ2cm程度の小さなものですが、実はこの石は街の鉱物ショップなら大抵のところで売っている定番のお土産なのでした。
この石のどこが面白いかと言うと、石の下側の絵が上側に映って見えるという性質があるのです。
なぜこのように見えるかというと、細長い結晶が並んで光ファイバーのようになっているからと説明されています。底面からの光は細長い結晶の側面で反射を繰り返して上面まで到達するということです。現在、光通信によって多く用いられている光ファイバーですが、同様のものは自然によってすでに作られていたとは驚くべきことです。
ちなみに、ホウ素を含む珍しい鉱物と上では書きましたが、ホウ素自体がこの宇宙で比較的珍しい元素なのです。それがなぜ地表でまとまって採れるのでしょうか。地球を岩石の塊と考えると、その成分は主に酸素、ケイ素、マグネシウム、鉄であり、これらの元素(イオン)が秩序を持って並んでいるとイメージできます。ところが珍しい元素があると元素の並びの秩序が崩れてしまい、構造が弱くなってしまいます。したがって珍しい元素の周辺はちょっとした圧力の低下などがあると融けてマグマになりやすいのです。地球内部でこういうプロセスを繰り返していると、地表にマグマが出てきた時には、珍しい元素が濃縮されているということになるのです。非常に簡単な説明ですが。
宇宙では恒星内部の核融合反応によって常に元素が消費・生成しています。宇宙の90%は水素、9%はヘリウム、その他の元素は全てひっくるめても1%程度です。基本的に軽い元素ほど存在量が多いのですが、ホウ素は5番目に軽い元素なのにとても存在度が低いのです。この理由は核融合反応でホウ素が生成する反応の種類が少ないためであり、より重い炭素や酸素の方が反応のキリがいいため存在度が高くなっています。何百億年か経って宇宙の元素の反応が進むと、ホウ素はさらに少なくなってしまうのかもしれません。
こんなふうに一個の土産物の石から地球や宇宙にまで想いを馳せることができるなんて、我ながら何と安上がりな趣味なのかと感心してしまいます。テレビ石はそこらへんの店で数百円で売っているので、見かけたらぜひ手に取ってみてください。
テレビ石とは名称も面白いですね。私は根っからの文系なので、原理的な部分はさっぱりなのですが、目で見える現象はとりあえず楽しめますので、光ファイバーと同様の現象は面白いですし、興味深いですね。
今後も読み応えのある更新を楽しみにしています。2周年をひとまずの目標に、頑張って下さい。
テレビ石はとにかく特徴がわかりやすくて、その存在を知った時から欲しくてしょうがなかった石でした。結局はかなり安価に流通したのですが…。大阪には取り扱っている店も多いと思うので、どこかで目にした時にこの記事を思い出していただけると光栄です。
「テレビ石」という物については、随分昔に、微かに名前だけは聞いた事があった様な気もします。学研の「○年の科学」だったか、何かの学習漫画だったか…。そう言えば鉄鉱石だとか小さい水晶だとかが、付録に付いていた事もあった様に思います。何となく、小さな宝物を手に入れた様で嬉しい気持ちになりますよね。
ともあれ、一周年おめでとうございます。これからも楽しみにしております。
テレビ石はそこまでメジャーでしたか。現象としてもわかりやすく、科学に対して興味を抱かせるにはいい教材なのかもしれません。雑誌の付録だったとしても、透き通った鉱物などはプライスレスな価値を感じますね。この小さなテレビ石も私の富士登山の記憶の一部になっております。