ひばりヒットコミックス「まだらの卵」に収録されている短編から「ともだち」「おかしな宿」を紹介。
「ともだち」は前回紹介した「がま」と双子のような作品。家が隣どうしのマコとサチッペは幼い頃から仲がよく、いつでも一緒にいるという、うらやましいほどのリア充。ところが…。
このあたりの展開はなかなか昭和のホラー漫画っぽくてよいですね。サチッペも美少女だし。そしてその後、顔のできものはどんどん酷くなり、自分の顔に悲観したサチッペはマコに「他に友達作ってもいいのよ」と言いますが、マコは「たとえどんな顔になっても今までの友情は絶対に変らない!!」と言い切ります。
けれどもまもなく、サチッペは亡くなってしまいます。マコは寂しがりますが、その夜…。
亡くなったはずのサチッペが枕元に現れます。この日からサチッペの影が常につきまとうようになり、マコは日に日にやつれていきます。そんなある日、悪魔祓いの老婆がやってきてサチッペの霊を浄化しようとするのですが……。
結末は「がま」と同様なものです。一方、「がま」で兄の体にイボができ始めたのはがまの怨みが原因ですが、このサチッペの顔のできものが現れたのはマコと永遠に一緒にいたいというサチッペ本人の願いがその理由なのかもしれません。このようにこれら二作はお互いが鏡像のような関係になっているようです。
もう一つの「おかしな宿」はもともと「狂気の宿」というタイトルだったようで、コミックスのロゴを見てみると妙に不自然な修正の跡があります。原題の方が正しく内容を表してはいるのですが、「おかしな宿」と言われるとちょっと変な宿という程度を想像してしまうので、むしろ内容のショッキングさが増大するような気がします。
都会に住む4人家族は山奥の民宿へ羽根を伸ばしにいくことになり、電車を乗り継ぎ、山道を歩いて民宿「深山荘」に到着。番頭のおじいさんに客室へ通されます。
テーブル、座布団、湯のみ、灰皿などがいかにも民宿という感じでいい雰囲気ですが、おじいさんが最後に見せた目付きがヤバすぎです…。
子供たち二人は宿の家畜小屋に入ってみると、たったいま捌かれたばかりのニワトリやブタが吊るされています。気味悪く思っている二人に、肉を捌いた男が話しかけてきます。その手には生きているニワトリが掴まれていますが、脈絡もなく男はニワトリの首をちぎってしまいます。あまりの不気味さに子供たちはその場を離れるしかありません。
そしてお母さんは温泉に入っている間に斧を持った番頭に襲われ、お父さんはマムシがいる落とし穴に落下。部屋に戻った子供たちのところに宿に住む男の子がやってきますが、なぜか首をちぎられたニワトリを持っています。そうこうしているうちに、二人は捕えられてしまいます。
この宿の一家の異様に高いテンションと喜びようが悪夢です。理由も目的もわかりません。徹底的に不条理な恐怖です。一家がおそろいの服(作業着?)を着ているのもカルトっぽさを醸し出しています。この姉弟の運命は言うまでもありませんが、今後も犠牲者は増え続けることになるのでしょうか…。
「狂気」という言葉の差別的なニュアンスでタイトル変更があったのかも知れません。けれどもあまりにそのままの「狂気の宿」よりは、「おかしな宿」とソフトに提示しておきながら展開は最悪という方がインパクトがあっていいような気がします。
「まだらの卵」に収録されている作品はいずれも救いがなく、恐怖が連鎖し拡散していくようなものばかりです。日野日出志作品の単行本の中でも最も絶望的な一冊かもしれません。
日野日出志作品紹介のインデックス
「ともだち」は前回紹介した「がま」と双子のような作品。家が隣どうしのマコとサチッペは幼い頃から仲がよく、いつでも一緒にいるという、うらやましいほどのリア充。ところが…。
このあたりの展開はなかなか昭和のホラー漫画っぽくてよいですね。サチッペも美少女だし。そしてその後、顔のできものはどんどん酷くなり、自分の顔に悲観したサチッペはマコに「他に友達作ってもいいのよ」と言いますが、マコは「たとえどんな顔になっても今までの友情は絶対に変らない!!」と言い切ります。
けれどもまもなく、サチッペは亡くなってしまいます。マコは寂しがりますが、その夜…。
亡くなったはずのサチッペが枕元に現れます。この日からサチッペの影が常につきまとうようになり、マコは日に日にやつれていきます。そんなある日、悪魔祓いの老婆がやってきてサチッペの霊を浄化しようとするのですが……。
結末は「がま」と同様なものです。一方、「がま」で兄の体にイボができ始めたのはがまの怨みが原因ですが、このサチッペの顔のできものが現れたのはマコと永遠に一緒にいたいというサチッペ本人の願いがその理由なのかもしれません。このようにこれら二作はお互いが鏡像のような関係になっているようです。
もう一つの「おかしな宿」はもともと「狂気の宿」というタイトルだったようで、コミックスのロゴを見てみると妙に不自然な修正の跡があります。原題の方が正しく内容を表してはいるのですが、「おかしな宿」と言われるとちょっと変な宿という程度を想像してしまうので、むしろ内容のショッキングさが増大するような気がします。
都会に住む4人家族は山奥の民宿へ羽根を伸ばしにいくことになり、電車を乗り継ぎ、山道を歩いて民宿「深山荘」に到着。番頭のおじいさんに客室へ通されます。
テーブル、座布団、湯のみ、灰皿などがいかにも民宿という感じでいい雰囲気ですが、おじいさんが最後に見せた目付きがヤバすぎです…。
子供たち二人は宿の家畜小屋に入ってみると、たったいま捌かれたばかりのニワトリやブタが吊るされています。気味悪く思っている二人に、肉を捌いた男が話しかけてきます。その手には生きているニワトリが掴まれていますが、脈絡もなく男はニワトリの首をちぎってしまいます。あまりの不気味さに子供たちはその場を離れるしかありません。
そしてお母さんは温泉に入っている間に斧を持った番頭に襲われ、お父さんはマムシがいる落とし穴に落下。部屋に戻った子供たちのところに宿に住む男の子がやってきますが、なぜか首をちぎられたニワトリを持っています。そうこうしているうちに、二人は捕えられてしまいます。
この宿の一家の異様に高いテンションと喜びようが悪夢です。理由も目的もわかりません。徹底的に不条理な恐怖です。一家がおそろいの服(作業着?)を着ているのもカルトっぽさを醸し出しています。この姉弟の運命は言うまでもありませんが、今後も犠牲者は増え続けることになるのでしょうか…。
「狂気」という言葉の差別的なニュアンスでタイトル変更があったのかも知れません。けれどもあまりにそのままの「狂気の宿」よりは、「おかしな宿」とソフトに提示しておきながら展開は最悪という方がインパクトがあっていいような気がします。
「まだらの卵」に収録されている作品はいずれも救いがなく、恐怖が連鎖し拡散していくようなものばかりです。日野日出志作品の単行本の中でも最も絶望的な一冊かもしれません。
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