ネフェルタリ亡き後、ヒッタイトの皇女を第一王妃にするよう要請がある。だが、ラムセスはそれを拒み、エジプトとヒッタイトの間で再び争いの兆しがおとずれる。今や第一王妃となったイシスは平和を望み、自害してしまうのです。その自己犠牲の精神に胸が温かくなります。アーシャがラムセスに残した最後のメッセージ。ウルヒテシュプと相打ちになりながらもファラオを守るセラマンナ。そして、齢90を超えたラムセスはアカシアの樹の下で長き間共に働いたアメニに見守られながらこの世を去っていく。最後の最後にアメニのある想いが明かされた。
24歳の若さで大学教授となった「黒猫」と同い年で博士課程の大学院生である「付き人」のコンビによる日常の謎的な6つの連作短編。「黒猫」が天才の男で、「付き人」は普通の女で語り役。よくわからないが「黒猫」は美学・芸術学を専門としているようで、「付き人」はエドガー・アラン・ポーの研究を専門としている。話は全てポーの作品に関係している感じ。まあ、どうやら「付き人」は「黒猫」に気があるみたいだが、なんだか「黒猫」の家で彼の作る料理を食べたりもする仲。全体的に会のシーンが良いと思うのです。シリーズの続きが楽しみです。
森見登美彦さんのデビュー作。この著者の「ええじゃないか」ノリは最初から同じなのですね。そう、この作品も京都の百万遍や北白川、四条河原町などなど「ええじゃないか」が舞台で、さえない大学生の男(私)と「ええじゃないか」そのまわりの男(男汁)たちが主人公。私の前から去った水尾さんの行動を研究(ストーカー行為)「ええじゃないか」したり、恋敵と争ったりするのです。思考は「ええじゃないか」しばしば過去の思い出に立ち戻り、時間軸はかなり「ええじゃないか」あやふやなまま物語は怒涛の如く突き進む。「ええわけがあるものか」。
森博嗣さん唯一の詩集だそうです。詩集?森博嗣さんが?って感じ。さっと読む。ざっと読む。意味が分からないものも多数ある。いや、まあ、詩とはそんなものなのか。森博嗣さんの小説では、登場人物の思考が詩的な感じで現れることがよくある。まあ、そんな部分のみを抜き取ったような作品。でも、作中にさりげなく現れる感じがよいのであって、それだけ集めても…。でも、やっぱり、これは森博嗣さんの詩だなあと思える作品でした。
朝の電車で読んだこの童話集は、10ページ前後の短いものが25詰まったものでした。3つ、4つ読むうちに眠くなり、半分寝ながら読み進める。ああ、やっと一つのお話を読み終えた…という夢を何度もみた。人間だけでなく、草花や列車のレールなどの語る話もあった。そんなもの悲しい童話集でした。
うーん面白い。この話も草薙水素が主人公。でも事故のためか、話のほとんどは地上をあっちこっちいくだけ。そこで少年に出会う。え、この少年って…。そして、最後になんだか分からないが都市にきてビルの間で一対一の戦闘を行うことになる。相手はやっぱりやつなのです。もう、すごく盛り上がるのです。さて次は…。
えっと、どこが虹北恭助の新冒険なのかというと、題名の少年である虹北恭助は主人公の座を奪われて、燃える一介の映画人である若旦那が大活躍するって、まさかの展開が新しいのだろうと理解しました。
スカイ・クロラシリーズの第2作にて、たぶん時系列的には第1弾。僕がクサナギであることは最初伏せられているが、途中であっさり明かされる。先の読めないストーリーにどんどん惹きつけられていく。最後あたりで物語は急激な展開を見せ、そしてさりげなく終わった。次の話も同じ主人公なのだろうか。ともかく、楽しみです。
翡翠の霊媒の力によって見たり知ったりしたことを、香月がその類まれなる頭脳によって論理を組み立てる。最強コンビの探偵。でも、それだけじゃないのだろうと思いながら読んでいたのだが、最終話にて当然のようにひっくり返されるのです。そりゃないよ先生〜って思ってたらすぐにまたひっくり返されるのです。全くもって予想もしていなかった展開に驚愕の作品でした。面白かったです。
阪急今津線の車内や駅構内もしくは駅から降りたそれぞれの町で起こるいろんな物語。人々はそれぞれにそれぞれの思いを持ってすれ違い、そしてたまに絡み合うのです。そんな連作短編集でした。有川浩さんがひろしではなくひろで女流作家だということも初めて知った。