4回目にご紹介するのは、昨年の新刊の日本の小説2冊です。
楽しそうな要素てんこ盛りだったり、時代や国家について
考えさせられたり。
『雪の階』 奥泉 光 中央公論新社
戦前の昭和、友人の心中事件の謎を追う令嬢と
実働役の元「お相手役」の女性カメラマン。
謎のドイツ人ピアニスト、革命を目指す若い士官、
昭和十一年二月二十六日、銀世界の朝。
とくると、北村薫の「ベッキーさん」シリーズを思わせますが
そこは奥泉光。
令嬢は妖艶な美女なのに趣味は数学と囲碁、
幼馴染の女性カメラマンはやたらと食いしん坊、
『雪の階』の意味がわかるシーンはBL、と趣向盛りだくさん。
複雑に謎が絡み合っている割にはすっきりと読めました。
『宝島』 真藤順丈 講談社
敗戦の混乱期から1970年のコザ騒動をはさんで
72年の本土復帰までの沖縄現代史をタテ糸に、
戦後の沖縄を疾走した3人の青春をヨコ糸に、
沖縄に生きる人々の、怒り、悲しみ、痛み、苦しみ、悔しさといった
ありとあらゆる感情のチャンプルーを描ききった傑作。
時代に、国家に、政治に翻弄されてもなお、
ナンクルナイサーと前を向くウチナンチュウのたくましさよ!
第160回直木賞受賞!
そして、2月のおもしろ本棚課題本です。
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