〈読書会〉おもしろ☆本棚

毎月都内で読書会を開いています。
お問い合わせは omohon.renraku@gmail.com まで

2009 これがおも本メンバーのベスト本だ!!

2009-12-13 21:26:50 | ・怒涛のベスト本

「わが手に拳銃を」 高村 薫 著
登場人物達の渇きと執着が心に響きました。荒削りな感じの小説ですけど、荒いことをどうでも良く感じました。改稿後の「李歐」は数年前に読みました。こちらもとても好きです。

「グラーグ57」 トム・ロブ・スミス 著 (新潮文庫上下)
「チャイルド44」の続編になりますが、テーマは復讐。復讐の鬼となった××の怖さ。家族の問題も興味深かった。

「海松(みる)」 稲葉真弓 著
私もこんな清々しい隠遁生活がしたい。

(1)「1Q84」 村上春樹 著
伝奇的手法を駆使した文明批評としてのリアルお伽噺という造りが買えた。
(2)「道誉と正成」 安部龍太郎 著
日本史の光と影である天皇制について、巧みな二人の人物造形を通して活写。
(3)「水神」 帚木蓬生 著
時代小説に欠落していた農民史観から時代相を描き、ダム問題の根底にあるものを引きずり出したところ。

「双調平家物語」全16巻のうち第1~7巻まで 橋本治 著
橋本治の古典文学へのスタンスが好きだから。文庫になるのを待っていました。「平家物語」と言いながら安録山の乱、大化の改新、道鏡、藤原摂関政治、と延々と続き、第7巻でようやく清盛登場という悠長さがいいなあ。
来年の合宿の課題本にしたいけれど6月では多分まだ最終巻はでていないでしょう。

「悪童日記」「ふたりの証拠」「第三の嘘」3部作 アゴタ・クリストフ 著
読み進むほどに深まる悲しみ、魂がちぎれるような物語

「この胸に深々と突き刺さる矢を抜け」 白石一文 著
「無理」(奥田英朗)と迷いました。「無理」の方が小説としての完成度は高いけど、こちらの方が刺激的でした。来年のベストは多分「1Q84」でしょう(Book3を読んでからにします)。

「私の庭」 花村萬月 著
長い物語を読む楽しさを久々に感じさせてくれたから。

「f植物園の巣穴」 梨木香歩 著
冒頭から異界をさまよう物語。混沌としたこの先に何があるのだろうと戸惑いながら読み進むうちに、これは、f植物園に勤める主人公の男性が、きわめて無情に過ごしてきた己の半生を振り返る心象風景なのだとわかってきます。
そこからが、どこまでも暗く、深い。生家で過ごした幼少期から今の時代が交錯する世界を行き来するうちに、彼はあるものを見出していく。そして・・・
梨木ファンの評価は分かれると思いますが、私はベストの作品だと思います。というか、女流作家の中でぐーんと他を押しのけ、梨木さまが先頭に立ってしまいました。後半、2度ほど涙がこぼれます。いい話です。

「さようなら、いままで魚をありがとう」 ダグラス・アダムス 著 (河出文庫)
ラスト近くに出てくる「神から創造物への最後のメッセージ」が、完全にふざけた内容ながらこの世の真理を言い当てていて最高です。無神論者の著者ならでは。

「巡礼」 橋本 治 著
どんな人にもドラマがあるということと、昭和を感じさせられた小説だったので。

「大聖堂 果てしなき世界」 ケン・フォレット 著 (ソフトバンク文庫 上中下巻)
十数年前の読んで激しくおもしろかった「大聖堂」の続編ということでわくわくしながら読みましたが、期待通りのエンターテインメント! 今年一番つらかった時期に読んでいたせいもあるかもしれませんが、ずっとずっとこの小説の世界に浸っていたい、現実に戻りたくないと思わせる力を持っていました。

「1Q84」 村上春樹 著
直球すぎ? でも私にはサイコーに面白かったのです。殺し屋の美女、失読症の美少女、謎めいた貴婦人とそのボディガード、 カルト教団・・・と村上春樹にしてはキャッチーな素材がてんこ盛りだなあとビックリしましたが、料理するのが村上さんだったら面白くないはずがないわけです。相変わらず食べ物と音楽の描写がそそりますね。1984年はこんなにオサレじゃなかっただろとつっこみそうになりますが、ファンタジーですのでオールOK! 早く続編が読みたいものです。

「のぼうの城」 和田竜 著 (小学館)
主人公や脇役の人物造形に優れており、ストーリーも卓越してます。メジャー石田三成に対してマイナー成田長親という筋立ても良かったです。映画化も予定されているということで、そちらも楽しみです。他に良かった作品は、「みのたけの春」と「出星前夜」かな。

「エ/ン/ジ/ン」 中島京子 著 (角川書店)
ルーツ探しが題材と言うと、ありきたりなストーリーを想像するかもしれないが、そこは中島京子、先の読めない展開と不思議な雰囲気に一気読みでした。エンジンって何?と気になったら是非、読んでみてね。

「やんごとなき読者」 アラン・ベネット 著
80歳になろうとするエリザベス女王が、ふとした事から、読書する楽しさを知る・・・・・。
実在する、イギリスの女王が主人公のフィクション。
エジンバラ公、ダイアナ妃や、多くの作家が出てくる。
ジュネを絶賛する女王のくだりが面白い。
イギリスでベストセラーになったというのだから、国民に開かれた王室なのですね。

「嵐が丘」 エミリー・ブロンテ 著
登場人物たちの性格の強さに圧倒されました。

「おいピータン①~⑪」 伊藤理佐 著 (講談社)
マンガですが。今年は伊藤理佐の本にハマりました。いろいろ読んだ中で一番おもしろかったのがこれ。大盛さん(またの名をピータン、ほんとの名前は大森さん=メタボ体型男性)を中心にいろんな人が出てきますが、食べ物を介して人の心や関係がとっても細やか(っつーか重箱の隅をつつく感じか?)に描かれていておもしろいです。しばらくたってまた読んでもおもしろいし、短いお話がいくつも積み重なっているのでどこから読んでも、どこでやめてもOK。就寝前にちょこっと読むのに重宝しています。

「志ん生一代」 結城昌治 著
読書量が少なく、ベストと言いたい本がないのですが。志ん生の破天荒さがわかって興味深かった。最後近く、本人もその周りも歳をとるのでしょうがないものの、次々にみんな死んでいくのでちょっと暗くなってしまったが。ただそのあとで志ん生の「びんぼう自慢」を読み始めたら、この内容を小説化しただけじゃん、と思いましたが。

「鴨川ホルモー」 万城目学 著
続編「ホルモー六景」とともに京都マニアの私にはたまらない。あり得ないのに妙に納得させられる、バカバカしくも遊び心たっぷりの設定や登場人物の名づけ、現代風でありながら少し郷愁を覚える大学生たちの姿、続編が楽しみです。

「獣の奏者」 上橋菜穂子 著
ファンタジーは普段あまり読まないのですが、これは面白かった。何より、闘うことに特化された動物「闘蛇」とその名の通り獣の王様「王獣」の造形が素晴らしく、「闘蛇」と「王獣」にまつわる秘密が明らかにされていくところもスリリングでした。

「事件」 大岡昇平 著 (新潮文庫)
昭和36年の設定で、時代が古いのですが、刑事裁判の経過に忠実にしたがって、物語が展開し、法廷での心理描写も丁寧で、本物の裁判を傍聴しているようなリアルさがありました。

「警官の紋章」「暴雪圏」「廃墟に乞う」 佐々木譲 著
佐々木譲みずからが一連の「北海道警察シリーズ」を主人公名から、①佐伯シリーズ=地方公務員小説、②川久保シリーズ=保安官小説、③仙道シリーズ=プライベート・アイ(私立探偵)小説、の3種に分類しています。ベスト本の3冊は、今年読んだそれぞれのシリーズの新作。最初の2作は長編小説ですが、緻密な構成、張りめぐらされた伏線、複数の登場人物、錯綜する事件――それらがもののみごとに収斂するラストまで一気に読ませます。また、連作短編集の3番目に収められたどの作品も、切れ味鋭い、短編小説の良き見本。佐々木譲は、確実にその第二期黄金時代を迎えています。

「新参者」 東野圭吾 著
日本橋が舞台の連作ミステリーで、暖かい雰囲気がとても良かったです。

「水源」 アイン・ランド 著
何にも似ていない究極のオリジナル!そして究極の人間讃歌でもあります。

「ミレニアム」 スティーグ・ラーソン 著
リスベットという登場人物に惹かれました。この作家はもう亡くなっていて、この三部作以外の作品が読めないのが残念です。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 11月の課題本 鏑木蓮『東京... | トップ | 2010年1月の課題本 『ポー短... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

・怒涛のベスト本」カテゴリの最新記事