人生をひらく東洋思想からの伝言

東洋思想の言葉やその精神を通じて、ともに学びながら人生や経営をひらいていけたら嬉しいです。

第48回 「三尺箸の譬え」(仏教)

2022年08月06日 | 日記

【人生をひらく東洋思想からの伝言】

第48回

「三尺箸(さんじゃくばし)の譬(たと)え」(仏教)


仏教では、「自分の収入に見合った等身大の生活をする」

「困っている人のためにお金を使う」ことによって「富の循環」が生れると考えています。


自分自身がどんな状況にあろうと、「先に他人に与える」「先に、他人の役に立つ」のが

仏教の教える富の方程式と言われています。

その教えの源泉にこんな説話(寓話)がありますのでご紹介させていただきます。


(参照:『華厳の思想』鎌田茂雄著 講談社学術文庫)


ある男が「地獄」を覗いてみると、罪人たちが食卓を囲んでいました。

食卓にはたくさん
の食事が並べられていましたが、

なぜか罪人たちはみな、ガリガリにやせていたのです。

不思議に思ってよく見ると、彼らは1メートル以上(3尺)もある長い箸を使っていました。

箸を必死に動かしますが、箸が長すぎて、ご馳走を口に入れることができせん。

やがて、
イライラして怒りだす者が出てきて、他人がつまんだ食べ物を横取りするなど、

醜い争い
がはじまったのです。


次に男は、極楽を覗いてみました。

すると、極楽に往生した人たちが、食卓に仲良く座っ
ていました。

極楽でも、地獄と同じように1メートル以上の長い箸を使っていたのですが、

箸の使い方が違いました。極楽の住人は、長い箸でご馳走をはさむと、

「どうぞ」と言
って、他人の口の中にご馳走を運んであげていました。

ご馳走を口にした住人は、「あり
がとうございました。今度はお返ししますよ。

あなたは、何がお好きですか?」と言って
、お返しをする。

極楽では、みんなが喜びあって、感謝しながら、楽しく食事が進んでい
たのです。

地獄では、「自分さえよければいい」と先を競い、争った。

しかし、極楽では「お先にど
うぞ」の気持ちで相手を思いやった。

だから、すべての人が食事を楽しむことができたの
です。

この寓話は、「先に与えるから相手からも与えられる」

「相手の幸せを優先するから、相
手からも大切にされる」という循環を象徴していると思います。

仏教はその本質を教えて
くれています。少しでも、そんな生き方に近づいていきたいものです。

自分自身の心に余裕がないと、ついついまずは自分からという選択をしてしまいがちですが、

そういうときこそ、この話を思い出して、先に与える事を実践していきたいと思いま
す。


参考文献
『苦しみの手放し方』大愚元勝著 ダイヤモンド社

 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 第47回 「時に六龍に乗り、も... | トップ | 第49回 「三法印(諸行無常・... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

日記」カテゴリの最新記事