【人生をひらく東洋思想からの伝言】
第62回
「失意泰然(しついたいぜん)」(六然訓)
これは、元々は中国明国末期の学者で、崔後渠(さいこうきょ)の箴言(しんげん)、
いわゆる戒めの言葉からで、昭和の政財界の精神的支柱として
多くのリーダーに影響を与えた 安岡正篤氏が多くの方々にこの言葉を引用して、
直筆の書を多く送ったとされる、六然訓(りくぜんくん)という言葉からの抜粋です。
自処超然(じしょちょうぜん) 自(みずか)ら処すること超然
【事に臨んで自分に関する問題には、物事に囚(とら)われない姿勢を持つこと】
処人藹然(しょじんあいぜん) 人に処すること藹然
【人と接する時には、相手を和やかにさせる】
有事斬然(ゆうじざんぜん) 有事の時には斬然
【何か問題がある時には、きびきびと勇断をもって対処すること】
無事澄然(ぶじちょうぜん) 無事の時には澄然
【何も問題がないときには、水のように澄んだ気持ちでいること】
得意澹然(とくいたんぜん) 得意の時には澹然
【得意の時には、あっさりと淡々としていること】
失意泰然(しついたいぜん) 失意の時には泰然
【失意の時には、逆にゆったりと構えて落ち着いていること】
このような在り方を日々意識していきたいものですね。
特に、今は世の中全体が、大転換期で、混沌とした時期なので、
これらすべてが同時に求められるかもしれません。
特に これから数年は、何があってもおかしくないくらい、
今までの価値観や常識に囚われない感覚がとても大事かと感じています。
だから、そんな時こそ ゆったりと構えながら落ち着いていることも大事でしょうし、
同時に有事でもあるので、きびきびした対応をもって勇断していかないといけない場面も
必要になってくるかと思います。
そんな時だからこそ、お互いに支え合いながら、それぞれで創意工夫をして、
一緒に この難局を乗り越えていきましょう。
参考文献
『百朝集』安岡正篤著 致知出版社
『安岡正篤 人生を拓(ひら)く』神渡良平著 講談社+α新書