【人生をひらく東洋思想からの伝言】
第52回
「杞憂(きゆう)」(列子)
むかし、杞という国のある男が、今に天と地がくずれてきたら
どうしようかと、心配で夜もおちおち眠れなかった。
見かねたある男が、
「天は気が積もって出来ているのだから、そんな心配はないさ」
となだめたが、それでも心配でならなかった。
「でも、日や月や星が落ちてこないかね」
「いや、日や月や星もみな気で出来ている。
たとえ落ちてきてもぶつかっても、けがなどするわけないよ」
そう言われ、男は初めて安堵の胸をなでおろしたという話がある。
この話から、「杞憂(きゆう)」という言葉が生まれたそうです。
現代も、ある意味では状況は変わっておらず、
このように ほとんどが 取り越し苦労や
消極的な気持ちから生まれる心配事がほとんどだとも言われる。
ある、宗教者の方が言うには、
「ものごとの8割、9割は取り越し苦労だ」という説もあるくらいです。
特に我々日本人は、妄想が強い民族だとも言われているので、
何か騒ぎがあると、勝手に妄想が先走り、
いろんなものを買い込んだり、疑心暗鬼になりがちである。
まずは、その気持ちや状況を受け入れて、そこから事実をしっかり確認して、
状況に対応していくくらいの気持ちの余裕を持ちたいものですね。
参考文献
『中国古典一日一言』 守屋洋 PHP研究所
中秋の名月