まだ大阪公演を残しているのに早いような気もしますが、一応プリンのWキャストは一通り見てたので総括的な感想をまとめて書きたいと思います。
あ、その前に。そろそろ公式で詳細が載るころかもしれませんが、今回の公演のライブ版CDが出るそうです。2枚組みで、ロミジュリの組み合わせは城田&フランク、山崎&昆だそうです。できればDVDも欲しいところですが、CDだけでも出るのは楽しみです。
さて、本題に入りたいと思います。開幕前はタイトルロールであるジュリエットの発表前にチケット発売が開始されるわ、発表されたらされたで本当に二人とも新人だわ、あげくに劇中に携帯だのFacebookだのでてくるらしいだの、不安要素山盛りでしたが、ふたを開けてみれば二人のジュリエットは予想以上に聞かせてくれましたし、またフレッシュな可憐さも初々しさもジュリエットにふさわしいものでした。歌唱力については昆さんを押す声をよく聞きますが、確かに上手いものの、早くも自分のスタイルが固まりつつあるように見えるので、個人的にはフランクさんの方に延び幅も期待したいと思います。
そして二人のロミオですが、これはそれぞれの得意分野を生かした全く別の役作りをしているように感じました。言うまでもなく山崎さんは日本ミュージカル界のホープですので、歌唱力には問題はなく、安心して聞かせてくれました。一方の城田さんは癖のない歌唱ながらも、やや不安定な部分がありました。ただ、ミュージカルといえども演技もまた重要なわけで、演じるという部分では山崎さんの感情表現、ことにジュリエットへの情熱はいささか薄くてロミオとしての役上のアイデンティティは弱く感じました。逆に城田さんはもう一歩過ぎるとtoo machになりかねないほど溢れるほどのジュリエット愛が演技から伝わってきたように思います。要は一長一短かなというのが私の見解です。後は完全に好みで分かれるでしょう。あくまで歌唱力命の観客なら山崎ロミオを好むでしょうし、演技も重視したい観客なら、城田ロミオを好ましく思うだろうと推測しています。
それからいろんなところで同様の意見を聞きましたが、ロミオとジュリエットの組み合わせバランスについてはCDと同じ組あわせで固定が良かったのではないかと私も思っています。城田&昆の組み合わせで2回ほど見ましたが、身長差がありすぎるので常に城田ロミオが猫背になりがちで、また見た目のバランスも良くなかったです。まるで大人と小学生のように見えて、背徳感すら漂いかねない(家同士が云々ではなく、倫理的な面で)雰囲気でした。むろんこれはキャストのせいではないので、キャスティングを考えたスタッフや演出の小池さんに物申したいところです。
同日同公演を見る前に話した友人も言っていましたが、思いの外演出などの不満を我慢してでもそのうち慣れてしまって、気がつくと何度も通いたくなるいい舞台になっていったのは嬉しい誤算でした。特に若手キャストの成長振りが目覚しく、それも楽しく拝見しました。
来年にはフランスオリジナル版で上演が決定しているとのこと。今度はオリジナルのよさをこれでもかと見せ付けるような舞台を期待しています。