パエ-リャ

木製カトラリ-

乾燥したパンと乾燥してない餅

2015-01-03 09:40:14 | Weblog
両者とも出来立てはそのまま美味しく食べられるが、時間の経過とともに明暗を分ける。餅は現在では基本的に個別包装されているので極端に乾燥してしまう事は少ない。でも、パンの乾燥は極端だ。だから、ここでは手間を掛けないで餅とパンに付き合う方法を考察したい。

まず、餅から入ろう。普通、餅は食べる前に焼網に乗せて焼いたり、ト-スタ-等で加熱処理するが、いずれも熱源からの放射熱を使う。雑煮等の熱水処理はここでは考察の対象にしない。勿論、パンの熱水処理も有り得るが、それは別途考察する必要があると思う。ここでは、餅は餅の、パンはパンの元々の形状で食べる事を前提にしている。

で、餅と言うものは、その形成の過程で内部に自由水が極めて均質に分布している。パンも形成初期は同様だが、途中で多孔質のスポンジ状の物体に化けてしまう。結果として当初の極めて均質な自由水の分布は破壊されて(空洞部分には自由水が存在しない)、しかも乾燥すると自由水そのものが空気中に拡散してパンの分子構造だけが固定されたまま残る。

なので、乾燥したパンをト-スタ-で加熱すると、投射された熱エネルギ-がパン内部全体に瞬時に回る事なく、温度勾配を素早く解消出来ないので、表面だけが焦げてしまう。然も、内部の乾燥は更に進むのでとても食べられたものではない。それに比べると餅はパンより処理に手間がかからない。

何故かと言うと、電子レンジを使えるからだ。最近は電子レンジ用の餅焼き?台を100円ショップで売っているので、それを使えば数十秒で出来立て同然の餅が食べられる。

そもそも、物が温かいとか熱いとかは、その物を構成する分子が激しく振動している状態を表すのだが、電子レンジはマイクロ波という特定の波長の電波を庫内に照射して、水の分子に直接エネルギーを与え、分子を振動させて温度を上げている。ここで動画を見て欲しい。




これは餅の分子構造に相当するもので、一つ一つの球が餅の分子、あるいは餅の分子内部の水の分子だと思えば良い。餅は最初に臼の中で激しく叩かれるので、分子は偏った配置にはならずに、この動画のように規則正しく並んでいる。そのため、電子レンジにかけると餅の全ての部分が一斉に振動し始める。

つまり、内部だろうと表面だろうと、一斉に同じ振れ幅の振動を起こしてしまう。温度勾配がないのだ。だから、餅を電子レンジで温めると、どこか特定の部分だけでなく、餅全体が温まってしまう。

ト-スタ-で使われるニクロム線などの発熱体は発生する赤外線で主に物質の表面を加熱するだけなので、どうしても温度勾配が出来てしまう(内部まで加熱されるのは熱伝導によるものだ)。そのために表面は焦げ付いていても、内部は生焼けになる場合がある。

ここまで記述して来て、結論が出てしまった。パンは冷凍すればそれで問題は恐らく解決するだろう。未だ試した訳ではないが。パンが乾燥しないうちに冷凍すれば水の分子がほぼ均等に行き渡っている訳だから、その構造は保たれるからだ。

それを電子レンジにかければ内部全体が同時に暖められる。これを思いつく前は霧吹きでパンの表面だけに水を吹きかけるのは温度勾配の問題があるし、注射器で内部に均等に沢山の小さな水溜まりを作るのも手間だし、とか思っていたので、市販のスチ-マ-でパン全体を処理する事を本気で考えて、実際にスチ-マ-を買ってしまった。無駄な事をしてしまった。

でも、同時に思いついたことがある。パンでなくて氷だったらどうなるか、これは後で動画を作成してアップするだろうが、氷内部の水の配置も均等になっている。水と氷の違いは水分子の振動がより大きい方が水であって、小さくなれば氷になるだけの話だ。

なので、氷を電子レンジにかければスタ-ト時の氷の温度がマイナス10度だとすると、時間の経過に連れてマイナス9度、マイナス8度と言う様に温度が上昇し始めても、依然して見かけは氷のままだが、0度の氷になった直後に0度の水になって、氷の形が崩れて瞬間的に無くなってしまうだろう。

いわゆる、物理的な相変化だが、にわかには信じがたい結論だ。近々にも実験して動画を撮ってアップする積もりだ。