パエ-リャ

木製カトラリ-

織り機主要部品 丸棒の加工

2015-01-25 10:19:07 | Weblog
巻き取り用ロ-ラ-の回転中心軸の加工

使用ロ-ラ-は市販の丸棒、外径40mm、仔細に見てもムクの広葉樹が使われているが樹種は不明。ラミンの集成材は使わない。コストの問題と、集成材ゆえに硬度にむらがあり、2mmのドリルの刃が曲がることが多いため。

さて、

ロ-ラ-はタ-ビンの軸などのように高速回転はしないので中心軸が正確に中心に開けられている必要はないが、それでも可能な限り中心にある方が絶対に望ましい。中心が偏っていると簡単に片摩耗するからだ。勿論、摩耗に耐えるために軸受けとして軟鉄のワッシャ-を取り付けるが、それが中心軸の位置決定にも役立つことを以下に画像を使って説明する。それ程重要な加工だからだ。

そして、

市販の丸棒の中心を求める事は非常に難しい。と言うのは、その様な中心は、そもそも存在しないからだ。一言で言えば、断面が真円ではない。で、どうするかと言うと、中心に出来るだけ近いと思われる場所を特定して、その位置にドリルで穴を開ける事しか出来ない。

40mmの丸棒の場合、ジグとして20mmの平行定規を使えば理論的には真円の中心は簡単に求められる。画像はその方法を示している。45度定規の一部が20mm巾になっているので、それを実際に使ってみると、描画された中心の位置に軽く2mm程度のばらつきが出てしまう。目で見ても、明らかに中心に非常に近いと思われる場所からは外れている事がすぐ判るほどだ。

では、どうするかと言うと、

本来摩耗防止用の軸受けとしてのワッシャ-を使う。それを、まず目測で同心円状に配置して、更に目測でワッシャ-の中心に限りなく近いと思われる箇所に鉛筆で印を付けおいて、その位置にドリルで穴を開ける。

でも、それも簡単ではない。

丸棒の長さに沿って平行に、例えば3,4cmの深さの穴を掘るのは至難の技だ。旋盤を使う事も出来るが、色々と面倒な事が多い。通常、物に穴を開けるのはドリル盤を使う。次の画像が典型的なドリル盤を示している。この画像を見れば判るが、通常は高さが10cmから15cm程度の材に穴を開けるものだ。長さが350mmもある長尺ものに穴を開けるようには出来ていない。

なので、自作したものが次の画像に見える。これで一応の穴あけ加工は出来る。でも、その時に1mm程度のズレが既に出てしまう。なので、軸径の6mmに対して6.5mmのドリルである程度の誤差をカバ-しているが、それでも不十分だ。

そして、取り付けのためにワッシャ-を再度目測で同心円状に配置して、実際にネジで留めると更に誤差が拡大してしまう。この時点では全てを手持ちで行っているからだ。どんなに慎重にワッシャ-を取り付けても最大で2mm程度の誤差は出てしまう。元々、真円でない物に同心円を求めるのが無理だからだ。

次の画像が結果を示している。ワッシャ-の内径部分にはみ出して見える丸棒の一部が目測での中心を邪魔している。

これを取り除かないと理想に近い軸穴は形成できない。補正のためには、ドリルで再度ワッシャ-の中心に穴を開ける訳だが、既にワッシャ-が取り付けられているので、手持ちのドリルで簡単に補正が出来る。

幸いに丸棒の中心位置の誤差は簡単な補正でも済むが、それにしても丸棒に軸穴を加工するだけでも時間がかかるものだ。織り機を作るのも簡単ではない事を示す良い例だ。