パエ-リャ

木製カトラリ-

縦糸の張り方 - part 1

2015-01-05 23:19:25 | Weblog
違いを明確に、用語説明も画像も必要

織り機の普及に必要なのは昔ながらの伝統的なやり方や用語ではなく、誰にでも簡単に縦糸を張ることが出来るような工夫だ。以下は、そのための私の最初の試み。これで目的はある程度達成できるが、これでも不十分なので、織り機本体に更に革命的な工夫を施す事で、更なる改良を目指す。既にアイデアは存在するので実験で細かな改良点を洗い出して一週間以内の投稿を目指す。

縦糸の張り方


用語の説明

糸巻ロ-ラ-:羽根板支持台に近い方のロ-ラ-
布巻ロ-ラ-:羽根板支持台から遠い方のロ-ラ-
羽根板:白いプラスチックの大きな板
羽根板支持台:本体に垂直に固定されている。ペグに羽根板を乗せて使う

ストッパ-:2種類ある。本体に固定された自動ストッパ-と、縦糸の装着時だけに使う取り外し式の金属の手動ストッパ-、普段は本体上部に格納されているが、使用時には本体外側の小さな穴に刺して巻き棒の回転を止める。巻き棒の穴の位置には印がつけられている。

必要に応じて使い分けるが、自動ストッパ-も簡単に解除できる。

仮押さえゴム:ロ-ラ-に取り付けられてあるゴムひも
糸結び棒:ロ-ラ-に細ひもで取り付けられている縦糸の端を結びつける棒

張り方の実際

まず基準の長さをタコ糸などで作る。その長さに揃えた縦糸は直ぐにそのまま一本毎に織り機に掛ける。数十本もの縦糸を後で一度にまとめて織り機に掛けようとすると、糸の絡みを直すだけで大変な時間の無駄になる。最初は織り機の布巻ロ-ラ-が手前に来るようにして、羽根板は輪ゴム等で中間位置に固定する

最初は奥側の糸巻ロ-ラ-(ストッパ-は手動も自動も解除しておく)の上に縦糸を大雑把に乗せて(仮押さえゴムは使わない)プラスチックの羽根板を通した手前の糸端部分だけを布巻ロ-ラ-の仮押さえゴムの下に挟んでいく。4本挟み終わったら直ぐに糸結び棒に結んでしまう。

そのためには:

「手前に飛び出した4本のうちの最長の糸の端に合わせて残りの3本の端を揃える。そして、奥に向かって全体を軽くしごいて出来るだけ張力を揃えて、奥側の巻き棒の上に乗せておく。そして手前側では、4本の房を2本ずつに分けて、それぞれ糸結び棒の上から手前に向かって糸の端を掛けて、下から奥に向かって糸端を引き出し、2本と2本を縦糸の上側で結んでしまう」

この最初の4本の一房の右側と左側に、同じようにして、次の一房分ずつ(4本=2本+2本)を結び終わったら(この時点で12本が結ばれている)、手前側の手動ストッパ-を掛けて織り機を反転させる。そして、今度は元々は奥側にあった糸の端を結び棒に結んで行く。それが終わったら再度織り機を反転させて取り付ける縦糸の本数を増やしていく。以下、この作業を繰り返す事になる。

そのためには最初に織り機を反転させた後で:

現在羽根板の手前側にある縦糸を出来るだけ多く奥側の糸巻きロ-ラ-にゆっくりと巻いてしまう。

(それにより羽根板の手前の糸の並びの順序を整える事が出来る。その時に縦糸の順番が羽根板の溝穴の順番と交差していれば、付属のクシを補助的に使っても良い)

このようにして、縦糸の並びが整って、奥側の糸巻きロ-ラ-に巻き取れたら、そのままでは手前側を結ぶには糸の長さが足りないので、縦糸を少しだけ手前にゆっくりと引き出して奥側の糸巻きロ-ラ-にストッパ-をかける。

(この時には一番出っ張りの短い糸に残りの糸の端を揃えておくとその後の作業がやり易い)

手前側の糸の端を結び棒に結べる程度まで引き出したら、今結ぼうとしている最初の4本の一房以外の房は作業の邪魔にならないように左右に振り分けておいて、最初の4本(2本+2本)を結び棒に結んでしまう。そして、結び棒全体を軽く手前に引っ張って、残りの房を結んで行く時の長さの基準にする。

次の4本+4本の房を結ぶ場合、最初の一房の基準長と同じ長さに結ぶ必要があるが、そのためには、既に結んである房と結び棒から手を離して、今結ぼうとしている房の糸を結び棒に巻きつけて、手前に軽く引っ張りながら行うと簡単に隣り同士の房の長さを揃えることが出来る。

こうして最初の12本の縦糸を結び終えたことになる

この作業を繰り返して全ての房を巻き終わったら、余分な糸端は切り取ってしまう。その時の糸巻きロ-ラ-の画像が次だ。そして、最後に糸巻ロ-ラ-に縦糸を巻き取る訳だが、この時に初めて糸巻ロ-ラ-(のみに)フエルト布を同時に巻き込む。

(フエルト布を使う理由は縦糸を巻くときに糸と糸の間に糸が挟み込まれるのを防ぐためなので付属のフエルト布でなく、カレンダ-などの比較的厚い紙を使っても構わない)

フエルト布の巻き込み方:

糸結び棒を作業の邪魔にならないように持ち上げて、フエルト布の先端をロ-ラ-の下側手前から奥に向かって差し込み、先端を上側に反転させて手前に引き出し、先端をロ-ラ-のゴムひもで押さえてしまう。

そして、フエルト布の残りの部分はテ-ブルから流れ落ちるような状態にしておいて、手前側の手動ストッパ-を解除してゆっくりと縦糸をフエルト布ごと巻き始める。

(その時に奥側の糸結び棒を持ち上げて引っ張りながら、同時に指で奥側のロ-ラ-の回転を抑えながら行うと縦糸の張力が保たれる。もしフエルト布が足りなくなったら次のフエルト布の端が重なるようにして継ぎ足す)

そして縦糸を全て糸巻ロ-ラ-に巻き終えたら両方のロ-ラ-に手動ストッパ-を掛ければ縦糸の取り付けが完了する。

ここまでに、もう少し多くの途中画像を掲載すれば良かったが、この記事の趣旨は縦糸の張り方の改良にあるので省いてしまった。上の画像では全ての縦糸がうまく均等の張力で張れているような印象を受けるが、以下の画像ではいつもそうなるとは限らない事を示す。最終的な目的は、偶然に上手く縦糸が張れる事ではなく、いつも上手く張れることが重要になるからだ。

更に、市販の織り機ではあるが、私に言わせれば革命的と言える物の動画も掲載する。そして、その唯一の欠点にも触れるつもりだ。

織りで、歴史的に何が一番問題だったかと言うと、それは縦糸の取り付けだった。非常に手間がかかる作業だからだ。ロ-マ時代は奴隷がその作業を行ったので特に問題ではなかったが、現代で個人が楽に縦糸を張るための工夫は絶対に必要なのでこの記述と同時に織り機の改良が進められている。

まず、縦糸があまり上手く張れなかったのに、横糸を強引に通し始めた時の経過を3枚の画像で示してしまう。織り始めの画像だ。次は、ある程度織り進んだ時の画像になる。

これだけでは問題の所在がよく解らないので、同じ場面を横から撮影した画像も示す。

縦糸の真ん中あたりが弛んでいるのが判ると思う。そのため、布になった部分もそれを反映してしまっている。縦糸の張り方に慣れないとよく起きる事だ。トルコの絨毯織でもよく起きる事で、彼らはそれを出来るだけ隠して売りつけようとする。私も1枚、引っかかったが、それはそれで良い思い出として今でも廊下を飾っているし、織りのプロには欠陥品のもつ魅力は理解できないのかもしれない。

で、どのように全ての縦糸で張力を一定に張るか、そのための私の方法は以下の画像に示されている。



縦糸を張る場合のシミュレ-ションの画像が2番目のものになる。

これは糸巻きロ-ラ-の側だけで、布巻側ではペグは使わない。1本1本の縦糸を引っ張りながら作業するのでペグは邪魔になるからだ。(続く)

巻き棒のギアも自作しているので、その画像もここで示しておく。