パエ-リャ

木製カトラリ-

箸だって軽い方がいい

2015-01-06 07:32:58 | Weblog
日本の割り箸ほど軽くて使いやすい箸はないだろう。中国人が使うリ-チ延長用の箸みたいに長くて重くないし、金属製の箸などは更に馬鹿げている。最近、日本人が箸を使うのは猿の棒使いみたいだとドイツ人が揶揄している記事を見かけたが、猿にはフォ-クが一番似つかわしいと思う。

そもそもヨ-ロッパ人がカトラリ-を使い始めたのは16世紀からだ。それ以前は手づかみで食べていた訳だから。

箸を扱えるのはデクステリティ-の極みで、極端に小さなものまで持ち上げる事が出来る。フォ-クでは不可能な事で、猿には出来ないだろうし、そもそもロボットア-ムの先端は全て箸のコンセプトを使って出来ている。

ただ、伝統的な箸にも問題点は存在する。

と言うのは、普通の木の箸も重たいと感じる時があるからだ。時にして、鬱陶しい程の重さを感じることがあるのは私だけだろうか? と言うか、そもそも箸に重さは必要なのだろうか?

筋肉に対する望ましい負荷は食べ物が提供する訳だから必要ないだろう。なので、ここでは箸の重さについて考察してみる。

箸の重さは絶対的な質量と、持った時のバランスに分けて考える事が出来ると思う。特に、後者が重要だろう。質量は多分に材質によって決まるので比重が小さいに越したことはない。なので、地球資源的には岩石や金属などではなく、セルロ-スを使うのが当然だろう。現在のところ、あまり、オプションはないが、将来的には間違いなくカ-ボンナノ材料だろう。

これに対して、持った時のバランス感覚は箸のデザイン上、工夫出来る範囲にある。手に持ってみれば直ぐに判るが、箸の回転の中心はおおよそ箸の長さの中間地点にある。でも、質量の恐らく7割以上は太い側に集中しているだろう。質量の中心もその範囲に存在する。

なので持った時にすぐに傾いてしまい、重いと感じるのだ。質量が長さ全体にわたり平均して分布していれば、そのようには感じないはずだ。だから、重みの元になる質量を失うには、その部分の体積を減らしてしまうに限る。そして直感的には質量の中心を回転の中心に出来るだけ近づける事が理想だろう。

いずれにせよ、回転を始める瞬間に感じる抵抗重量を極力減らさないといけない。

となると、太い部分の内部に何らかの空洞を作ることになる。まず考えられるのは一本の箸を2枚の板から作ることで、それに先立ってル-タ-ビットで溝を加工して、2枚を張り合わせる。技術的には出来ない事ではないが、そして、2枚の材を異なるものにすればデザイン的にも面白いかもしれないが、接着強度が問題になるだろう。張り合わせ範囲も考えなくてはならない。

もう一つは、箸の太い部分に細長いドリルの刃で穴を開けて、穴の入り口をダボで塞いでしまう事だ。これは技術的には精密旋盤や、ドリル盤、 あるいはコンピュ-タ制御のフライス盤でも出来ない事ではないだろうが、材の保持や垂直方向のストロ-クに疑念があるので大型の器械が必要になる。でも出来るだろう、出来ない加工ではない。

ただ、直感的には、この画像にあるような加工方法でも構わないのではと思っている。デザイン的に異議が出ない限りは。これは、持ち手の太い部分に対して、直行する2本の貫通溝を2か所に分けて加工したものだ。なので、溝の数は箸の表面に対して8本だ。長い単一の溝4本では持った時に凹んでしまうので2か所に分けた結果だ。

比較のために通常の箸をおいてある。両方とも材は「ブナ」で、長さは230mmの大人用の箸で、通常のものは重さが6グラム、溝付箸は4グラムだ。持つと判るが、結果的に質量の中心は回転の中心に限りなく近づいている。絶対的な重さも大分少ないと感じるし、なにより回転時の取り廻し抵抗感がなく、動きが軽快なのに気付く。

今後は、このタイプの箸を試験的に提供しようと思っている。わずかな問題点は、溝の幅で、今回は3mmだが、ル-タ-ビットを使わないで、エンドミルで加工した。最終的には2mmのエンドミルを使うか(ル-タ-ビットで2mmは存在しないかも知れないので)、あるいは箸の最初の太さを8mmの四角断面から10mmの四角断面に替えることかも知れない。









縦糸の張り方 - part 1

2015-01-05 23:19:25 | Weblog
違いを明確に、用語説明も画像も必要

織り機の普及に必要なのは昔ながらの伝統的なやり方や用語ではなく、誰にでも簡単に縦糸を張ることが出来るような工夫だ。以下は、そのための私の最初の試み。これで目的はある程度達成できるが、これでも不十分なので、織り機本体に更に革命的な工夫を施す事で、更なる改良を目指す。既にアイデアは存在するので実験で細かな改良点を洗い出して一週間以内の投稿を目指す。

縦糸の張り方


用語の説明

糸巻ロ-ラ-:羽根板支持台に近い方のロ-ラ-
布巻ロ-ラ-:羽根板支持台から遠い方のロ-ラ-
羽根板:白いプラスチックの大きな板
羽根板支持台:本体に垂直に固定されている。ペグに羽根板を乗せて使う

ストッパ-:2種類ある。本体に固定された自動ストッパ-と、縦糸の装着時だけに使う取り外し式の金属の手動ストッパ-、普段は本体上部に格納されているが、使用時には本体外側の小さな穴に刺して巻き棒の回転を止める。巻き棒の穴の位置には印がつけられている。

必要に応じて使い分けるが、自動ストッパ-も簡単に解除できる。

仮押さえゴム:ロ-ラ-に取り付けられてあるゴムひも
糸結び棒:ロ-ラ-に細ひもで取り付けられている縦糸の端を結びつける棒

張り方の実際

まず基準の長さをタコ糸などで作る。その長さに揃えた縦糸は直ぐにそのまま一本毎に織り機に掛ける。数十本もの縦糸を後で一度にまとめて織り機に掛けようとすると、糸の絡みを直すだけで大変な時間の無駄になる。最初は織り機の布巻ロ-ラ-が手前に来るようにして、羽根板は輪ゴム等で中間位置に固定する

最初は奥側の糸巻ロ-ラ-(ストッパ-は手動も自動も解除しておく)の上に縦糸を大雑把に乗せて(仮押さえゴムは使わない)プラスチックの羽根板を通した手前の糸端部分だけを布巻ロ-ラ-の仮押さえゴムの下に挟んでいく。4本挟み終わったら直ぐに糸結び棒に結んでしまう。

そのためには:

「手前に飛び出した4本のうちの最長の糸の端に合わせて残りの3本の端を揃える。そして、奥に向かって全体を軽くしごいて出来るだけ張力を揃えて、奥側の巻き棒の上に乗せておく。そして手前側では、4本の房を2本ずつに分けて、それぞれ糸結び棒の上から手前に向かって糸の端を掛けて、下から奥に向かって糸端を引き出し、2本と2本を縦糸の上側で結んでしまう」

この最初の4本の一房の右側と左側に、同じようにして、次の一房分ずつ(4本=2本+2本)を結び終わったら(この時点で12本が結ばれている)、手前側の手動ストッパ-を掛けて織り機を反転させる。そして、今度は元々は奥側にあった糸の端を結び棒に結んで行く。それが終わったら再度織り機を反転させて取り付ける縦糸の本数を増やしていく。以下、この作業を繰り返す事になる。

そのためには最初に織り機を反転させた後で:

現在羽根板の手前側にある縦糸を出来るだけ多く奥側の糸巻きロ-ラ-にゆっくりと巻いてしまう。

(それにより羽根板の手前の糸の並びの順序を整える事が出来る。その時に縦糸の順番が羽根板の溝穴の順番と交差していれば、付属のクシを補助的に使っても良い)

このようにして、縦糸の並びが整って、奥側の糸巻きロ-ラ-に巻き取れたら、そのままでは手前側を結ぶには糸の長さが足りないので、縦糸を少しだけ手前にゆっくりと引き出して奥側の糸巻きロ-ラ-にストッパ-をかける。

(この時には一番出っ張りの短い糸に残りの糸の端を揃えておくとその後の作業がやり易い)

手前側の糸の端を結び棒に結べる程度まで引き出したら、今結ぼうとしている最初の4本の一房以外の房は作業の邪魔にならないように左右に振り分けておいて、最初の4本(2本+2本)を結び棒に結んでしまう。そして、結び棒全体を軽く手前に引っ張って、残りの房を結んで行く時の長さの基準にする。

次の4本+4本の房を結ぶ場合、最初の一房の基準長と同じ長さに結ぶ必要があるが、そのためには、既に結んである房と結び棒から手を離して、今結ぼうとしている房の糸を結び棒に巻きつけて、手前に軽く引っ張りながら行うと簡単に隣り同士の房の長さを揃えることが出来る。

こうして最初の12本の縦糸を結び終えたことになる

この作業を繰り返して全ての房を巻き終わったら、余分な糸端は切り取ってしまう。その時の糸巻きロ-ラ-の画像が次だ。そして、最後に糸巻ロ-ラ-に縦糸を巻き取る訳だが、この時に初めて糸巻ロ-ラ-(のみに)フエルト布を同時に巻き込む。

(フエルト布を使う理由は縦糸を巻くときに糸と糸の間に糸が挟み込まれるのを防ぐためなので付属のフエルト布でなく、カレンダ-などの比較的厚い紙を使っても構わない)

フエルト布の巻き込み方:

糸結び棒を作業の邪魔にならないように持ち上げて、フエルト布の先端をロ-ラ-の下側手前から奥に向かって差し込み、先端を上側に反転させて手前に引き出し、先端をロ-ラ-のゴムひもで押さえてしまう。

そして、フエルト布の残りの部分はテ-ブルから流れ落ちるような状態にしておいて、手前側の手動ストッパ-を解除してゆっくりと縦糸をフエルト布ごと巻き始める。

(その時に奥側の糸結び棒を持ち上げて引っ張りながら、同時に指で奥側のロ-ラ-の回転を抑えながら行うと縦糸の張力が保たれる。もしフエルト布が足りなくなったら次のフエルト布の端が重なるようにして継ぎ足す)

そして縦糸を全て糸巻ロ-ラ-に巻き終えたら両方のロ-ラ-に手動ストッパ-を掛ければ縦糸の取り付けが完了する。

ここまでに、もう少し多くの途中画像を掲載すれば良かったが、この記事の趣旨は縦糸の張り方の改良にあるので省いてしまった。上の画像では全ての縦糸がうまく均等の張力で張れているような印象を受けるが、以下の画像ではいつもそうなるとは限らない事を示す。最終的な目的は、偶然に上手く縦糸が張れる事ではなく、いつも上手く張れることが重要になるからだ。

更に、市販の織り機ではあるが、私に言わせれば革命的と言える物の動画も掲載する。そして、その唯一の欠点にも触れるつもりだ。

織りで、歴史的に何が一番問題だったかと言うと、それは縦糸の取り付けだった。非常に手間がかかる作業だからだ。ロ-マ時代は奴隷がその作業を行ったので特に問題ではなかったが、現代で個人が楽に縦糸を張るための工夫は絶対に必要なのでこの記述と同時に織り機の改良が進められている。

まず、縦糸があまり上手く張れなかったのに、横糸を強引に通し始めた時の経過を3枚の画像で示してしまう。織り始めの画像だ。次は、ある程度織り進んだ時の画像になる。

これだけでは問題の所在がよく解らないので、同じ場面を横から撮影した画像も示す。

縦糸の真ん中あたりが弛んでいるのが判ると思う。そのため、布になった部分もそれを反映してしまっている。縦糸の張り方に慣れないとよく起きる事だ。トルコの絨毯織でもよく起きる事で、彼らはそれを出来るだけ隠して売りつけようとする。私も1枚、引っかかったが、それはそれで良い思い出として今でも廊下を飾っているし、織りのプロには欠陥品のもつ魅力は理解できないのかもしれない。

で、どのように全ての縦糸で張力を一定に張るか、そのための私の方法は以下の画像に示されている。



縦糸を張る場合のシミュレ-ションの画像が2番目のものになる。

これは糸巻きロ-ラ-の側だけで、布巻側ではペグは使わない。1本1本の縦糸を引っ張りながら作業するのでペグは邪魔になるからだ。(続く)

巻き棒のギアも自作しているので、その画像もここで示しておく。





乾燥したパンと乾燥してない餅

2015-01-03 09:40:14 | Weblog
両者とも出来立てはそのまま美味しく食べられるが、時間の経過とともに明暗を分ける。餅は現在では基本的に個別包装されているので極端に乾燥してしまう事は少ない。でも、パンの乾燥は極端だ。だから、ここでは手間を掛けないで餅とパンに付き合う方法を考察したい。

まず、餅から入ろう。普通、餅は食べる前に焼網に乗せて焼いたり、ト-スタ-等で加熱処理するが、いずれも熱源からの放射熱を使う。雑煮等の熱水処理はここでは考察の対象にしない。勿論、パンの熱水処理も有り得るが、それは別途考察する必要があると思う。ここでは、餅は餅の、パンはパンの元々の形状で食べる事を前提にしている。

で、餅と言うものは、その形成の過程で内部に自由水が極めて均質に分布している。パンも形成初期は同様だが、途中で多孔質のスポンジ状の物体に化けてしまう。結果として当初の極めて均質な自由水の分布は破壊されて(空洞部分には自由水が存在しない)、しかも乾燥すると自由水そのものが空気中に拡散してパンの分子構造だけが固定されたまま残る。

なので、乾燥したパンをト-スタ-で加熱すると、投射された熱エネルギ-がパン内部全体に瞬時に回る事なく、温度勾配を素早く解消出来ないので、表面だけが焦げてしまう。然も、内部の乾燥は更に進むのでとても食べられたものではない。それに比べると餅はパンより処理に手間がかからない。

何故かと言うと、電子レンジを使えるからだ。最近は電子レンジ用の餅焼き?台を100円ショップで売っているので、それを使えば数十秒で出来立て同然の餅が食べられる。

そもそも、物が温かいとか熱いとかは、その物を構成する分子が激しく振動している状態を表すのだが、電子レンジはマイクロ波という特定の波長の電波を庫内に照射して、水の分子に直接エネルギーを与え、分子を振動させて温度を上げている。ここで動画を見て欲しい。




これは餅の分子構造に相当するもので、一つ一つの球が餅の分子、あるいは餅の分子内部の水の分子だと思えば良い。餅は最初に臼の中で激しく叩かれるので、分子は偏った配置にはならずに、この動画のように規則正しく並んでいる。そのため、電子レンジにかけると餅の全ての部分が一斉に振動し始める。

つまり、内部だろうと表面だろうと、一斉に同じ振れ幅の振動を起こしてしまう。温度勾配がないのだ。だから、餅を電子レンジで温めると、どこか特定の部分だけでなく、餅全体が温まってしまう。

ト-スタ-で使われるニクロム線などの発熱体は発生する赤外線で主に物質の表面を加熱するだけなので、どうしても温度勾配が出来てしまう(内部まで加熱されるのは熱伝導によるものだ)。そのために表面は焦げ付いていても、内部は生焼けになる場合がある。

ここまで記述して来て、結論が出てしまった。パンは冷凍すればそれで問題は恐らく解決するだろう。未だ試した訳ではないが。パンが乾燥しないうちに冷凍すれば水の分子がほぼ均等に行き渡っている訳だから、その構造は保たれるからだ。

それを電子レンジにかければ内部全体が同時に暖められる。これを思いつく前は霧吹きでパンの表面だけに水を吹きかけるのは温度勾配の問題があるし、注射器で内部に均等に沢山の小さな水溜まりを作るのも手間だし、とか思っていたので、市販のスチ-マ-でパン全体を処理する事を本気で考えて、実際にスチ-マ-を買ってしまった。無駄な事をしてしまった。

でも、同時に思いついたことがある。パンでなくて氷だったらどうなるか、これは後で動画を作成してアップするだろうが、氷内部の水の配置も均等になっている。水と氷の違いは水分子の振動がより大きい方が水であって、小さくなれば氷になるだけの話だ。

なので、氷を電子レンジにかければスタ-ト時の氷の温度がマイナス10度だとすると、時間の経過に連れてマイナス9度、マイナス8度と言う様に温度が上昇し始めても、依然して見かけは氷のままだが、0度の氷になった直後に0度の水になって、氷の形が崩れて瞬間的に無くなってしまうだろう。

いわゆる、物理的な相変化だが、にわかには信じがたい結論だ。近々にも実験して動画を撮ってアップする積もりだ。