着付けの気づき

着付けの個人教室を行っている先生が、着付や着物に対するこだわりの思いを中心に語ります。

成人式着付け2020  「どうして痛くなったのでしょう!?」

2020-01-29 12:39:50 | 成人式
今年の成人の日当日、あるお嬢様の着付けを美容室でさせていただいていたときの出来事です。

着物をお着せし、おはしょりの始末をして伊達締めを締めて、さあ帯にいきましょうという段になり、
「ここまでで何か気になることはございませんか?」
とお嬢さまにお尋ねしたところ、
「すみません、何か脇が痛いんですけど…」
と仰ったのです。
私はお紐や伊達締めを締める際は、苦しく感じにくい位置に、苦しくない力加減で締めるようにしているつもりでした。またこれらを締める際には必ずお客様に
「苦しくないですか?」
と尋ねています。

今回もお客様へ「大丈夫です」を積み重ねながら着付けを進めさせていただいていましたので、私も正直何が原因なのかわからず少し焦りました。でも、このまま帯結びに入ってはいけないと思いました。
お客様に確認したところ、もしも全て脱いでいただいて着付けのやり直しとなった場合でもお客様はお式自体には間に合うことがわかりましたので、
「痛い原因を突き止めましょう」
と、伊達締め、お紐を取りながら原因を探りはじめました。着物を脱いでいただき、まだ痛い原因が分からず引き続き長襦袢の伊達締め、お紐もとり、それでもまだ解決せず、長襦袢もお脱がせすることになりました。
結局肌着の状態になった段階でやっとわかったことは…
何と和装肌着の下に防寒として着用されていた洋装肌着の、「脇の縫い目」が肌に当たっていたということが原因だったのです。最近ではシームレスの肌着も多いですがお嬢様の着用されていた肌着には脇縫いがあって、そのロックミシンで処理された糸の編み目が結構堅かったのです。これが上から上からと生地が重ねられていくことで肌に当たり痛みに繋がっていたようでした。勿論この肌着は脱いでいただいてまた一から急いで着付けを開始しました。

着付けを終えるとお嬢様も、
「何となく痛い、何が痛いんだろう…と思いながらも多分大丈夫だと思い何も言わなかったばっかりに、結局やり直していただくことになって迷惑をかけてしまい、本当にすみませんでした。でもお陰で今はどこも痛くないです。本当に有難うございました」
と着付けの仕上がりにも満足されたので、本当に良かったと思いました。着物の着心地がこんなところから影響をうけるなんて…。私も今後はこういう肌着にも注意しなければと思いました。

長年着付けのお仕事の現場に入って沢山のお客様のお着付けに携わっていても毎回何かしらの気づきがあります。取り敢えず今回の成人式のお着付けの仕事も無事に終わり胸をなで下ろしましたが、着せ付けのお仕事も勉強には終わりがないな、とつくづく思いました。


川口着付個人教室
 http://www.wbcs.nir.jp/~yoko

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