住居表示=町名+街区符号+住居番号 のうち
いよいよ最後の「住居番号」の付け方のお話です。
「一軒一軒、単に順番に並んでいるだけ」に見えるなかに
実は意外によく考えられた法則が存在しているのです。
街区の外周線上に、“長野駅”に一番近い角からスタートして右回り(時計回り)に
約12メートル間隔を目安として順番に番号を付けます。
まずは建物に付けるのでないところがミソ
このとき、将来的に建物が建つことを予想して
私道などに予め番号を付けておくこともあります。
*街区の外周に付ける番号の間隔は
市町村によって10~15メートルと幅があるようです。 原則として、外周上のどの番号から建物へ出入りしているかによって
建物に「住居番号」を付けます。
集合住宅は部屋番号を枝番に用いて「住居表示」にします。
このように付番しますので、「1番」が大邸宅で玄関の位置によって「2番」から出入りしているなら
その家の「住居番号」は「2番」になり、その街区に「1番」は存在しないことになります。
逆に、小っちゃな家で二軒の玄関がすでに並んでいて出入りする番号も同じ場合は
原則を外してそれぞれに「住居番号」を付けたり
敷地内に息子夫婦の家を将来、増設したなどの場合は
集合住宅のように同一住居番号に枝番を付けたりして対応し
住所が変わることがないようにしています。
ところで、日頃、何となく書いている住所ですが
このように隠れた法則があることを知っていると
初めて訪問する家を探すときなどにはとても助かります。
通りすがりの地元の人なら町名くらいは知っているでしょうし
「丁目」が分からなくても市役所や駅がある中心方向を尋ねれば
そちらから1丁目、2丁目と並んでいるはずですので、おおよその配置は推測できます。
もっとも、「住居表示」の実施区域内には街区表示板が街区の角に取り付けられますので
これを探し出せば「門前1丁目2番」まではすぐに分かります。
あとは、上の法則で付けられている「住居番号」を追いかければよいのですが
ここで意外に役立つのが、この番号は外周上への出入りの場所に付されているということです。
つまり、上図のように「2号」の隣に突然「23号」があったりする場合
その家への出入り(主に玄関)は裏など別の道路側にしていることが分かりますので
こちら側は勝手口などでしょうから、訪ねる場合はそちらの玄関からの方が失礼になりません。
大邸宅の勝手口などは
庶民の表玄関と見間違うばかりのお宅もありますから…。
ところで、これと似た方式は以前触れたことのある江戸切絵図に
すでに採用されていて、当時は住人の名前の上方に玄関があるように作られていますので
通りごとではほぼ同じ向きですが、1枚の地図上での住人の名前の向きはバラバラになるのです。
とは言え、玄関の位置を地図上に活かす知恵が
すでに江戸時代に生れていたことに、ほとほと感心せざるを得ません。
こうして「住居番号」の付番の法則を見てみますと
これが都市部の住宅密集地向けであって住居が点在する農村部には
適用しようがないことがお分かりいただけると思います。
だからこそ、農村だった頃は地番むき出しの住所だったのに
新興分譲住宅地になった途端に住居表示化されることになるのでしょう。
最終話の次回は
「住居表示」が実施された後の本籍地の表示について
またまたヤヤコシイお話をしておく必要があります。
ほとんどの方がご存じでないはずですので…。