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絵じゃないかおじさんぐるーぷ
* クイズ「短歌」解読の中間報告
ちうは、N先生宅に泊まり込んで、
2人で解読に当たってくれている。
あの短歌は、石川啄木の歌集「一握の砂」の、
第1首目を飾る作品である。
「我を愛する歌」の見出しが入っている。
明治43年、啄木25才の時に発行。歌数551首。
定価60銭。この歌集は1首を3行書きにしている。
解読はあまり進んでいないようだった。
1文字1文字書いた紙片を並べ変えたり、
3行詩の頭の部分を拾ってみたり、
後から読んでみたりしているのだが、
よく分からないと、言っている。
単純なものほど難しい。
難しいと思うものには、頭の中も、
それ相応の準備をしてかかるのだろうが、
易しそうに見えると、頭のヤツも、
小馬鹿にして、回転しないのだろうか?
気ばかりがあせってくる。
もう6月も終わりだ。
* 嫌がらせの数々
小学生の休次郎は、「ウルトラマン」の大ファンだ。
20数本のビデオを持っている遅い夕飯を食べている時、
Oさんが
「オッさん、うちのビデオ壊れたのかしら?」と、
話しかけてきた。
わあ、また金のかかる話かと、
恐れながら聞いていると、そうではなかった。
金が、関わってないと、一安心する。
休次郎が、学校から帰って、愛用のビデオを見ていると、
ウルトラマンが、ことごとくバラバラにされて、
負けるのだと、泣いて訴えてきたそうだ。
彼は、同じテープを何度も何度も見て、
1画面ずつ、頭に叩き込むような、見方をしている。
私からすれば、同じものを飽きもせず、
よく見るものだと感心している。
同じビデオでも、毎回筋が変われば変化があって、
面白いのにと思うのだが、
子供には、子供の見方があるのだろう。
頭に覚えこんだ通りに、話が流れてゆかないと、
我慢できないようだ。
友達と一緒に見ている時など、
この次にはこうなって、
あの次にはどうなると、
先々の粗筋を、得意そうに語りながら、見入っている。
友達もいい迷惑だろう。
私も小さい時、よく封切の映画館で得意げに、
次の場面を語る奴に、興味を半減させられたものだ。
今でも、時たま映画を見にゆくが、
映画館の中には、必ずそういう奴が、一人は近くにいる。
迷惑な奴だ。
そういう声は、必ずクライマックスで、飛び出してくる。
せっかく、映画の世界に没入しかかっているのに、
アッという間に、シラケた世界に、突き落とされる。
本人は、近所迷惑になるなどとは、
思ってもいないのだろうか。
それとも知っていて、わざと口に出しているのだろうか。
迷惑極まりない奴だ。
ウルトラマン・ビデオ改造は、
明らかにMグループの仕業に違いない。
そう言えば、奴はビデオ中毒だった。
中には、奴に可愛がられた者も多いだろう。
それに、東吉野では、
幻想とは言え、ビデオに屈辱的な、
仕打ちを、与えてしまった。
いくら方便とはいえ、存在そのものを、
否定するような方法は、まずかったように思う。
ビデオさん、許しておくれ。
今さら言っても、もう遅いかい?
夕ご飯が終わって、Oさんたちと、
ビデオを見直してみることにした。
テープは別段変わっては、いなかった。
ウルトラマンは、最後に勝つではないか。
休次郎は、必死になって、Oさんに、
昼間見た話をするが、てんで相手にしてやらない。
彼が、夢でも見たように思っているのだろう。
最後には、うるさくなったのか、怒り出してしまった。
私は、二人の言い分がよく分かるので、
どちらに味方していいのか、分からなかった。
二人とも、それぞれに正しいのだ。
正しいのだが、二人の腹の中には、
きっと、わだかまりが、
シコリとなって、残ったことだろう。
二人を、すっきりさせてやる事が出来るのは、
私しか居ないのだが、話が余計にこじれると、
思ったので、黙っていた。
その夜、タイタイからも、
怒り心頭に達したメールが届いた。
チーコちゃん捜しの疲れと苛立ちが、
怒りに拍車をかけていた。
それは、コンピュータ・ゲームの途中経過を、
記録した部分が、ことごとくクリアーされていたらしい。
彼の趣味は、コンピュータ・ゲームだ。
ゲームを始めてから、終わるまでに、
何日もかかるものは、途中のポイントを、
記録しながら進めてゆく。
いつでも、その時点から、再開できるようにするためだ。
彼は、色々なゲームに何度も何度も、
途中経過を取りながら挑戦している。
そのポイント点が、全てのカセットで、
白紙に戻されていたらしい。
彼は、「寄れ寄れ」グループの中で、コガ坊とともに、
今一番過激になっている。
オッさん、すぐ奴等に、攻撃を仕掛けようぜと、
呼び掛けてきた。
しかし、Mキラリーを捕らえて拷問にかけても、
Mグループの実体が分らない限り、危険この上ない。
それに、チーコちゃんの行方もわからない時に、
闇雲に動くのは、まずい。
私は、もう少し待ってくれと返信メールを打って、
その場逃れをした。
チーコちゃんと、何年も一緒に暮らしていると、
情が移ってきて、堪らない気持になっているのだろう。
この分では、サヤカから、チーコちゃんに、
愛情移動しているのかもしれない。
彼は、サヤカに惚れていたのだが・・・
ジョジィからも、同様のメールが入ってきた。
もう1,000頁は越えたと思われる自伝を記録した、
フロッピーディスクが正・副両方とも、
上書きされた状態に、なってしまったようだ。
ディスクの索引部分のディレクトリィのみが、
壊れたのなら、まだ何とか復元のしようもあるのだが、
「バカバカ・・・」と「アホアホ・・・」の書き込みが、
なされていたらしい。
これには、日頃おっとりとしているジョジィも、
カンカンになって怒っている。
また一から、口述インプットしなければならないからだ。
ジョジィは、始めは雨ダレを利用して、
キータッチしていたのだが、今では文明の利器、
観女センティのリース手をコントロールしながら、
代打ちさせているのだ。
世の中、便利な物ばかり出来てありがたいと喜んでもいる。
屋久島でのんびり暮らしていたのだが、私やコロが、
彼の生活をかき回してしまった。
しかしながら、彼も、便利な生活に万更では、
なさそうなので、一安心している。
それにしても、1,000頁もの打ち直し、ご苦労さん。
しばらくは、フロッピーに記録しない方がいいだろう。
グループの皆に、まだまだ悪戯は続いた。
ドンガラッキーは、私が、昔プレゼントした、
ブルゴーニュ赤の年代もののブドウ酒の栓が開けられ、
横に寝かしていたのを、立てられていたそうだ。
徳利に移して、ちびりちびりと大事に飲んでいたのだが、
パァーとなったので、彼も、カーッとなっている。
センティには、ピッチングマシンで、2,000個もの
野球ボールを、打ち込まれた。
受け損なって、指が数本折れたので、オッさん悪いけど、
瞬間接着剤を持ってきてくれませんかと、頼まれている。
モンジュジュの所へは、
頭の中に、電卓をセットしてくれと、
願う子供が、たくさん押しかけて来たそうだ。
安倍の文殊さんに行くと、
頭の中に電卓が、
セットしてもらえるぞ、というチラシが、
家々に、放り込まれたらしい。
まだまだ続く。
猿石たちの、お供え物は蝋で作られたバナナや、
殻の破れないピーナッツだった。
ススキの穂のオイデオイデたちの上には、
古いタイヤが、山と積まれていた。
狸のイガチッチには、ゲームの途中で、
パッと、画面が消えてしまう、携帯用ゲーム機
Gボーイのソフトが送られてきた。
鏡の精ヤッタールは、呼ばれた途端、
不透明フィルムを、貼りつけられた。
そのため、彼は怒って、呼び出し番号を変えてしまった。
盗み見されるといけないので、
当分、誰にも教えないという。
この私にも教えてくれない。
コロは、犬多食フライドチキンの中に、
大嫌いな、人参とピーマンの切り刻んだものが、
入れられていた。
奴等の嫌がらせゲリラ攻撃にも、弱ったものだ。
私たちが、困るのを見て喜ぶのだから、
何とも厄介な存在だ。
どうせ喜ぶのなら、簡単に回復出来るような、
事ばかりにして、欲しいものだ。
私とゴキブリ・ゴキオーラには、
まだ直接嫌がらせはない。
どんな仕打ちが、用意されているのだろう?
報復を考えると、憂欝になってくる。
それにしても、Mキラリーの奴は、何故、
ゴキブリなどに、拘り続けるのだろうか?
この前の変身が、よほど気にいったのか。
わざわざゴキブリになんか化けなくても、
生き霊のままで、自由に外を走り回れるのに、
不思議なこともあるものだ。
つづく