copyright (c)ち ふ
絵じゃないかおじさんぐるーぷ
24号は慣れた道の一つである。
寒さも薄らいできたので、すれ違うバイクの量も増えてきた。
ミニバイクにヘルメットを被らずに乗っている奴も多い。
自分自身の為なのにと思うのだが、他人のことなので、
どうにも出来ない。
和歌山から42号に入る。
バイクだと2時間でおつりがくる。
信号が多いので、しょっちゅう流れが狂う。
桜の花を取るのは何処でもいいのだが、
人が居なく、なるべく花びらが
大きいのがいい。
海南を抜け有田に入る。
私は、海岸が好きだから、有田で42号を出て海岸沿いを走った。
いつもの走りとは逆回りである。
けれども帰りには海岸を左手に見ながら走れるので我慢できる。
春の海はキラキラとして、冬に比べると大分軽くなっている
感じがする。
ところどころに波が白く盛り上がっているのが何とも言えず綺麗だ。
数キロ走ったところに堤防があった。
桜の木があり十分咲いていた。
五分咲きぐらいか。
何分咲きと問われても、私などは全体像も、
ましてやそれが何分かなどということは、
分かりはしない。
五分といっておけばどちらに転んでもそう差が出ないはずである。
人通りもない。
車も少ない。
私は、桜の花を小枝の根元から丁寧にナイフで切り取って
BOXのなかに入れた。
目標は200個である。
一本の木からたくさん取ると悪いので、
それぞれの木から、20本ずつぐらい、
取ることに決めた。
木の本数が少なかったので目標の本数に足りない。
この先あてもなく進んでも桜があるかどうかわからないし、
もしあったとしても、
このように心おきなく摘めるかどうかわからない。
桜ちゃん、許せ!
目標の本数になるまで切った。
BOXに200も入れると水が溢れた。
桜の花は傷みやすい。
もう散っているものもある。
明日の朝まで持つだろうか?
心配だ。
桜の花のことで頭がいっぱいだった。
Oさんには、ちょっと出てくると言ってあるだけである。
土曜日は内職をしているからクーラーを持ち出そうが、
何をしようが知らない。
私は、ゆっくりと家路に向かった。
花の生きのよさが心配でたまらなかった。
帰ってクーラーを隠すように物置の隅においた。
何をするのかって?
つづく