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絵じゃないかおじさんぐるーぷ
靄のせいで、ヘルメットは曇るし非常に息苦しい感じがした。
まだ薄黒白い空気の中を走る。
丘にたどりついたが太陽はまだ昇ってはいなかった。
自分の居場所も、はっきりとはわからないが、
通い慣れた所なので不安はない。
夜がだんだんと明け始める。
靄がそれにつれて白っぽく変わってくる。
そのうち、三山がぽっかりと靄の上に浮き上がってきた。
左の方から、香具山、畝傍山、耳成山の順に並んでいる。
青黒い色が白い靄で弱められ別世界を形造っている。
その下に多くの人々が生活しているとは、
到底考えられないような風景である。
その時であった。
香具山がパッと女性になり畝傍と耳成が男に変わったのだ。
男二人は剣を持っていた。
女は両手を合わせて心配そうに二人の様子を見ている。
男たちの眼は血走り殺気だっていた。
しかし、何を言っているのか、さっぱり解らない。
古代語でしゃべっているようだ。
そうだ!
サヤカの不可思議な能力を思い出した。
ガソリンの給油口に耳を当ててみたやっぱり思った通りだ。
わかる、わかる。
私は、そこに耳をあて首を傾けて三人の成り行きを
見守っていた。
「今日こそは決着をつけよう」
「望むところだ。来いっ!」
剣のかち合う音が伝わってくる。
五分と五分の争い。
香具山は今にも泣き出しそうな顔をして二人を見守っている。
そうか!
つづく