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絵じゃないかおじさんぐるーぷ
けれども、そんなことに負けていては、
自然は私を寄せつけてくれない。
どんなことも経験である。
山の中はもう冬の準備を終わりつつある。
台風で崩れたガードレールが、ぐんにゃりと曲がり、
小岩があちらこちらに、
山となって積み重なっている。
すすきの穂が小道に向かって頭を垂れている。
ゆっくりと走る。
それでも避けきれなくて、すすきを擦ってしまう。
[ゴメン]と小声をかけながら走り去る。
あたりは薄暗くて人っ子ひとり通っていない。
もちろん車も少ない。
この路は10km前後ある。
私のホーム・グランドでもある。
凍結の日と、雷・台風の日、通行止め以外は、
一年中練習がてら走っている。
この路と石舞台から吉野に抜ける道を走れば、
大体、近畿・山陰一円の山道を、
走るのは苦にならない。
山道といっても1パターンである。
そのパターンのなかに場合分けがあるにすぎない。
往復すれば、往きと帰りでの雰囲気はガラリと変わる。
つづく