copyright (c)ち ふ
絵じゃないかおじさんぐるーぷ
前は見えない。
後は見えない。
スリップの危険がある。
車の水飛沫はかかる。
もう四方八方敵ばかりなのである。
そんな中を何とか桃源郷についた。
有りがたみもひとしおである。
桃の花をバックにしてサヤカの写真を撮ってやった。
雨が強いので人はほとんどいない。
私は、雨のなかに佇んで、
ぼんやりと桃の花に酔っていた。
ずっと見渡す限り桃の花である。
道路や人家がそばにあるので、少し物足りなかった。
こういう景色には邪魔物である。
やはり道路は舗装されてなく、
さびれた小屋一つぐらいが似つかわしい。
そんなことを思っていた時だった。
2・3本先の桃の木の花びらから、
何かネバネバとしたものが滴り落ちている。
雨の雫が固まって落ちているのかなと思った。
近づいてみるといい香りが漂ってくる。
おお、何と化粧に使うクリームではないか!
私は、すぐさまビニール袋を取り出した。
携帯必需品の一つである。
持っていると色々重宝するから、
いつも4・5枚は用意しているのだ。
その袋でクリームを受けた。
不思議なことにいっぱいになった所で、
ぴたりと止まった。
ああ、Oさんにいい土産が出来た。
満足に化粧品など買ってやらない私を哀れんで、
天のヤツ小賢しいことをしやがったな!
まあ、天然の化粧品だから、
今回は素直に貰って帰ろう。
桃の花 花・花・花の 花盛
雨のシヤッター 引き下ろし憩う
ち ふ
この項おわり