昨日(11月30日)、茨城県に行ってきました。
まだ真っ暗な5時に起きて。
朝6時過ぎには家を出て、上野駅からフレッシュひたちに乗って。
前日の寝不足もあり、行き帰りの特急電車は、ほとんど爆睡状態でした。
今回、お邪魔したのは水戸の「水高スクエア」。
国立水戸病院跡地に、北水会グループが建てた、一大医療福祉複合エリアです。
病院から、特養老人ホーム、老健、救護施設、保育園、医療専門学校等が並びます。
さらに、フィットネスクラブから、カフェレストラン、整骨院、薬局、コンビニまで。
茨城県救護施設協議会の研修会にお招き頂きました。
県内施設の職員の方々のほかに、各施設長、県担当者もいらしていました。
テーマは「統合失調症・精神障害者へのかかわり方~『処遇困難』な利用者への接し方」。
午前中、講演をさせてもらって、午後はグループに分かれて演習を行いました。
茨城県内は、精神科への長期在院者が、かなり多い県だそうで。
退院促進・地域移行の流れの中で、救護施設に精神障害の利用者が急増しています。
今回、お邪魔した「救護施設もくせい」も、既に入所者の75%は精神障害の方だとか。
たしかに見学させて頂いても、ほとんどの方が、慢性の統合失調症の方と思われました。
☆
お昼休みに、各施設長の方々とカフェレストランで食事をしました。
ある施設長の方と、職員の職場定着・離職の話になりました。
慣れない精神障害の方への対応で、ストレスフルになってる職員も多いようで。
スタッフ自身のメンタルヘルスも、大きな課題になっているようです。
特に、離職者を通して考えると、職場の人間関係が大きくクローズアップされてきます。
利用者とのかかわりよりも、同僚や上司とのコンフリクト(葛藤・対立)関係です。
仕事は続けたいけれども、あの人の下でやっていくのは、もう無理!という声です。
自身の専門職としてのアイデンティティを賭した、究極の自己選択としての離職です。
大人げないといえば、それまででしょうが。
保健・医療・福祉の世界って、それだけスタッフの人間観・価値観が反映する職場です。
利用者のことや、仕事自体は、決して嫌いではないけれど…。
このままでは、自分がダメになってしまう気がして…、という方も多いように思います。
☆
一昨年末に、厚労省が公表した、就労状況実態調査があります。
全国の社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士登録者を対象としたものです。
未就労の方が全国で15%いる一方で、23%が現在は職場で働いていない人たちです。
調査では「潜在的有資格者」という表現になっています。
現在就労していない有資格者の状況を見ると、
現在働いていない理由として最も多かったが「出産・子育てのため」です。
社会福祉士の46.7%、介護福祉士の 38.1%、精神保健祉士の31.2%にのぼります。
一方で「腰痛等、体調を崩しているため」の割合は、介護福祉士で13%に上っています。
福祉・介護分野への現職復帰の意向を見ると、全体の約7割が戻りたいと回答しています。
その一方で、「戻りたくない」という回答もかなりあります。
社会福祉士の約1割、介護福祉士と精神保健福祉士のそれぞれ約2割にのぼります。
夢や希望を持って職についても、現場の厳しさに懲りてしまう、悲しい現実があります。
今後、福祉・介護分野へ復帰する上で改善してほしいこととして、
最も多かったのは「資格に見合った給与水準に引き上げる」です。
社会福祉士の64.8%、介護福祉士の62.4%、精神保健福祉士の56.2%に上ります。
福祉の仕事への評価を求める気持ちは、すごくよくわかります。
こういった結果から、厚労省社会・援護局の福祉基盤課は、
「キャリアアップの道筋を設けて、意欲のある人を評価する仕組みが必要。
子育て退職の割合が大きいため、仕事と子育てを両立させる仕組みが必要」としています。
ある程度キャリアが形成された人の、職場定着を図る手立てが、やはり必要です。
☆
でも、こういった調査ではオモテに出てこない、もっとネガティブな側面もあります。
職場に蔓延しているコンプライアンス違反や、職員の利用者への人権感覚の乏しさ。
冷静で的確なスーパーバイザーの不在や、コンサルテーションできない職場環境。
そのような環境を反映した、いびつな職場内人間関係で疲弊してしまうスタッフ。
先の施設長さんの施設でも、職場の人間関係が元で、辞めていった方が結構いるそうで。
「できれば施設で定着して欲しいと思うけど、合う合わないってありますからね…」と。
でも、合う合わないで留めるじゃなくて、チームの問題として考えないとね。
仕事の目標を明確にして、チームをコーディネートできる人が求められているのでしょう。
それぞれの現場で、静かに闘っている人がいます。
学校で学んだ理念を、少しでも現場で形にするために。
現場を一気に変える、魔法の杖はどこにも存在しないから。
諦めず、粘り強く、したたかに、自分の現場を大事にしながら。
既にあるものを、変えていくって大変です。
変わることを頑強に拒否する人の方が、どうしても多いですから。
でも、自分自身の現場を少しでも変えていくことからしか、状況は変わらない。
日本の精神科医療を変えていくのは、そうした小さな営みの積み重ねだと思います。
※画像は、上野駅ホームの「フレッシュひたち」。
まだ真っ暗な5時に起きて。
朝6時過ぎには家を出て、上野駅からフレッシュひたちに乗って。
前日の寝不足もあり、行き帰りの特急電車は、ほとんど爆睡状態でした。
今回、お邪魔したのは水戸の「水高スクエア」。
国立水戸病院跡地に、北水会グループが建てた、一大医療福祉複合エリアです。
病院から、特養老人ホーム、老健、救護施設、保育園、医療専門学校等が並びます。
さらに、フィットネスクラブから、カフェレストラン、整骨院、薬局、コンビニまで。
茨城県救護施設協議会の研修会にお招き頂きました。
県内施設の職員の方々のほかに、各施設長、県担当者もいらしていました。
テーマは「統合失調症・精神障害者へのかかわり方~『処遇困難』な利用者への接し方」。
午前中、講演をさせてもらって、午後はグループに分かれて演習を行いました。
茨城県内は、精神科への長期在院者が、かなり多い県だそうで。
退院促進・地域移行の流れの中で、救護施設に精神障害の利用者が急増しています。
今回、お邪魔した「救護施設もくせい」も、既に入所者の75%は精神障害の方だとか。
たしかに見学させて頂いても、ほとんどの方が、慢性の統合失調症の方と思われました。
☆
お昼休みに、各施設長の方々とカフェレストランで食事をしました。
ある施設長の方と、職員の職場定着・離職の話になりました。
慣れない精神障害の方への対応で、ストレスフルになってる職員も多いようで。
スタッフ自身のメンタルヘルスも、大きな課題になっているようです。
特に、離職者を通して考えると、職場の人間関係が大きくクローズアップされてきます。
利用者とのかかわりよりも、同僚や上司とのコンフリクト(葛藤・対立)関係です。
仕事は続けたいけれども、あの人の下でやっていくのは、もう無理!という声です。
自身の専門職としてのアイデンティティを賭した、究極の自己選択としての離職です。
大人げないといえば、それまででしょうが。
保健・医療・福祉の世界って、それだけスタッフの人間観・価値観が反映する職場です。
利用者のことや、仕事自体は、決して嫌いではないけれど…。
このままでは、自分がダメになってしまう気がして…、という方も多いように思います。
☆
一昨年末に、厚労省が公表した、就労状況実態調査があります。
全国の社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士登録者を対象としたものです。
未就労の方が全国で15%いる一方で、23%が現在は職場で働いていない人たちです。
調査では「潜在的有資格者」という表現になっています。
現在就労していない有資格者の状況を見ると、
現在働いていない理由として最も多かったが「出産・子育てのため」です。
社会福祉士の46.7%、介護福祉士の 38.1%、精神保健祉士の31.2%にのぼります。
一方で「腰痛等、体調を崩しているため」の割合は、介護福祉士で13%に上っています。
福祉・介護分野への現職復帰の意向を見ると、全体の約7割が戻りたいと回答しています。
その一方で、「戻りたくない」という回答もかなりあります。
社会福祉士の約1割、介護福祉士と精神保健福祉士のそれぞれ約2割にのぼります。
夢や希望を持って職についても、現場の厳しさに懲りてしまう、悲しい現実があります。
今後、福祉・介護分野へ復帰する上で改善してほしいこととして、
最も多かったのは「資格に見合った給与水準に引き上げる」です。
社会福祉士の64.8%、介護福祉士の62.4%、精神保健福祉士の56.2%に上ります。
福祉の仕事への評価を求める気持ちは、すごくよくわかります。
こういった結果から、厚労省社会・援護局の福祉基盤課は、
「キャリアアップの道筋を設けて、意欲のある人を評価する仕組みが必要。
子育て退職の割合が大きいため、仕事と子育てを両立させる仕組みが必要」としています。
ある程度キャリアが形成された人の、職場定着を図る手立てが、やはり必要です。
☆
でも、こういった調査ではオモテに出てこない、もっとネガティブな側面もあります。
職場に蔓延しているコンプライアンス違反や、職員の利用者への人権感覚の乏しさ。
冷静で的確なスーパーバイザーの不在や、コンサルテーションできない職場環境。
そのような環境を反映した、いびつな職場内人間関係で疲弊してしまうスタッフ。
先の施設長さんの施設でも、職場の人間関係が元で、辞めていった方が結構いるそうで。
「できれば施設で定着して欲しいと思うけど、合う合わないってありますからね…」と。
でも、合う合わないで留めるじゃなくて、チームの問題として考えないとね。
仕事の目標を明確にして、チームをコーディネートできる人が求められているのでしょう。
それぞれの現場で、静かに闘っている人がいます。
学校で学んだ理念を、少しでも現場で形にするために。
現場を一気に変える、魔法の杖はどこにも存在しないから。
諦めず、粘り強く、したたかに、自分の現場を大事にしながら。
既にあるものを、変えていくって大変です。
変わることを頑強に拒否する人の方が、どうしても多いですから。
でも、自分自身の現場を少しでも変えていくことからしか、状況は変わらない。
日本の精神科医療を変えていくのは、そうした小さな営みの積み重ねだと思います。
※画像は、上野駅ホームの「フレッシュひたち」。