本の宣伝ばかり立て続けで、なんか恐縮ですが。
昨年度末に、ブックレットを1冊出しました。
『長期在院精神障害者の地域移行支援』というものです。
専門職大学院の夜間公開講座「退院・地域移行支援ソーシャルワーク」の講義録です。
論文ではなく、テープ起こし原稿ですから、です・ます調の気軽な読み物です。
A5判110ページほどですから、結構すぐに読めると思います。
ただ、こんな薄いブックレットでも、思いがけず製作には時間を要しました。
400字詰め原稿用紙に換算して、たかだか200枚程度なんですが。
そもそも話し口調の原稿を、文字にするというのは、別原稿を書くようなものです。
不正確ですし、時間が経てば経つほど、自分の話した内容のアラが目立ってきます。
元々は6時間(90分×4コマ)の授業ですから、ケバ取り原稿でも400枚近くになります。
それを圧縮して、読み言葉に整文していく作業は、結構面倒なものです。
単発の1時間程度の講演録なら、もっと気軽に赤字を入れれば良いのでしょうけど。
まがりなりにも本になると思うと、「う~ん…」と頭を抱えて悩んでしまいます。
日常の業務で追われていることもあり、自分の単独仕事は後回しにせざるを得ません。
中々一人になる時間もない中で、校正作業はズルズルと先延ばしになってしまいました。
結局、2回の校正整文作業だけなのに、講義から発刊まで2年余りが経ってしまいました。
諦めずに笑顔で付き合ってくれた、編集の浜尾さんには、本当に感謝しています。
昨年12月に「近日発刊」というチラシまで作製して頂きながら、4ヶ月かかりました。
チラシを受け取った皆さん、今度こそ、今度こそ本当に出ましたので、ご笑覧下さい。
こんな地味なテーマの冊子が、そんなに売れる訳ないと、自分でも思いつつ。
これから、あちこちで行商させて頂きますので、よろしくお願いします。
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ブックレットシリーズ
日本社会事業大学専門社会福祉士講座No.10
『長期在院精神障害者の地域移行支援~病院と地域の実践から~』
古屋龍太(日本社会事業大学専門職大学院、准教授)
目次
第1章 精神障害者が退院できない日本
退院促進と地域移行
入院患者を増加させた精神衛生法
急増した精神病院
措置入院患者の急増
「ライシャワー事件」と精神衛生法の改正
「社会復帰」への階段
宇都宮病院事件
精神保健法への改正
入院患者の年齢分布
退院促進への流れと現実
「あり方検討会」の報告書から
なぜ退院することができないのか
「施設症」と病院の現実
退院を妨げる地域と行政の問題
退院・地域移行を進める取り組み
第2章 退院促進モデル病棟の実践
「退院」がタブーの社会復帰病棟で
退院準備プログラムを行うにあたって
プログラムの実行
病院内でのプログラムの概要
病院の外へ出かける
プログラムの結果から
退院率の違いの原因
作業療法での取り組み
地域探検隊-買い物・援護寮
地域探検隊-グループホーム
地域探検隊-地域生活支援センターなど
家族懇談会
不動産業者との連携
ケア会議
退院後のケア
退院への動きの変化
PSWの配置と役割
患者さん側の変化
本人がやることによる効果
退院へのワーカーの動き
家族の変化
病棟の変化
病院の入院期間について
退院先
モデル実践病棟で明らかになったこと
第3章 環境評価と退院準備
退院環境評価ということ
具体的な評価項目
評価の目安
評価の具体例
評価の予備試行調査
評価者の背景
病院・地域の評価
病棟用のツール
退院チェックリストの利用
退院チェックリストの使用例-退院先
退院チェックリストの使用例-お金
チェックリストの進め方
生活準備チェックリスト
チェックリストの効果と課題
第4章 地域移行支援事業の取り組み
大阪での取り組み
国での取り組み
退院促進支援から地域移行支援へ
退院促進支援事業の問題点
自立支援員の役割
自治体と病院の間にある壁
自治体による広報活動
サービスの実施
地域移行推進員の雇用形態と事業の財政
帯広・十勝圏域の取り組み
東京「巣立ち会」の取り組み
埼玉「ふれんだむ」の取り組み
効果的援助要素
地域による運営の違い
地域移行におけるピアサポーターの存在
退院後のさまざまな取り組み
患者さんの思い
脱施設化に向けて
地域移行・地域定着支援事業へ
障害福祉サービスとしての地域移行支援へ
おわりに
参考資料:平成24年度障害福祉サービス等報酬改定の基本方針(案)抜粋
あとがき
社会保険研究所発行
2012年3月31日第1刷発行
ISBN 978-4-7894-7690-4
定価:840円(本体800円+税)